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スタッフがオタク化するほど原作に忠実!CG / 3D版スヌーピー誕生の秘密

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スヌーピー

 スヌーピーの初の3D/CG映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』の企画がスタートしたのは、スティーヴ・マーティノ監督いわく約3年前。長らく製作されていなかったスヌーピーの長編作品を、今になって製作した理由について、プロデューサーで原作者の息子であるクレイグ・シュルツは、「ずいぶん時間がたったからだよ(笑)。世界中の新しい世代の人に、再び『ピーナッツ』のキャラクターを再発見してもらい、その魅力を感じてほしかったのさ。CGや3Dという新しい技術ができている今、まさに正しい時だと思う」と語る。

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■3Dに超ノリ気だったシュルツ家 初の3D化にド緊張の製作スタジオ

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 チャールズ・M・シュルツさんによる原作コミック「ピーナッツ」でも、それを原作にしたアニメーションでも、平面的に表現されてきたスヌーピー。そのため3Dという初の試みには、迷いに迷った末での決断があったと思われたが、クレイグは「僕は最初から3Dでやりたかった。映画の構想を思いついた時から、それは考えていたよ」とあっさり。またチャールズさんの妻ジーン・シュルツさんも、「(彼も)賛成したと思うわ。彼はいつも新しいことを試そうとしていたもの。この企画も、ぜひやりたいと言っただろうと思うわ」と同意。意外にもシュルツ家にとっては、スヌーピーの初3D/CG化は全く抵抗のないことだったよう。

 それに比べ「ド緊張した」というのが、アニメーション製作を担当することになったブルースカイ・スタジオ。アニメーション・スーパーバイザーを務めたニック・ブルーノは、映画化の話がくる前から、「ピーナッツ」のキャラクターがスタッフのデスクのいたるところに飾られているほど、スタジオは「ピーナッツ」の大ファンだらけだったと振り返ると、「この企画をやると知ったとき正直ゾッとしました」と正直な気持ちを打ち明ける。「世界中にいるファンをがっかりさせたくない」。大きな責任を感じた彼らは、リサーチを何度も重ね慎重に作品に取り掛かった。

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左からアニメーション・スーパーバイザーのスコット・キャロル、スティーヴ・マーティノ監督、ニック・ブルーノ

 そのときの様子は、クレイグから「スパーキー(チャールズ・M・シュルツの愛称)は、われわれがやっていることを見て『クレイジーだよ。描きたいように描けばいいのに』ときっと言うだろうね」と言われてしまうほど鬼気迫るようなものだったという。「でもやっぱりわれわれは最高のものを作りたかった。チャールズ・M・シュルツの世界観に忠実でありたかったのです」(ニック)。

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■忠実を求めるあまりオタク化したスタッフたち

 そもそもなぜブルースカイが選ばれたのか。脚本も担当しているクレイグは、彼の息子ブライアン・シュルツらと共に、「それぞれのスタジオで何ができるか」を理解すべく、さまざまなアニメーションスタジオをめぐり、トップたちと面会した。そんな中、ブルースカイが製作し、マーティノが監督した『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』を観ていたクレイグは、「彼が監督となり、2人で力を合わせれば、『ピーナッツ』のキャラクターを大きなスクリーンによみがらせることができる」と感じていたそう。そして運命の出会いが生まれた。クレイグは、「この物語は冬を舞台にしている。『アイス・エイジ』を作った人たちは、まさに理想的だよね? それに、スティーヴ・マーティノと話して、彼がいかに『ピーナッツ』に敬意を持っているかも理解した。そのふたつが、大きな理由だったね」と話す。

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マーティノ監督たちはチャールズ・M・シュルツ・ミュージアムに月イチで通ったそう

 製作が決定してからのブルースカイの方針は、「忠実でなくてはいけない」。「『何か疑問を感じたら、コミックを見ろ』というのがわれわれチームの心得でした」と話すマーティノ監督いわく、チームの人々は、1万8,000種類にも及ぶ全てのコミックをほぼ読破し、研究したという。また研究する上で、「家」「一時停止標識」などデータベースも作成。コミックを参考に、世界観を作り上げた。スタッフたちはそのとき、超が付くオタクと化していたという。

 しかし、やはり2Dのコミックと3Dの映像は違うもの。3Dで2Dの表現を再現することにはかなり苦労したという。だが、ブルースカイのスタッフたちは諦めなかった。登場人物の一人ピッグペンの周りには砂の粒が浮いているが、その砂粒の動き方もコミックでの動き方を参考に決めた。雨の表現もコミック版での流れをスキャンするようにして作った。

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映画の全ての動きの原点はコミックにあり

 またあまりにもリアルな動きをさせてしまうと、それこそ不自然なものになってしまう。キャラクターはシンプルで絵的な動きにするように心掛けた。またキャラクターの動きと環境や小道具などそれ以外のものが乖離(かいり)することを防ぐため、特殊効果のチームはキャラクターと調和するような効果を作った。例えば、キャラクターが水たまりに足を踏み入れても、水たまりにリアルな水の反応はさせない。あくまでも滴の形を一つずつ描くように二次元的な表現を突き詰めていった。物理的に正しくなくとも、視覚的に不自然でなければ良い。特殊効果は物理的や数学的に正しくする必要はなかった。

 色にもこだわりがある。マーティノ監督は、アートディレクターのナッシュ・ダニガンに、「日曜の新聞に載っているコミックを見ている感覚が欲しい。それと同じような楽しい色使いにしよう」と持ち掛けた。だがコミックの色をそのまま使うと、主張が強く、遊び心はあるが、メインキャラクターが引き立たなくなる。ここがナッシュたちの腕の見せ所だったという。新聞で使用されていた鮮やかな色はあくまでも色のパレット作りとして。強い色はあくまでもメインキャラクターのために。背景色は基本的にあまり引き立たないように。しかしときどき、コミックと同じように鮮やかな色を差し込んで。調和の取れた画(え)づくりには、色を担当したスタッフたちのセンスが光っている。

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監督からの要望、超~大変だったよね~ - ナッシュ・ダニガン
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■絶対に譲れない!息子が作ったこだわりのストーリー

 映画を売り込む前からクレイグは、ストーリーを決めていた。「僕らはただ『ピーナッツ』の映画を作れればいいとは思っていなかったんだ。僕は、この映画を作りたかった。この話は、僕の心の中に以前からあって」と明かすクレイグの心は製作前から決まっていた。「このストーリーじゃないなら、映画を作るつもりはなかったよ」。

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クレイグ・シュルツ&ジーン・シュルツ

 企画がスタートしてから、クレイグ・シュルツ、ブライアン・シュルツ、そしてコーネリアス・ウリアーノは脚本に取り組み、監督も交えて脚本のミーティングがチャールズ・M・シュルツさんのオフィスで行われた。しかし、原作に忠実であることを目指していた映画において、テーマは「コミックから採られたわけではなかった」とマーティノ監督は語る。もちろんエピソード自体は、コミックで描かれたものだ。しかしその奥底にあるテーマは、チャールズ・M・シュルツがコミックで表現しようとしていた心から来ている。「彼は『みんなに嫌われていないか?』『友達はいるか?』『明日野球の試合で勝てるかな?』というような誰でも共感できる気持ちを描いてきました。人との接し方、やさしさ、忍耐、いつも結果が思うようにいかなくても諦めないで続けることが、競争の中で勝ち抜くことよりも大切なんです。僕はそういうことの方が金メダルを獲ることなんかよりも大事だと思っています。そこで物語を作っていくときに、そういったことをたくさん話し合いました。その中で出ていたことが物語の軸になったのです」(マーティノ監督)。

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本作の声優は子供だけ

 また脚本においては、もう一つ自信を持って言えることがあるとクレイグは語る。「僕らの映画は、いろんな意味で、ほかと大きく違っていると思う。今日の映画はユーモアも現代的で、下品なジョークがあったりする。この映画を見に行く時、『子供に見せたくないようなシーンが出てきたりするのかな』『奇妙なジョークが出てきて、あとで子供に説明しないといけないようなことにならなきゃいいけど』というような不安は、いっさいない」。

 さまざまな人の思いが詰まって完成した本作。それだけに企画が終わることに寂しさを感じているとのこと。スタッフからは「われわれはみんなこの作品の出来栄えに満足しているんです。ですからこれがみんなに気に入られなかったら、それは悲しいですよ」「次回作を必ずやりたい!」という本音も聞こえてきた。スタッフたちが、血も汗も涙も気遣いも全てを注ぎ込んだ映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』の公開が始まる。

映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は12月4日より2D / 3D全国公開
(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Peanuts (C) Peanuts Worldwide LLC. Photos by Mayumi Nashida

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