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『アンフェア the end』篠原涼子 単独インタビュー

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『アンフェア the end』篠原涼子 単独インタビュー

10年を共に歩んだ唯一無二のパートナー

取材・文:坂田正樹 写真:高野広美

2006年、フジテレビ系の連続ドラマとしてスタートして以来、陰謀と裏切りに彩られた先読み不可能なストーリー展開で人気を博した『アンフェア』シリーズが、劇場版第3弾『アンフェア the end』でついに幕を閉じる。バツイチ、子持ち、大酒飲みだが、検挙率ナンバーワンで無駄に美人。男勝りの敏腕刑事・雪平夏見と共に歩み、共に学び、そして共に生きてきたという女優・篠原涼子が、「終わってほしくない」と寂しさをにじませながら、万感の思いで10年を振り返った。

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雪平夏見への“愛”にあふれた納得の最終章

篠原涼子

Q:シリーズ開始から10年、本作でついにフィナーレを迎えますが、撮影を終えた今の心境は?

シリーズが終わってしまうことはすごく残念ですし、正直、終わってほしくないという思いはありますね。でも、作品を拝見して、わたしが演じてきた雪平への“愛”にあふれた内容になっていたので、納得できる終わり方だなと思いました。人に何度も裏切られながら、それに負けずに生きてきた雪平の心の温かい部分がメッセージとしてきちんと描かれ、しかも豪華な共演者の皆さんの大きな愛に包まれながら終われるなんて、こんな幸せなことはありません。

Q:10年間を共に歩んできた雪平への思いもひとしおではないでしょうか。

これだけ長くやってくると、パートナーという感じですよね。隣を見たら、もう彼女はいないのかって思うと心細くて寂しいです。ほかの作品とは比べられない唯一無二の存在なので、一言では表現できないし、一言で表現してしまうのがもったいないくらい。この10年、わたし自身も、結婚したり、子供ができたり、いろいろなことがありましたが、『アンフェア』と共にたくさんの幸せを頂き、そしてたくさんのことを学ばせていただいたと思います。

Q:ここまで人生を共にしていると、雪平はもう篠原さんの中に染み付いているのでは?

うーん、正確には染み付きつつ、演じているという感じですね。普段のわたしはどちらかというと、髪の毛はグジャグジャ、すっぴんでコンビニやスーパーへ平気で買い物に行ったりする。自分自身に対してズボラなところは雪平と似ていますが、わたし自身はあんなにさっそうとしていない。それに、雪平みたいに、あれだけ人に裏切られたら、わたしは負けちゃいますね。きっと、家にひきこもってしまうと思います。

佐藤嗣麻子監督との信頼が生み出すプラスアルファ

篠原涼子

Q:前作に続き佐藤監督がメガホンを取っていますが、女性ならではの美意識が随所に表れていました。

前作の『アンフェア the answer』のときもそうでしたが、自分の想像を超えるものを撮ってくださるので、今回も楽しみにしていたんです。シャワーシーンも嗣麻子さんなら、きっと美しく撮ってくださると思って挑戦してみました。逆に嗣麻子さんじゃなかったらちゅうちょしていたと思います。

Q:前作で死んだはずの一条(佐藤浩市)と再会するシーンも、女性ならではのこだわりが感じられました。

嗣麻子さんから「ものすごくつっけんどんで、冷たい人になってほしい」というリクエストがありました。一条が生きていたことで、雪平としては裏切られた感があったし、一条のことをすごく好きだったのに「あなたは消えてしまった」という女としての切なさもあるので、できる限り冷たいほうがいいと。でも、セリフ自体がそれほど冷たいものではなかったので、わたしの中ではギャップがありましたが、嗣麻子さんはそれが心地よかったと言ってくれました。

Q:今回はアクションシーンにもより磨きがかかったように思えました。撮影はかなりハードだったのでは?

今回は確かに多かったですね。トレーニングに関しては、ある程度、体幹的なものは鍛えているのですが、事前にわかっていれば、もっとハードにやっていたかもしれません。苦労した点は、やはりカメラマンさんとの相性や、息の合わせ方が難しかったですね。でも、皆さんプロフェッショナルなので、現場でリードしていただき、臨場感あふれる映像が撮れたんじゃないかと思います。

一番の思い出は『アンフェア』らしくない現場の楽しさ

篠原涼子

Q:現場は愛にあふれ、皆さん、篠原さんにメロメロだったと聞いていますが?

いやいや、そんなことないと思いますよ。女性として見られていない気がしますね、残念ながら。現場はとにかく楽しくて、みんなでゲラゲラ笑って、本番の声が掛かると、「ちょっと待って、シワシワ! 笑ったあとのシワが目立つ!」とか大騒ぎになって、「これ本当に『アンフェア』の現場?」っていうくらい楽しかった。共演者の皆さんはお正月に会う親戚のような存在。本当にみんな大好きです!

Q:娘役の向井地美音さんは子役から一時学業に専念し、現在はAKB48として活躍していますが、久々にお会いした印象は?

いつの間にかかなりお姉さんになっていましたね。最初は確か7歳くらいだったので、「食べ物は何が好き?」といったお話しかしていなかったのですが、気付いたら今では17歳。AKB48にも入って、かなり冗舌になって、向こうから「お元気でしたか!」と声を掛けられたときはびっくりしました。すごくエネルギッシュで、気持ちがよかったです。

Q:今回、事件の鍵を握る男・津島役で、テレビドラマに出演していた瑛太さんの弟・永山絢斗さんが出演していますが、いかがでしたか?

お兄さんの瑛太くんとは声とか、ところどころの雰囲気は似ていますが、役者としては全く別物で、兄弟という感覚がなかったですね。血のつながっている方とは思えないくらい“自分”を確立して持っているので、プロフェッショナルだなと思いました。『アンフェア』の相手役が瑛太くんで始まり、絢斗くんで終わるというのも不思議なご縁を感じます。

Q:EXILEのAKIRAさんも今回初めてだったんですよね?

そうなんです。ある日、「ねぇ、踊って!」とダンスをリクエストしたら苦笑いで、その日の打ち上げも彼だけ来なかったんです。あれ、嫌われちゃったかなぁって思っていたら、足をけがして病院に行っていたんですって。「今度、絶対に踊ります!」と言ってくれたので、楽しみにしています。

女優“篠原涼子”としてファンの期待に応えたい

篠原涼子

Q:本作の雪平役をはじめ、篠原さんにはかっこいい「アネゴ」的なイメージがありますが、ご自身はどう受け止めていますか?

世の中の人たちが求めているイメージ、存在感というのは、本当に大切にしなければいけないと思います。いろいろなお仕事をさせていただいていますが、その辺は常に意識しながら、期待を裏切らないように努力していきたいですね。

Q:『アンフェア』が完結しましたが、このあとのプランは? 何かトライしてみたいことなどはありますか?

40代は、女優としていろいろなこと経験し、冒険していきたいなと思っています。自分で「これをやりたい」と決めるよりも、「これを篠原にやらせてみたい」と思う方がいたら、そのお話に耳を傾けたいですね。

Q:最後に無駄に美人な雪平を演じた篠原さん、あなたにとってアンフェアなこととは?

ほら来た! これ、一番苦手な質問なんですよね。10年前から聞かれているんですが、すごく難しい。たぶん、全てのことをアンフェアだと思っていないんじゃないかな? だから、シリーズ完結と共に、その質問に答えることをわたしの中から排除します(笑)。


篠原涼子

ハキハキとこちらの質問に答える篠原涼子だが、時折見せる飾り気のない素の表情が一服の清涼剤のように、その場の空気をほぐす。「人の話を聞くのが好き。でも、すぐに忘れちゃうの」と笑顔で語る篠原の、どこか憎めないキャラクターが『アンフェア』の根幹を握っているからこそ、人は雪平に共感し、物語に夢中になり、現場は太陽のように明るく照らし出される。愛にあふれた最終章『アンフェア the end』。10年間の篠原=雪平の思いを心に刻みたい。

(C) 2015 関西テレビ放送/フジテレビジョン/ジャパン・ミュージックエンターテインメント/東宝/共同テレビジョン

映画『アンフェア the end』は9月5日より全国公開

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