公開間近『ジュラシック・ワールド』の舞台裏!セットビジット特集
今年一番のヒット作というだけでなく、7月22日の時点で全世界合わせて15億2,200万ドル(約1,826億4,000万円、1ドル120円換算)を売り上げ、『アベンジャーズ』を抜いて歴代3位の大ヒットを記録中の『ジュラシック・ワールド』。昨年の夏、ルイジアナ州ニューオーリンズの郊外にある NASA の施設内で行われていたこの話題の新作の撮影現場に潜入。監督、プロデューサー、主演のクリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワードらに話を聞いた。(取材・文:細谷佳史)
撮影は NASA の施設
撮影場所が NASA の施設内ということで、ストーリーの中で何か NASA が関係しているのかと思いきや、NASA は単に撮影場所を提供していただけ。スペースシャトル計画が終わり、かつてシャトルを組み立てていた巨大な格納庫が空いた NASA は、そのスペースを映画製作者たちに貸し出しており、現在いくつものハリウッド映画がそこで撮影されている。実際、『ジュラシック・ワールド』が使用していた格納庫の隣では、『ターミネーター』の新作が撮影されていた。格納庫内に入ると、パーク内にあるビジターセンターのセットや、廃虚となったかつてのパークのセットなど、映画の中に出てくる主要なセットがいくつも組まれていた他、ジャイロスフィアの実物や、パークのロゴが入ったジープやトラック、プラットが映画の中で愛用するトライアンフ社製のバイクなどが並んでいて、ワクワクさせられた。
クリス・プラットと『ジュラシック』シリーズ
昨年、全世界で7億7,000万ドル(約924・ュ円)を超える大ヒットを記録した、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に続いて、『ジュラシック・ワールド』も記録的な大ヒットとなり、コメディー俳優から突然ハリウッドを代表するアクションスターとなったクリス・プラット。新作では、ヴェロキラプトルに訓練を施す元軍人オーウェン・グラディを演じている。プラットは14歳のとき、1993年の『ジュラシック・パーク』を見て衝撃を受けたという。「予告編を観てとても興奮させられ、映画の初日に並んで観に行ったよ。そして、その週のうちにもう1回観に行った。圧倒されたね。それは科学と想像力を融合した画期的な作品で、素晴らしいストーリーテリングによる、見事なスピルバーグ作品の1本だった。忘れられない作品だよ。そして今、この作品に出演できて本当に光栄に感じている。僕が子供のときにいかにこれらの作品に影響を受けたかというだけでなく、これらは世界中の人にとって大切な作品なんだ。このシリーズを受け継いで素晴らしい作品をみんなに届けることができるというのは、実に名誉なことだよ」
モーションキャプチャーを使った撮影
また今回、役者と恐竜たちが絡むシーンの一部でモーションキャプチャー技術を導入。役者と恐竜の間に今までにないリアルな緊張感を作り出すことに成功している。プラットも(目線用の)テニスボールの代わりに、人間の役者を相手に出来る素晴らしさを絶賛していた。「現場にはグレーのスーツを着て、恐竜の頭をつけた役者たちがいたんだ。それは、こういうシーンをやる上で間違いなくアドバンテージだった。アニメーターたちが後から役者たちの動きを参考に出来るだけでなく、僕ら役者たちにとっても、目の前に反応することが出来るものがいるというのは、芝居をする上でとてもやりやすかった。最終的には、大きな恐竜から小さな恐竜まで全ての恐竜は、モーションキャプチャーを使った役者のデータを基に、CG で映像化されるわけだけど、このやり方を使・ヲば、(監督の)コリン・トレヴォロウが現場で役者たちに、『こういうふうに歩いて』とか指示を出しながら恐竜の動きを演出することができる。昔だったらアニメーターたちが最初に恐竜の動きをアニメートし、監督はそれを見て、『これは違う。絵コンテに沿ってやり直して』と言ったりしていたけどね」
恐いだけじゃない『ジュラシック・ワールド』が織り成すドラマ
プラットの相手役で、新しくオープンしたパークの責任者であるクレア・ディアリングを演じるのはブライス・ダラス・ハワード。「ローラ・ダーンが初めて恐竜を見たときに口を開けたまま立ち上がるけど、まさにそれと同じだった」と、12歳のときにオリジナルの『ジュラシック・パーク』を観たときの体験を振り返る。「(『ジュラシック・パーク』の)1作目は実に多くの人たちにとって大切な作品なの。スティーヴン・スピルバーグは、こういった作品を観客にもう一度届けたいと感じていたけど、ちゃんとしたストーリーができるまではやろうとしなかった。人気があるからといって次から次へと作品を出すことはしなかったの。そういった姿勢は素晴らしいと思う。この脚本を読んで感じたのは、とても深みがあるということね。『ジュラシック』映画に期待されているアドベンチャーやホラーの要素だけでなく、全てのキャラクターに成長があって、家族のドラマや、ロマンチックなドラマがあって、とてもユーモアがある。そして、マイケル・クライトンが小説の中で投げ掛けた「人間対自然」という大きなテーマや、バイオテクノロジーの進化がもたらす影響、それについての道徳観にも触れているのよ」
トレヴォロウ監督ってどんな人?
『ジュラシック・パークシリーズ』の生みの親で、今回もエグゼクティブ・プロデューサーとして作品全体を見ているスティーヴン・スピルバーグは、新作の監督に、長編としてはサンダンス映画祭で話題になった低予算のインディーズ映画『セーフティー・ノット・ギャランティード(原題) / Safety Not Guaranteed』しか手掛けたことのない新人コリン・トレヴォロウを大抜てき。トレヴォロウも、これが2本目の監督作とは思えない卓越した演出力で、スピルバーグの期待に見事に応えた。
「僕とデレク(・コノリー)は、まず脚本を書く上で、スティーヴンとかなりのやりとりをした。僕らはほとんど一から脚本をスタートさせたけど、彼らはこの脚本を14年間にわたって企画開発していて、その中にいくつか面白いアイデアがあった。一つはパークがすでに完成しているということと、もう一つは動物と特別な関係を持ったキャラクターがいるということ。そのキャラクターは、動物とコミュニケーションをとりながら人間と動物の関係をテストするんだ。その二つのアイデアはとても魅力的だった。そしてそれらを基に、僕らはスティーヴンとストーリーに取り組んだんだ。スティーヴンは特別なストーリーテラーだよ。この映画には素晴らしい恐竜のアクションが出てくるけど、僕らはまずリアルで本物らしく感じられるキャラクターや、いつまでたっても古くならない『ジュラシック・パーク』に引けを取らないストーリーを作りたかったんだ。映画とは結局、ストーリーテリングだからね」
続編も決定!
7月22日に『ジュラシック・ワールド』が記録を作ったニュース以外に、再びクリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード主演で、2018年の夏の公開を目指して続編を製作することが正式に発表された。今作と同じくスティーヴン・スピルバーグとフランク・マーシャルがプロデュースを、コリン・トレヴォロウとデレク・コノリーのコンビが脚本を手掛ける。トレヴォロウが、2019年公開予定の『スター・ウォーズ:エピソード9(原題) / Star Wars: Episode 9』を監督するうわさもあってか、続編の監督についてはまだ発表されていない。ハリウッド映画ならではの壮大なスケールと、息を呑むようなリアルな恐竜たちの映像で映画ファンを堪能させてくれる『ジュラシック』シリーズ。3年後の新作が待ちきれない!
Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment
映画『ジュラシック・ワールド』は8月5日より全国公開