映画『HERO』がもう一度観たくなる10のトピック
映画『HERO』祭り
雨宮舞子(松たか子)の帰還。これまでになかった大使館絡みの事件。そしていつも通りの城西支部……。映画『HERO』はさまざまな要素が絡み合う見応えのある一作だ。しかし、細部にも見逃せない要素がたんまり。そこで、もう一度映画が観たくなる10のトピックをご紹介しよう。(文:相田冬二)
1:木村拓哉発案のオープニング
冒頭の久利生公平の寝起き場面は、木村拓哉の発案。彼が自分の部屋で朝、出勤までの間、どんなふうに日常を過ごしているか。その「何でもなさ」から映画を始めたかったという。ちなみに、久利生の通販好きというそもそもの設定も木村のアイデア。
2:木村拓哉×新井浩文の共演シーンにニヤリ
今回、久利生が担当する事件は交通事故。被疑者、徳本健也を演じるのは新井浩文。新井といえば、木村が主演したドラマ「アイムホーム」でキーパーソンを演じていた。あのときとはあまりに対照的な役どころで、久利生が徳本に渡す「ある物」に思わずニヤリ。
3:久利生&雨宮の再会シーンのウラ話
城西支部で、久利生と雨宮がいきなり再会する、しっちゃかめっちゃかな場面。ここで久利生が通販でゲットしたと思われる健康器具を手にしているのは、木村が現場で思い付いたこと。当初「調書」の予定だったが、変更したことで、二人の出会いのチグハグさがより一層強調されることに。
4:大使館前で4人が見せたアドリブ
大使館のインターホンをいきなり鳴らして、一緒にいた3人を慌てさせる久利生。鈴木雅之監督が「何か面白いことやって」とキャストに託す演出を見せたこのシーンは、木村、松、北川景子、大倉孝二の4人が体を張って、その場の勢いでドタバタ劇を体現した。
5:木村拓哉、クランクアップでの思い
今回の物語の大きなポイントとなるネウストリア公国は架空の国。久利生と麻木千佳(北川)、宇野大介(濱田岳)が訪れるネウストリア料理店も、撮影所内に建てられた架空の店だ。その取り壊しの日は、くしくも木村クランクアップの日。美術スタッフの若い女性が、料理店セットが取り壊されるのを見て泣いている姿を見掛けた木村は「自分たちキャストは、スタッフのすごい思いに囲まれて、カメラの前に立てている」とクランクアップのあいさつで語った。
6:脚本にはないフレキシブルな振る舞い
久利生と麻木が、宇野をペタンクに誘う場面は、クランクインの日に撮影された。ペタンクのブール(球)を、久利生がいきなり宇野に放り投げるのは木村のアイデア。脚本では「机の上に置く」となっていた。久利生らしい、アクティブかつフレキシブルな振る舞い。
7:ホンモノの法務省で撮影!
久利生が、キーパーソン・松葉圭介(佐藤浩市)と最初に対峙(たいじ)する法務省のシーンは、先日記者会見も行われた法務省で撮影された。
8:「いまの俺のパートナーはおまえだろ」
久利生が麻木に「いまの俺のパートナーはおまえだろ」というおでん屋台の場面は、川崎のチネチッタ(ラ チッタデッラ)で深夜に撮影。木村同様、久利生も猫舌のようで、ふーふーしながら食べている。もちろん、屋台も架空。チッタに行っても、おでんは食べられません。
9:パーティー潜入シーンでのアレンジ
久利生と雨宮がネウストリア公国大使館に潜入するパーティーの場面は極寒の神戸で撮影。雨宮が久利生の見慣れぬタキシード姿を「イケてない呼び込みみたい」とバカにするセリフは、木村と松によるアレンジ。台本では「イケてないホスト」だった。より突っ込んだ揶揄(やゆ)で、この二人らしい関係性が生まれた。
10:ホンモノにしかみえない! 壮大なセット
川尻健三郎(松重豊)が、シリーズ最大のキレっぷりを見せる終盤の場面。どう見ても、歴史ある建造物を借りての撮影に思えるが、なんとセット! たった1シーンのために、あれだけ広大なセットを建てるとは……映画『HERO』、かなり本気である。
ライタープロフィール
相田冬二(あいだ とうじ)
SMAP「はだかの王様 ~シブトクつよく~」を聴いて、フリーライターに転身。楽天エンタメナビにて週刊SMAPコラム「Map of Smap」連載中。現在、SMAPメンバー主演作のノベライズを執筆中、年内2冊発売予定。