連載第4回:ここに注目!ディズニー『ズートピア』の裏側を知って倍以上楽しもう!
『ズートピア』のヒ・ミ・ツ
ディズニー新作『ズートピア』のヒロインであるウサギのジュディは、一人前の警察官になるために一生懸命頑張る姿が印象的。ウサギのような小さい動物は、サイや水牛のような大きな動物にパワーではかなわないから、警官になることなんて諦めるべき……という社会の風潮に対して真っ向から挑みます。そんなタフで強いジュディは、脚本家のフィル・ジョンストンいわく「『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサみたい」とのこと。かなりかけ離れたように見える『マッドマックス』と実はつながっていた部分があるなんて……などなど、今回は『ズートピア』の小ネタをご紹介! これらをチェックして劇場に行けば、映画を100倍楽しめる『ズートピア』マニアになれるかも!
◆あんなところにアナとエルサ!?『ズートピア』には小ネタがいっぱい
本作の建築物は、動物的と都会的の要素の融合を目指して作られています。電車やエレベーターなどの機械に囲まれた都会的な様相の中に、緑の大群が突然登場したり、アニマル柄の床があったり……人間社会とは違う動物社会のエッセンスがところどころに隠れています。
動物たちの楽園「ズートピア」には、多種多様な動物たちの性質に合わせて、「サハラ・スクエア」(砂漠エリア)、「ツンドラ・タウン」(雪と氷のエリア)、「レインフォレスト」(熱帯雨林のエリア)、「サバンナ・セントラル」(あらゆる動物が集まる中央エリア)、「リトル・ローデンシア」(ネズミなど小さな動物たちが集まるミニチュアサイズのエリア)の五つのエリアが存在しています。そのため劇中で十分にピックアップされない部分もあるのですが、見えない部分もしっかりスタッフたちは考えているんです。例えば砂漠に住む動物たちの大半が夜行性ということで「サハラ・スクエア」には大きなホテルやカジノが存在していたり、気候についてはNASAの気候学者と相談して考えたり。キャラクターたちが触れない細部の設定もきちんとあるんですよ。
またオマージュをささげている作品もたくさん! ジュディが犯人を「リトル・ローデンシア」で追うシーンは、『ゴジラ』や『キングコング』のミニバージョンというイメージで製作されたそうです。また、スタジオジブリ作品『となりのトトロ』にインスパイアされて作った建物もあるのだとか。
個別の作品ではないですが、ジュディが警官になるために都会「ズートピア」に降り立つシーンでは、東京がフューチャーされているのだそう。特にジュディを圧倒する大都会の広告にはご注目!
そしてもちろん、ディズニー・アニメーション恒例の隠れミッキーもばっちり!(ヒントはニックがベビーカーを押しているシーンです!)そのほかにも、警察署に壁に貼っているカレンダーが『ベイマックス』のサンフランソウキョウだったり、「ツンドラ・タウン」には『アナと雪の女王』のエルサ&アナ姉妹の服を着たゾウがいたり……。過去作からの出演もいっぱいなんです!
◆シャキーラとシーア合作の主題歌!なぜコラボできた!?裏話
本作に登場する歌姫・ガゼルの声を担当したのは、世界的歌手のシャキーラ。彼女は本作の主題歌である「トライ・エヴリシング」も歌っています。そしてこの曲、女優の土屋太鳳が日本版ミュージックビデオに出演したことも話題になった顔を見せないアーティスト・シーアと、Ne-Yoの代表曲「So Sick」などを手掛けた音楽プロデュースチーム・スターゲイトが作詞を手掛けているんです!
このコラボが実現したきっかけは、シャキーラの妊娠が関係していました。2年前、まだ脚本が完成していない段階で、製作陣は彼女に声優と主題歌をオファー。ですが、ちょうどそのとき第2子を妊娠中だったシャキーラは、「今すぐに映画に関わりたいけれども、歌を書けないと思うの」と曲づくりに専念できないと説明。そして製作陣が彼女に、誰に歌詞を書いてほしいかと尋ねたところ、「シーア」と言ったことから、コラボ企画は動き出しました。製作陣はシーアとスターゲイトに『ズートピア』のコンセプトを売り込んで、ちゃんと気に入ってもらってからオファーしたのだそう。だから、何度打ち負かされても小さな体で立ち上がるジュディを体現したような、元気の出る歌詞になっているんですね。
◆カメラの秘密 見えないところで箱に乗っているジュディ
本作では、小さなネズミから、そのネズミの96~97倍のサイズのキリンまで大小さまざまな動物たちが登場します。ですが、その「本物と同じ比率」のために、どうしても画面に動物たちが入りきらない場面も……。
そんな時に役に立ったのが「アップルボックス(木箱)」! ジュディの身長の小ささをカバーするために、見えないところでジュディが木箱に乗っている場面があるんです。それぞれのシーンを見ながら、「あ、この身長差……ジュディ今、木箱に乗っているな……!」と考えてみるのも楽しいですよ。
それからカメラ担当の方いわく、ドローンカメラを使用したようなショットが3ショットあるそうです。そのうちの二つは、ズートピアの景色が初めて映るはじめの方の場面。もう一つはラストの……探してみてくださいね!(ヒントはガゼルです!)
そのほかにも劇中に出てくる車のデザインは、米自動車メーカー「フォード・モーター」でカーデザインを手掛けたJ・メイズが担当していたりと、思わず「え!?」と言いたくなるような要素が数多く仕掛けられている『ズートピア』。ストーリーだけではなく、細かいビジュアルも要チェックです! 「もしかしたら、この部分もあれが関係しているんじゃ……」なんて考えをめぐらせながら、『ズートピア』の世界を存分に満喫しちゃいましょう!(編集部・井本早紀)
映画『ズートピア』は4月23日より全国公開