全米の大注目株!26歳の女優エマ・ストーンの華々しいヒロイン歴
今週のクローズアップ
今週末公開のウディ・アレンの新作『マジック・イン・ムーンライト』、アカデミー賞受賞作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でヒロインを務めているエマ・ストーン。26歳という若さながら、なぜこんなにもハリウッドに愛される女優となったのか、これまでの作品からその理由を探ってみた。(編集部・井本早紀)
■意外と少ない出演作 しかしヒロイン率は高し!
エマ・ストーンがこれまで出演してきた映画作品は実は18本。エマの驚くべきところは、そのおよそ半分の作品で主役級の役やヒロイン役を務めてきたこと。
映画初出演作『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007・日本劇場未公開)ではジョナ・ヒル演じる童貞の主人公の憧れの女性として出演し、コメディーゾンビ映画『ゾンビランド』(2009)で引きこもりのジェシー・アイゼンバーグと恋に落ち、『ラブ・アゲイン』(2011)で恋愛マスターのライアン・ゴズリングを、“本物の愛”に目覚めさせる女性を演じた。
これらの作品を振り返ってみると、恋愛奥手で運命の人のために頑張って一歩踏み出すという少女漫画のようなヒロインというよりも、恋愛ダメンズたちの相手役を引き受けていることが多い。彼女の“お姉さん”っぽさが、ハリウッドの男性陣の心を惹(ひ)きつけるのか。
■苦労した時代と花開いた瞬間
アリゾナ州に生まれたエマは、小さなころから舞台に積極的に出演し、演技に目覚めた彼女は15歳のころに家族を説得してロサンゼルスへ移住。2004年にはオーディション番組に出演し、見事テレビ映画「ザ・ニュー・パートリッジ・ファミリー(原題) / The New Partridge Family」の役を勝ち取るものの、同作はパイロット版のみとなってしまう。その後「天才少年 マルコム奮闘記」などのテレビ作品に出演するものの、パッとしない時期を過ごす。
そんな彼女がついに映画初主演を果たしたのが、ウィル・グラック監督の『小悪魔はなぜモテる?!』(2010)。この作品でエマは小さなうそをきっかけに、「小悪魔」のレッテルを貼られることになる女の子オリーヴを演じている。オリーヴはゲイ疑惑でいじめられている男の子を助けるため彼とセックスしたとうそをつくが、そのうわさを聞きつけたモテない男子たちからもセックスしたとうそつくように頼まれ、ひどいうわさが広まってしまうことに。クラスメートたちから心ない中傷を受けつらい思いを抱えても、明るく立ち向かう彼女の姿がとてもキュートに光る。
エマはこの作品で、第68回ゴールデン・グローブ賞コメディー/ミュージカル部門女優賞賞にノミネート。この年はジュリアン・ムーアやアネット・ベニングなどの有名女優が名を連ねていただけに大注目された。
■B級作品から、オスカーに絡む実力派女優へ
『小悪魔はなぜモテる?!』のヒットで弾みをつけると、『キューティ・バニー』(2008)、『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』(2008)などの日本劇場未公開の作品に出演してきた彼女のキャリアは一気にグレードアップする。
その一つが、第84回アカデミー賞の作品賞にノミネートされたほか、メイド役のオクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を受賞した『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)。同作は、人種差別が横行していた1960年代のアメリカの田舎町を舞台に、白人家庭でメイドとして働く黒人女性たちとジャーナリスト志望の若い白人女性・Eスキーター(エマ)の友情を描くヒューマンドラマ。白人女性たちの黒人女性メイドへの態度に疑問を抱いたスキーターは、それを指摘するために彼女たちのインタビューをまとめた本を出版することで社会に立ち向かう。
これまで青春映画やコメディー映画などで、恋愛・アクション・青春時代の葛藤などのテーマに取り組んできたエマが、人種差別というテーマに挑戦。劇中で見せる真っすぐなまなざしは、これまでのエマのイメージを一変させるとともに、実力派女優としての彼女の一面をのぞかせた。
■アメコミで大人気女優へ!
マーベルの人気アメコミを原作とした『スパイダーマン』シリーズが、マーク・ウェブ監督によって再び新シリーズが作られる……と、公開前から関心を集めていた『アメイジング・スパイダーマン』(2012)で、ヒロインの座を射止めたエマ。アカデミー賞作品賞ノミネート作『ソーシャル・ネットワーク』(2010)で、ジェシー・アイゼンバーグの相棒役を務めたアンドリュー・ガーフィールドが演じたピーター・パーカーの恋人グウェン・ステイシーを熱演した。
同作は日本を含めた世界中で大ヒットし、累計世界興行収入は7億5,793万663ドル(約909億5,167万9,560円、数字はBox Office Mojo調べ・1ドル120円計算)を記録。エマの名前も世界中に知れ渡る。グウェンは高校生にもかかわらず大企業のインターンとして働くというインテリな役柄。ピーターをサポートする姿で、またしても“お姉さん”キャラを確立した。
またアンドリューとエマは本作がきっかけで私生活でも恋人同士に。購入した家で共に暮らし、片方が舞台などに出演すればしっかりと観にいくさわやかカップルは来日時にもラブラブな姿を見せている。しかし最近、お互いに仕事を優先しすぎるあまりに遠距離状態に。恋人関係を解消しているともいわれており、キャリアの充実と反比例するかのごとく、私生活はちょっと寂しい感じになってし・ワいそう……? だが、二人が冷却期間を終えて復縁する可能性もまだ十分にあるともいわれ・EEト・E「る。ぜひまたラブラブな姿を見せてほしいものだ。
■さらに羽ばたくエマ!
今週公開の『マジック・イン・ムーンライト』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でもヒロイン役を務めているエマ。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で、本年度のアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、ついにオスカーノミネートを果たした。ますます彼女の活躍が見逃せない。
・『マジック・イン・ムーンライト』
ウディ・アレンお得意のロマンチックコメディー。1920年代の南フランスを舞台に不思議な能力を持つ女性占い師(エマ・ストーン)と、そのトリックを暴こうとするマジシャン(コリン・ファース)の恋の駆け引きが描かれる。→作品情報
・『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『バベル』などのアレハンドロ・G・イニャリトゥが監督を務め、落ち目の俳優が現実と幻想のはざまで追い込まれるさまを描いたブラックコメディー。エマは、かつてヒーロー映画一世を風靡(ふうび)した俳優(マイケル・キートン)の娘役で出演している。→作品情報