『図書館戦争 THE LAST MISSION』岡田准一インタビュー
人気作家・有川浩のベストセラーシリーズを映画化した『図書館戦争』の第2弾が登場。国家によるメディアの検閲が正当化されている世界を舞台に、表現の自由、知る自由、本を読む自由を守るために図書館側から生まれた自衛組織・図書隊の隊員たちの戦い、そして恋を描いた見どころたっぷりのエンターテインメント大作だ。前作に引き続き『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介監督がメガホンを取った本作で、壮絶なアクションを体当たりで演じた岡田准一が、作品の魅力、アクションについてアツく語った。
Q:前作から満を持しての続編という感じですが、最初に脚本読んだときはどう思われましたか?
映画の続編というものは前作を超えるのが難しいといわれています。前作の延長線上でやるだけではいけなくて、前作を踏まえた上で次につなげていくことが大事で。前作を超えるための作品として話し合った結果の脚本だったので、良いものになっていると思いました。だからこそ、その中でどう説得力のあるものにしていくか。演じる側として考えさせられる脚本でもありましたね。
Q:そのためにどういう打ち合わせをされたのですか?
僕がスタッフに話していたのは、ヒロインである笠原郁(榮倉奈々)の話としてちゃんと作ってほしいということ。笠原郁という存在があって、その受け手として僕が演じる堂上という人物がいる。主演という立場からするとちょっと変な話だと思われるかもしれませんが、出過ぎないように心掛けていたところも正直ありましたね。だから、ストーリー自体は笠原が主軸として動いているということをわかった上で、僕たちはその世界観に説得力を持たせることが役割だと。その中で自分が何をできるか考えながら演じていました。今の時代は説得力がないものはなかなか観てもらえない時代だと思っているので。特にこの作品のようなパラレルワールドの世界の中で、どう説得力を増した芝居と環境を作れるのかというのは監督とも結構話し合った覚えがありますね。
Q:本作はベタ甘ラブストーリーとしても人気の作品ですが、今回の二人(笠原と堂上)の関係についてはどう思われますか?
じれったいですよね(笑)。演じていても正直恥ずかしくなっちゃいます。照れるというか。前作では王子様みたいな要素もあって、そのフィクション感も照れくさくて。
Q:こういうタイプの恋愛ドラマはあまり得意じゃない?
躊躇(ちゅうちょ)は少しありますね。恋愛色が強いものは若い頃にはやっていましたけれど、最近あまりやっていなかったので、どうしても照れてしまうんですよ。自分自身が照れていることが見えてしまうのは、演者としてはあまり良くないじゃないですか。特にこの作品の場合、監督やスタッフが堂上と笠原のシーンが大好きで、すごくニコニコしながら見ているんですよ。
Q:みんなに笑顔で見守られながら撮影されている(笑)。
それだけで恥ずかしい。頭をなでるシーンも監督とプロデューサーに「相当考えてきたんですけど、取りあえずやってください」って言われて。なら「考えてきた」ってわざわざ言わなくていいじゃんって(笑)。演じている僕たちにするとニコニコされている中でやるのは異常に照れます。ただ、この作品の場合は僕が照れることがそのまま堂上の照れにも見える。そういう意味では堂上という役に助けられているかもしれませんね。
Q:今回もアクション映画として見応えがありました。
今回も一緒に戦うタスクフォースのメンバーとの訓練を結構な回数重ねました。アクションの打ち合わせを含めると1か月ぐらいは陣形を組んだり、実際に動いたりしながらアクションをつくっていく作業をやっていましたね。
Q:以前、「自分が納得できる動きができるのは35歳まで」という発言をされていましたが、今回実際に動いてみていかがでしたか?
自分としては新たな段階に入ってきたと思っています。ちょっと偉そうに聞こえるかもしれませんが、若いときは日本ならではアクションというものを探していて、アクション界を盛り上げようとしてやっていたんです。そのために武術や格闘技を習ってきたんですけど。でも今はアクションと武がちょっと違うものだと感じるようになってきて。武術は練習するとうまくなるんですけど、個人的にはアクションはどんどんヘタになってきていると思っているんですよ。やられたときに崩れるのは武術の世界ではダメ。崩されたらその時点で終わる。崩れない体の使い方と崩されない距離の使い方が大事なんです。でもアクションとなるとそういうわけにはいかない。崩れないと画(え)にならないということもあるので。武術に特化していくと、アクションとしては難しいなあと思うことが多くなってきていますね。もちろん、自分のこだわり、自分が見せたいアクションでの説得力とアクションとしての画(え)のリアルの折り合いがつけられるところを、アクションチームと一緒に探したいと思っています。それにまだまだ体は動くので。意外と40歳超えてもいけるかなと思っていますし。50過ぎてもトム・クルーズさんは頑張っていますからね(笑)。ディテールだけではなく、心があって、思いを描けるアクションを続けていきたいです。
Q:そういう意味では本作はピッタリの題材なのかもしれませんね。
こういう作品がもし受けて入れてもらえるのであれば、今後もっと変わっていけるかもしれないと思っている作品ですね。人がどういう感情を持つのかということを映していくのが映画だと思っているので、その感情をどう起こせるのか、撮れるのかというのをきっちりやれた作品であったと思いますし、アクションのディテールに走るだけではなく、役柄の感情をきっちり描いているところを見てもらえたらうれしいですね。
一つ一つ言葉を選びながら、作品について、そしてアクションについて丁寧に答えた岡田。「53歳ぐらいで達人になっている予定なんですよ。棒を使って人をくるくると回せるぐらいの(笑)」と語る彼の姿からは、さらなるアクションの進化を目指そうとしている真摯(しんし)な姿勢が見えてくる。そういう意味では本作で彼が魅せるアクションは、まさに今しか見られない最高の形。アクションファンならずとも見逃せない。(取材・文:永野寿彦)
映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』は10月10日より全国公開