ウーマンラッシュアワーの映画たて・よこ・ななめ見!第33回:『パディントン』
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、長年世界中で親しまれている児童文学「くまのパディントン」を実写映画化したイギリス発の温もりあふれるファンタジー『パディントン』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・石井百合子)
しゃべるクマがフツーにいる世界に戸惑う
村本:それにしても、このロゴおいしそうやなあ……(※プレス資料のマーマレードを模した『パディントン』のロゴをガン見)。
中川:プーさんもハチミツ好きだったりするけど、クマって甘いもの好きなん?
村本:クマはハチミツを取るからな。
中川:映画の第一印象は、楽しい映画やなって。僕には3歳の子どもがいてるんやけど、例えば『テッド』だと、下ネタとかクスリの話とかも出てきたりするから、子どもには観せづらいかなと。けど、この映画はもうホントに、子どもからおじいちゃんまで、全年齢層が楽しく観られると思う。内容がわからんでもカラフルなイメージだけで、子供は反応しそうやし。
村本:まず、ビジュアルも含めて“クマ具合”がすごかった。鼻の辺りとか。『テッド』とか『くまのプーさん』とか、いろんなタイプがおるけど、ここまでクマ具合が強いクマっておらん気がする。ホントに日常の中にしゃべるクマがおったら、こんな感じなんやろうなって。
中川:そうそう、この話ってクマがしゃべることが当たり前になっとるよね。
村本:でも、冒頭の大昔に冒険家がペルーでクマたちを見つけたときのモノクロ映像で、「言葉をしゃべるすごいクマがいた」みたいなことを言っとったけど、実際にパディントンがロンドンに行ったらフツーに受け入れられてるっていう。
中川:駅におっても、誰の目にも留まってなかったよね。
村本:駅でブラウン家のお父さんがパディントンを見たときの第一声が、「変なやつがいるぞ」って(笑)。普通は「うわぁ、クマだ!」とか、大騒ぎしそうやけど。でも、小さい子にはこれを観て勘違いして野生のクマには近づかないでもらいたいです。
中川:一つ「あれ?」って思ったところがあって。パディントンが何かちっちゃい船に乗って、ロンドンに向かうよね。そのときに、カバンに詰め込んだマーマレードを船の上で一晩中ずっとなめ続けるんやけど、あのスーツケースに入ってる瓶の量とは考えられへんぐらいの量の空瓶が転がっとったよね……。
村本:あと、ちらっと出てきた“老グマホーム”が気になる! ペルーの山奥なのにちゃんと施設があると。老人ホームがあるからには町があって、福利厚生もしっかりしとって、病院とか学校もあるってことやん? やから、もうちょっとクマの暮らしは観たかったかなあ。
パーティー好きの中川と人見知りの村本
村本:この話って、『魔女の宅急便』みたく主人公が新天地で自分の居場所を見つけようと頑張る話やけど、俺も“日本のペルー”といわれる福井県から上京したから、ロンドンになじめないパディントンに共感したわ~。
中川:え、福井県ってそんなふうに言われとるん? 初めて聞いたけど……。
村本:東京に来たときは、地下鉄の乗り方とかわからんことだらけやったし、パディントンがブラウン家の浴室でパニックになる感じとか、わかるわ~。
中川:僕は、なじめないことなんてあんまりないなあ。どこへ行っても人見知りせえへんし、意外とすぐなじめる。千秋さんの誕生日パーティーとか、はるな愛さんの誕生日パーティーとか、結構パーティーには積極的に行くようにしてて。そういうところで、またいろんな人とつながりが出来たりするやん?
村本:俺は全然行ってない。それにしてもおまえ、よくその程度の知名度で行けるよな。だって、芸能人のパーティーとかって、現れたときに「おおー!」とか驚かれたいやん。
中川:そんなに気にならんけどね。
村本:だから、がさつなんやろうと思うわ。
中川:ちゃうわ、社交的って言ってよ。
村本:テレビ番組とかの収録でも、みんなは休憩時間になると仲良くお菓子を食べたりしてしゃべったりしているけど、俺の場合、マネージャーとかスタイリストと一緒にテレビ局の端の方で、「ここまでどうやった?」とか、そんな話しかせえへんからな。その場をとりつくろうだけのうそくさい会話は苦手で。
中川:僕はどっちかといったら、知らない人としゃべるし、誰よりもそこにあるお菓子を食べていると思う。
村本:大体なあ、おまえこの映画が始まったときに「これは全部CGですか?」って、言ったやん。俺は、ほんまのクマやと思ってどっぷりはまって観ていたのに、言われた瞬間めっちゃ腹が立ったわ。
中川:僕、素直やからね。
村本:空気読めよ!
忘れられない旅の思い出
村本:「旅」といえば、去年の1月に石垣島で一人旅してん。で、石垣島から高速船で20~30分ぐらい行ったところに黒島っていう、ちっちゃい島があって。そこの民宿に泊まったときに、その島の文化で、みんながご飯を食べるときに集まる「ゆんたく」っていう習慣があって、俺が一人で寝とったら島の人が声を掛けてくれて。正直、そういうの何しゃべっていいのかわからんし、気使って疲れるから苦手なんやけど、民宿のオーナーのおっちゃんが三線を弾いてくれて、朝まで泡盛を呑んで歌った、なんてことがあったわ。
中川:それって島の人たち、村本ってわかってた?
村本:わかっている人もいれば、わかっていない人もいたけど、みんな気さくで、芸能人やからって特別扱いもせず、何かほんまに、友達みたいな感じでしゃべって。そこは島田紳助さんも一人で来るらしいわ。
中川:そうなん!?
村本:不思議な島やったわ~。あと島のバレーボール大会にも無理やり参加させられたなあ。島の小学生たちと一緒に遊んだり。やけど、実は島の人、意外とシャイで、やからお酒をよく飲むらしい。昼間に、一緒に呑んだ駄菓子屋のおっちゃんとバッタリ会ったから、「昨日はありがとうございました」ってお礼言ったら、「うっ、うん……」ってモジモジして。めっちゃシャイやんって! あまりのギャップに驚いたわ。
中川:いい思い出やん、リフレッシュできたんちゃう?
村本:そうやね。ただ、もう二度と行きたくないわ! やっぱ相当疲れたから。
中川:せっかくええ話やったのにそうなん……。僕も今年のお正月に、初めて嫁と子どもでグアムに行ったんやけど、それ以来、子どもがめっちゃグアムを気に入って。僕が「今日、お仕事で飛行機に乗らなあかんねん」って言ったら、毎回のように「グアムに行くの?」って聞くし、「今度の休み、どこへ行きたい?」って言ったら「グアム」って即答するし。
村本:ぜいたくな子どもやな。
中川:グアムに行ったときに、おみやげを買おうと思って、スーパーマーケットで僕がマグカップとかグアムのお菓子を買っていたら、嫁がいきなり何か固形状のものが入ったカラフルな袋をカゴに入れて。「何、これ……?」って気になってしょうがないから説明を読んだら、「100%天然の●●●●●」「今夜、あなたはとても元気になります」みたいなことが書いてあって……。何も言えんで、そのままそっと買ったけどね……。
村本:使ったんや。
中川:使った! 嫁が夜、寝る前に何も言わずに水とそれを持ってきて。飲んだら、ちょっと何かぽっぽっぽっぽってなって。何かエナジードリンクを飲んだときみたいな感じ?
これだけは言いたい!ななめ見ポイント
村本:それにしてもパディントンは紳士やったわ。俺が考える「紳士」は、家に連れ込んだ女の子が帰ったときに、のぞき窓でいなくなったのを確かめて、息を殺しながら静~かに鍵を閉める男やね。
中川:何それ、どういうこと……?
村本:だって、寂しいやん。玄関出た直後に「ガチャ!」って鍵を閉められたら。
中川:まあ、言いたいことはわかるけど……。僕は、とりあえずスーツを着て、シルクハットをかぶってステッキを持ってたら、全員紳士に見えるけどね。
村本:それって見た目の話やんか。
中川:そういう恰好をしている人は「わたしは紳士ですよ」と言っているようなものでしょ。やから当然、行動も伴ってくると思うんやけど。
村本:大体そんな恰好の人、今おるん?
中川:たまに、かっこいいおじいちゃんとかいてるやん。
村本:でも、恰好だけかもよ? 全部完璧にせんかったら逆にめちゃくちゃ悪いやつに見えるで、多分。
中川:一つでもミスったら……?
村本:例えばエレベーターでボタンを押さんかったら、「あれ、こんな恰好をしてるのにボタン押さへんで。気が利かんやつやなあ」とかさ。
中川:じゃあ、スーツを着て、シルクハットをかぶってステッキを持ってる人は……大抵、紳士。
村本:雑やな!
今月の激オシ映画はコレ!
『パディントン』 長年世界中で愛されている、マイケル・ボンドの児童文学「くまのパディントン」を実写映画化。ペルーからロンドンにやって来たクマが親切な家族と出会い、パディントンと名付けられて自分の居場所を求めて奔走する。『ハリー・ポッター』シリーズなどのプロデューサー、デヴィッド・ハイマンが製作を手掛け、『007 スペクター』などのベン・ウィショーがパディントンの声を担当。
(C) 2014 STUDIOCANAL S.A. TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S Paddington Bear TM, Paddington TM AND PB TM are trademarks of Paddington and Company Limited
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。