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鬼監督ジョニー・トーから武侠映画の巨匠まで、男も惚れる2大スターが激論!「俺たちをアツくさせる男たち」

第29回東京国際映画祭

シェッド・スキン・パパ

第29回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたワールドプレミア作品『シェッド・スキン・パパ』を引っ提げ、来日した香港の大スター、ルイス・クーフランシス・ン。男も惚れるギラギラ&クールな魅力を放つ2人が、リスペクトするアジアの監督たちについてアツい議論を交わした。ウィルソン・イップジョニー・トーら巨匠から新進気鋭の次世代監督まで、意外なエピソードが満載!(取材・文:くれい響)

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新人時代から知る武侠映画の巨匠ウィルソン・イップ

シェッド・スキン・パパ
『イップ・マン』シリーズで一世を風靡したウィルソン・イップ監督 Photo by Zhu Liangcheng/VCG via Getty Images

ルイス・クー(以下、ルイス):僕らが初めて共演したのは、『OVER SUMMER』(1999)。監督のウィルソン・イップは、当時ほぼ新人だったよね。

フランシス・ン(以下、フランシス):そうだな。そう考えると、彼の成長をずっと見守っているような気がしている(笑)。

ルイス:(笑)。あの頃から、彼は親子や兄弟など、家族愛や人情に関する描写がとてもうまかった。

フランシス:でも、彼は口下手だから、演出が曖昧なんだよね。それによって、映画全体をコントロールできなくなることもある。だから、現場ではとにかく監督と話すしかない。そこでわかったことを、まるで通訳のように、俺がほかの役者に伝えるんだ。

ルイス:彼は『イップ・マン 序章』(2008)で巨匠になったけれど、性格や作風は特に変わっていないよね。なぜなら、『イップ・マン』も、これまで通り、家族愛や人情、それからモラルの問題がテーマになってるわけだし。単に時代背景や武術家の伝記というパッケージ感が、これまでの作品と違うだけ。

シェッド・スキン・パパ
「家族愛や人情描写が秀逸」とイップ監督を絶賛するルイス

フランシス:(テレビドラマ「恋するパイロット」の劇場版)『Triumph in the Skies / 原題:衝上雲霄』(2015・日本未公開)を一緒にやったとき、「なぜ、わかりやすい商業映画を撮るようになったか?」という話になったんだ。そのとき、監督に限らず僕ら役者だって自分たちの生活があるし、家族のために働かなきゃイカンよな、というところに落ち着いた。二人とも『ジュリエット・イン・ラブ』(2000・日本未公開)のようなアート系っぽい作品が好きだけど、好きなテイストの作品ばかり撮っていてはダメだろうってね。

ルイス:みんなハッピーなのが、一番(笑)。実は明後日から『貧狼』という彼の新作現場に入るんだよ。いかにも彼の映画らしい父と娘のドラマで、僕は16歳の女のコの父親を演じるんだ。トニー・ジャーも一緒だから、アクションもたっぷりあるよ! 僕らが共演したことはないけれど、ジョニー・トー監督もあまり口が達者な方じゃないよね?

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なぜかよく怒るジョニー・トーの対処法は「慣れ」

シェッド・スキン・パパ
泣く子もだまるジョニー・トー監督。マフィアじゃありません Photo by Gareth Cattermole/Getty Images

フランシス:彼の現場は……もう慣れるしかない。慣れだね(笑)。

ルイス:僕らが現場に行って、最初にすべきことはカメラの配置を見ること。つまり、このアングルで撮るなら、自分は何をすべき、どう演じるのがベストなのか? ってことを考えるんだ。

シェッド・スキン・パパ
トー監督の現場は「慣れるしかない」と悟りの境地を語るフランシス

フランシス:何たって、彼の作品には脚本がないからね。それは彼がテレビドラマのディレクター時代から変わっていない。

ルイス:だから、僕らはトー監督のことを信じるしかない。彼はとにかく映画で何かを語りたい人であると同時に、独自のスタイルを持っている。でも、常に自分のスタイルを変えようと、何か新しい試みをやろうとしている。あと、よく怒っているけど、なんで怒っているかよくわからない……。

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大衆の好みを熟知するテレビドラマ出身のジャズ・ブーン

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なんと今年も共演作が公開されたというフランシス&ルイス

フランシス:(笑)。あと、グルメだから、現場で何かしら食べてるよね。今年は(テレビドラマの劇場版)『Line Walker / 原題:使徒行者』(2016・日本未公開)で、ジャズ・ブーンと組んだよな。彼は新人監督とはいえ、テレビドラマの演出家としてキャリアが長いから、こういうストーリー展開をすれば絶対に観客に受けると、大衆の好みを熟知している。

ルイス:彼とは知り合って10年以上になるから、映画デビュー作に関われてうれしかった。ただ、新人とは言えない。テレビドラマと映画の撮影はまったく違うけど、現場ではベテランのように見えたし(笑)。

演劇学校教師も務めるロイ・シートウはインテリ肌

シェッド・スキン・パパ
TIFFでもチケットが早々に完売した『シェッド・スキン・パパ』

フランシス:今回、東京国際映画祭で上映された『シェッド・スキン・パパ』のロイ・シートウも新人監督だけど、舞台監督としてはベテランだし、演劇学校で講師も務めているインテリ。ブーン監督と違うアプローチながら、観客が喜ぶツボを知っているという点では一緒じゃないかな?

ルイス:僕はシートウ監督とは今回初めて知り合って、一緒に仕事したんだ。もともと日本の戯曲を映画として脚色したわけだけど、そのちょっと変わった映画づくりに参加できてうれしかった。セットとか、舞台劇の要素をスゴくうまく取り入れているから、観客も舞台を観ているような感覚になるんじゃないかな。

シェッド・スキン・パパ
フランシス&ルイスと共に来日したロイ・シートウ監督

フランシス:今までいろんな監督と組んできたけど、正直な話、この監督がやりやすくて、この監督がやりにくいという考えはないな。ただ、リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープが制作した『The Warriors Gate / 原題:勇士之門』(2016・日本未公開)に出演したときは、なかなか慣れなかった。脚本が全てで、そのシーンのアクションについても細かく書かれている。これは完全にハリウッド流のやり方であって、撮影中にハプニングが起きたり面白いことになったときだけ、脚本に書き加える。基本、現場で変えることは、まず不可能なんだよね。

ルイス:香港映画の場合、脚本があったとしても、現場でみんなが意見を出していって、どんどん足していくことが当たり前だからね。

フランシス:今回も、とりあえず自分のプランで演じさせてもらったこともあったけど、その後に監督(『ロンドンゾンビ紀行』マティアス・ヘイニー)から「やっぱり脚本通りにもやってみて」と言われてしまったよ。まぁ、これもジョニー・トーの現場と同じく、慣れだと思ったよ(笑)。

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銃撃戦が始まりそうな顔ぶれですが、穏やかに時間は過ぎました
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