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映画たて・よこ・ななめ見!

ウーマンラッシュアワーの映画たて・よこ・ななめ見!第34回:『ザ・ウォーク』

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ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、1974年に高さ411メートルのワールド・トレード・センタービルでの綱渡りに挑戦した男の実話を映画化した『ザ・ウォーク』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・入倉功一)

村本&中川、リアルな高さに失神寸前!

ザ・ウォーク
高所恐怖症の方はご注意!

村本:正直、高いっていうても、映画の中やから別に怖くないやろ……と思ってたら、映像技術がすご過ぎて、足から掌まで、ビチャビチャに汗かいてしまったわ。

中川:『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でも、世界一高いビル(ドバイのブルジュ・ハリファ)に上ってたけど、「うわ、こんな高いところ行ってんねや~」ぐらいで、怖さは感じなかった。けど、これは息が止まってしまう!

村本:スクリーンの中に、地上何百メートルの距離感が見えたな! 主人公のフィリップ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が綱に足を一歩一歩と掛けていくと、こっちもそんな錯覚に陥る。まさに、自分がニューヨーク上空の綱の上にいる恐怖に陥るのよ!

中川:めっちゃ怖いのに、音楽はクラシックやったりしてすごくエレガントというか。綱渡りを高いところでやってるってことだけで、こんなに芸術的なものになるんやって。

村本:失神しそうになる映画やけど、人間ドラマもしっかりしてるしな。フィリップに“共犯者”って言われる仲間たちもよかった!

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ザ・ウォーク
フィリップ率いる“共犯者”たちとの連係プレーも痛快!

中川:自分の彼女とカメラマンの親友、英語がしゃべれない数学教師とか、全員キャラ立ちしとって『七人のおたく cult seven』(1992)みたい。

村本:やったらあかんことなんやけど、何か“素敵な犯罪”っていう感じで。俺にはあんなん協力してくれる仲間はおらんわ……。

中川:寂しいな! 僕なんか、オードリーの春日さんから連絡が来たら、いついかなる時でも飛んでいくで! 「明日休みなんだよね」って言われたら、即いろいろ調べて、こういうのがそろってます! って提案してる。

村本:ほんま……おまえみたいなのは芸人辞めてほしいわ! 芸も磨かず下に付いてばっかで。接待で綱渡りしてどうすんねん!

「バイトリーダー」は、実は綱渡りのネタ

ザ・ウォーク
「かんだらおしまい」。「バイトリーダー」ネタのリスクを明かす村本

村本:面白いもんで、これは映画を観る前から言ってることやけど、ファンの前で単独ライブをやってるときって、1メートルぐらいの高さで綱渡りしてる感覚なのよ。

中川:確かに。それは昔から言ってるよな。

村本:ステージがどんどん大きくなっていくのも、綱の高さがどんどん上がっていく感じ。特に「THE MANZAI」のときの、「ここでこけたら全部が終わってしまう」ってなったときの高さは、もう半端じゃなかった! 俺らの「バイトリーダー」なんて、ブワーってしゃべっとるけど、かんだら一巻の終わりの漫才。お客さんも、どこかで大丈夫かなって思いながら、手に汗握って観とるわけで。

中川:そういえば自分、漫才中にカラオケみたいにセリフが浮かんで見えるって。

村本:そうそう、集中力が高まれば高まるほど、文字がパパパパパッて出てくる。早口なんて、賞レースに向いてないからやめておけとか言われたけど、それをやることによってお客もぐっと見入って、笑ってくれる。爆発力が違うのよ。

ザ・ウォーク
警備員たちの目を盗み、フィリップらがワールド・トレード・センターにワイヤーロープを仕掛ける一世一代の作戦には終始ヒヤヒヤ

中川:わかる、わかる。

村本:それと(お笑いと)地上411メートルの綱渡りに通じるものが何かって言ったら、それを観ている人々が、狂気を感じてるところやな。人ができない事をやろうとするとリスクもでかい。どんどん人が足を踏み入れない場所に入っていく。でも、そこにいく人こそがクレイジーと言われるわけ。するとみんな、自分たちが行けないところに行く人に魅了されて応援する。それこそがアーティストであって、みんながとりこになってしまう……何かいろんなものに通じるものを見た気がするわ!

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村本、アルバイト時代の仰天エピソードを告白

ザ・ウォーク
村本のバイト時代の戦慄のエピソードにドン引きの中川

村本:綱渡りといえば、飲み屋でバイトしてたころを思い出したわ。ボーイズバーっぽい飲み屋やったんやけど、いかついおっさんがホステスと入ってきてな。バイト俺しかおらんから接客するんやけど、もし粗相があれば、おっさんのまっ白なシャツに赤ワインがほんの一滴でもこぼれたら人生終わるわけや。

中川:きっついな!

村本:しかもそこで、「おまえ、芸人目指しているんだろう。面白い事言えよう」とか言われて。そこで「僕はここの席をニューカレドニアと言います。天国に一番近い場所」って言うたらドンとウケて。もう、綱を渡り切った達成感があったね! 「おもろいなあ」って言われて。さらに「おっちゃんの背中の塗り絵(刺青)見せて」って言うたらまたドーンとウケて! 今思えば、綱の上で寝そべってるような技よ。一歩でもボケ外して失敗したら……。

ザ・ウォーク
地上110階の高さの宙を歩くフィリップの視界の生々しさといったら……!

中川:1個でも外されへんなぁ。

村本:そう! けどそこで、席についてたホステスさんとそのおっちゃんに「小指、赤い糸つながっているんちゃう。あ、小指なかった」と言った瞬間にシーン……となってな。「村本君、それはあんまり、まあまあまあ」と言われた時に、何か綱から落ちたね。結果、席、退出させられたわ……。

中川:命懸かってなくて助かったな……。

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これだけは言いたい!ななめ見ポイント

ザ・ウォーク
見終えた後、冷や汗タラタラの村本&中川。でも大満足のようです!

村本:フィリップも俺にめっちゃ似とって共感できたな~。

中川:それもわかるわ~。単独前とか舞台直後、綱渡り前夜のフィリップみたいになってるもん。ピリッとしてるからあんまり近づかんとこ……みたいな感じになる。

村本:もう、全員に対して当たりが強くなるからな。「はい、どうも~」一つとっても、「今の言い方じゃない」って、何回も何回もやって。

中川:本人にしか違いはわからんのやけどな。僕はもう一緒やんって思ってまうわ。でも、主人公が捕まった後、テレビのリポーターに「何で危険に挑むんですか」って聞かれてるでしょ。でも本人は「わからない」って答える。あれ、「何でお笑い目指したんですか」みたいな質問されるみたいなことやな。初めは好きな芸人さんがいたりとか、何か理由があったかもわからんけど、いざ聞かれると、とにかくやりたいっていうのが一番大きいんかなって。

村本:いやおまえ、まるで自分が綱渡りをやり終えた後みたいなスタンスでしゃべっとるけど、気持ち悪いわ! ネタも作ってへんのに共感したみたいな。

中川:別にお笑い目指した理由の話やからええやん!

村本:あのな、俺は映画を観てて、コロコロチキチキペッパーズがテレビのCMで「やっべぇぞ」って言ってる画が浮んだわけ。「『ザ・ウォーク』、やっべぇぞ」みたいな。同時に、おまえのネタの使い勝手の悪さを思って、腹立ってきたんや!

中川:これはいつ捨てられるかわからんな。本当に。

村本:だから芸を磨くのよ! おまえなんか、綱渡りなんか一切せずに、命綱10個ぐらいつないでやってるだけやんか。しかも高さ30センチぐらいのところを!

中川:最初は高さ5センチぐらいから始めさせて!

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今月の激オシ映画はコレ!

1974年にワールド・トレード・センターでの空中綱渡りに挑戦した、フィリップ・プティの著書を実写化した実録ドラマ。彼が成し遂げた前代未聞の偉業の全貌が映し出される。メガホンを取るのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』シリーズなどのロバート・ゼメキス『ドン・ジョン』などのジョセフ・ゴードン=レヴィットフィリップ・プティを熱演、その脇をオスカー俳優のベン・キングズレーらが固める。事実は小説よりも奇なりを地でゆく物語はもとより、めまいがしそうな歩行シーンも見どころ。

オフィシャルサイトはコチラ>

作品情報はコチラ>

ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

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