最終的には感動!胸アツなホラー&サスペンス映画特集
今週のクローズアップ
ホラー映画といえば怖くて観てられない、夢に出てきそう、グロテスクすぎるなど観る人を選ぶイメージがありますが、実は感動する作品も多く、ジャンルだけで映画をよりごのみしてしまうのはもったいない! 今週はそんな胸を熱くさせる映画たちを紹介します。(編集部・小泉裕嗣)
女子向け感動ホラー『アザーズ』(2001)
『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマン主演のホラー。監督は『オープン・ユア・アイズ』で絶賛されたアレハンドロ・アメナーバル。『オープン・ユア・アイズ』のリメイク作品『バニラ・スカイ』で製作・主演したトム・クルーズが製作総指揮を務めています。広大な屋敷に2人の子供と暮らすグレース(ニコール)。子供たちは皮膚に病を患っており、日光が害となるためカーテンで窓を覆って、ランプの灯りで生活する日々。そんな家族の元に3人の使用人が現れます。それを境に、子供の走る足音、ピアノの音、勝手に開く扉など、屋敷で不可解な現象が。グレースを脅かす恐怖は何なのか? ラストに明かされる、切なくも悲しい真実が感動的。血しぶきやグロテスクな表現は一切なく、登場人物の心理描写や、カメラワークなどの場面描写のみで恐怖を演出している作品。
お母さんの愛に涙!『仄暗い水の底から』(2001)
黒木瞳を主演に迎え、『リング』の原作者&監督コンビ、鈴木光司と中田秀夫が再びタッグを組んで描く和製ホラー。安心してください、貞子は出てきません。マンションに引っ越してきた母と娘の周りで奇妙な現象が起き始めるという、ここまではよくある話。タイトルからもなんとなくわかるように、不審な雨漏りや、水道水が不味いなど、水にまつわる異変が起こります。特筆すべきはラストシーン。一言で言うと母の愛です。ただただ感動。黒木の演技力が素晴らしく、追い詰められたときに娘のことを普段の呼び方「郁ちゃん」ではなく「郁子」と呼ぶところなど、母の強さを感じさせるラストがグッと来ます。2005年にはハリウッド版のリメイク『ダーク・ウォーター』も制作されました。
余韻を残すラスト『永遠のこどもたち』(2007)
スペイン発のホラー映画。閉鎖されていた児童養護施設を買い取った主人公のラウラ。障害のある子供たちのためのホームとして再建するために、夫カルロスと幼い息子のシモンと共に移り住みます。遊び相手のいないシモンは、空想の友達を作り、まるでそこにいるかのように話し始めます。シモンの空想癖に不安を覚えていくラウラ。やがて、シモンが忽然と姿を消してしまう。必死でシモンを捜すラウラ。警察の捜索も空しく、行方不明になってから半年以上が経過します。お気づきでしょうが、なんとなく前に紹介している作品たちと「母と子に迫る正体不明の何か!」という構図が似ています。細かい設定など、練りに練られた脚本。胸をえぐるような真実に直面するも、なぜか救いを感じるラスト。宝探しゲームとネックレスの意味に気づくと涙が止まりません。主演は『美しすぎる母』のベレン・ルエダ、監督は短編映画やミュージックビデオ制作で活躍してきたJ・A・バヨナ。
切なすぎて苦しい『バタフライ・エフェクト』(2003)
こちらはSFスリラー。主人公の青年エヴァンを『ジャスト・マリッジ』のアシュトン・カッチャーが、相手役のケイリーを『アドレナリン』のエイミー・スマートが演じます。エヴァンにはときどき断片的に記憶喪失になってしまう病気が。治療の一環として日記を書き始めるエヴァン。ある日、日記に書かれている過去の時点に戻れる能力があることに気づきます。過去に遡り、未来を変えることができるようになったエヴァンは、ケイリーを死から救うために、過去を修正するタイムリープを繰り返します。しかし何度過去に行っても誰かが不幸に。ラストのエヴァンの選択は切なすぎて、胸が苦しくなります。他に選択肢はなかったのでしょうか。見終わった後、自分自身に置き換えて考えている体温が高めなあなたがいるはずです。
そうくるか!斬新な方向性の『ミッション:8ミニッツ』(2011)
『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホールが熱演するSFサスペンス。列車爆破事件の犯人を見つけるべく、すでに死亡した犠牲者と自分の意識を同期させて、脳内で過去の8分間を体験していく男の運命が描かれます。わかりにくい説明ですね? 簡単にいうと8分間で犯人探しゲームをする感じです。コンテニューはできますが、犯人が次の爆破予告をしているので、時間がありません。テンポよく進み、いつの間にか物語に夢中になります。ハラハラの連続ですが、主人公の秘密がとてもショッキング。絶対にハッピーエンドにならないと思いながらも、最後には胸が高鳴り、ふるふると高揚感が。そういうパターンもあるのかと考えさせられる一作。監督は『月に囚われた男 』のダンカン・ジョーンズ。
泣くとは思っていなかった?だよね!な名作『シックス・センス』(1999)
「どんでん返し」「衝撃のラスト」の代名詞となった本作。死んだはずの人間が見える少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と小児精神科医マルコム(ブルース・ウィリス)との物語がスリリングに描かれています。自分たちの満たされない思いを癒やして欲しいために、コールの前に現れる幽霊たち。最初は怯えまくっていたコールが、とある少女の幽霊(ミーシャ・バートン)の望みを叶えたことで成長します。
監督のM・ナイト・シャマランの名を一躍世界に知らしめた名作で、冒頭に流れる“この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい”というブルースの前置きも話題に。もはや結末を知らない人はいないのでは? というくらい有名な作品ですが、何も知識を入れずラストを迎えたとき、今までの伏線や謎がすべて回収され、なんとも清々しい気持ちになります。幽霊がテーマのホラー作品なので、おどろおどろしい雰囲気は全編に醸し出されていますが、コールの母や幽霊たち、登場人物たちの優しさ、苦しみを感じたとき、心が熱くなっていることでしょう。コールが自分の秘密を母親に打ち明ける瞬間、泣けます。