映画のプロが第89回アカデミー賞をズバリ予想!
『ラ・ラ・ランド』最有力の理由は? 主演男優&女優の有力候補は? 今年注目のダークホースは……? 映画のプロがさまざまな角度、根拠から主要6部門を予想! 賞レースの要となる「顔」が見えてきました。
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今祥枝
プロフィール「BAILA(バイラ)」「eclat(エクラ)」「日経エンタテインメント!」「MY STAR CLUB」など映画・海外ドラマの記事を執筆。当サイトでは「名画プレイバック」を担当。小ぢんまりした人間ドラマ&ミステリーが大好物。海外ミュージカル愛好家。
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『ムーンライト』
- 大穴
- 『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』
総評今年ほど政治色が強くなるであろう授賞式もなさそうで複雑な気持ち。去年紛糾した「Oscars So White(白すぎるオスカー)」問題もあるしね。というわけで、前哨戦の終盤からぐぐっと存在感を増している『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』と『フェンシズ(原題)』が未見ではあるけれど、主に前哨戦と政治的配慮をふまえての受賞予想。作品賞は『ラ・ラ・ランド』と『ムーンライト』、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の三つ巴? と思っていたけれど、追い込みで俄然『ヒデン~』が気になる存在に。とはいえ、やはり今年の主役は『ラ・ラ・ランド』になるのかな。迷うのは主演男優賞で、順当ならケイシー・アフレックだし素晴らしい演技だと思うけど、SAG(全米映画俳優組合賞)の結果からデンゼル・ワシントンに一票。主演女優賞は功労賞の意味も込めてイザベル・ユペールの受賞もありだと思う。『エル(原題)』も未見ですが。いずれにせよ、オスカーもいい方向に変化を求めたいところです。
プロフィール「BAILA(バイラ)」「eclat(エクラ)」「日経エンタテインメント!」「MY STAR CLUB」など映画・海外ドラマの記事を執筆。当サイトでは「名画プレイバック」を担当。小ぢんまりした人間ドラマ&ミステリーが大好物。海外ミュージカル愛好家。
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小林真里
プロフィール映画評論家/翻訳家。主な寄稿先は「DVD & ブルーレイでーた」「シネマトゥデイ」「映画秘宝」など。多数の映画パンフレットやムック本にも寄稿。好みのジャンルは恋愛/青春/ホラー/ビザールな映画全般。2017年のイチオシ映画は『ロー(原題) / Raw』。
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
- 大穴
- 『ムーンライト』
総評昨年はカンヌ、トロント、ニューヨークという三つのメジャーな国際映画祭に参加、連日ワールドプレミア作品を浴びるようにハシゴし、オスカー候補作の数々をいち早く鑑賞する機会を得ることができた。特に賞レースを占う意味で重要な9月のトロント国際映画祭では、『ラ・ラ・ランド』と『ムーンライト』が異常なbuzzを呼び、その熱狂ぶりを肌で感じていたので、両作品のオスカー席巻ぶりはさもありなん。往年のミュージカル映画にオマージュを捧げた、アカデミー会員が大好きな要素満載『ラ・ラ・ランド』の作品賞受賞はトロントで観たときから揺るぎないです。しかし何といっても、昨年最も活躍が顕著だった女優イザベル・ユペールが、ポール・ヴァーホーヴェン監督渾身の傑作変態映画『エル(原題)』の大熱演が評価され主演女優賞にノミネートされたのは、わが事のようにうれしい限り。エマ・ストーンが本命かもしれないが、ゴールデン・グローブ賞に続き受賞は大いにあるはずだ!
プロフィール映画評論家/翻訳家。主な寄稿先は「DVD & ブルーレイでーた」「シネマトゥデイ」「映画秘宝」など。多数の映画パンフレットやムック本にも寄稿。好みのジャンルは恋愛/青春/ホラー/ビザールな映画全般。2017年のイチオシ映画は『ロー(原題) / Raw』。
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斉藤博昭
プロフィールさまざまな媒体にレビューやインタビュー記事を執筆する映画ライター。Yahoo!ニュース 個人も日々更新中。大好物はイギリス映画。アクション、ミュージカルが得意ジャンルです。アカデミー賞予想は毎年、希望と現実の狭間で苦悶……。
総評作品賞は、数年ぶりに「とってほしい」と「受賞の確率の高さ」が一致。対抗馬は『ムーンライト』だが、最多ノミネートの総合力と、ロサンゼルス在住の会員が多いアカデミーを考えると、最後は『ラ・ラ・ランド』が勝ち抜けそう。気がかりなのはSAGのキャスト賞(アンサンブル賞)ノミネートを逃した点。その条件でオスカー作品賞にたどりつけば『ブレイブハート』(1995)以来とか。映画愛と、切ない運命をここまでロマンチックにまとめた作品なので、全面的に応援します! 演技賞ではSAG受賞のデンゼルの追い上げを、ケイシーがかわしてほしい。こちらの気が動転するほどの演技の瞬間があったので……。主演女優は、(イザベル・)ユペール姐さんの、ある意味で限界を超越した全身悶絶熱演も評価したいが、作品の勢いでエマに。昨年の「白すぎるオスカー」への反省は助演で生かされるはず。ほぼ主演格と言っていいヴィオラ(・デイヴィス)の受賞が現実的とはいえ、ここはあえて個人的評価でミシェル推し。役者が演技を通り越し、ここまで生身の人間としてスクリーンに生きられるのだと軽いショックを受けたので。
プロフィールさまざまな媒体にレビューやインタビュー記事を執筆する映画ライター。Yahoo!ニュース 個人も日々更新中。大好物はイギリス映画。アクション、ミュージカルが得意ジャンルです。アカデミー賞予想は毎年、希望と現実の狭間で苦悶……。
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相馬学
プロフィールアクション&ホラーを愛するフリーライター。SCREEN、DVD&ブルーレイでーた、劇場用パンフレットなどの紙媒体や、シネマトゥデイなどのネット媒体でお仕事中。心のアカデミー賞受賞作は『ロスト・バケーション』!
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『フェンシズ(原題)』
- 大穴
- 『ムーンライト』
総評例年、前哨戦の結果から受賞を予想しているけれど、『ラ・ラ・ランド』が圧倒的に他をリードしている作品賞と監督賞を除いて、今年は参考程度に留めた。というのも、ドナルド・トランプという“ジョーカー”が結果を左右する可能性があるから。アカデミー賞の結果には世相が反映されることが少なくないが、今年はこのジョーカーの存在が大きすぎて予想を難しくしている。人種を分断させかねない大統領の方針に、リベラルが多いハリウッドの映画人が受賞結果を通して“ノー”を突きつけてくるのでは? ただでさえ昨年、有色人種が俳優部門で1人もノミネートされないことが問題視されたアカデミーだから今年は台頭しても驚けない。というわけで俳優部門の受賞予想では、白人は主演女優賞の大本命エマ・ストーン一人。その彼女にしても、トランプに“過大評価されている女優”とディスられた大女優メリル・ストリープに票を奪われる可能性もある、か!?
プロフィールアクション&ホラーを愛するフリーライター。SCREEN、DVD&ブルーレイでーた、劇場用パンフレットなどの紙媒体や、シネマトゥデイなどのネット媒体でお仕事中。心のアカデミー賞受賞作は『ロスト・バケーション』!
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高山亜紀
プロフィール女性誌を中心に執筆。WEBでは「ELLE MEN」の「注目のイケメンにELLEが会いに行く」を担当。若手俳優の眼力に定評あり。新年早々、初恋のジョン・ハートの訃報にがっくり。『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』に涙。
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『ムーンライト』
- 大穴
- 『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』
総評白人だらけで不評だった昨年のノミネーションから一転、逆に公正なのかと首を傾げたくなるぐらい、きれいにアフリカ系が名を連ねた今回のラインナップ。追い風が吹いているとはいえ、それでも『ラ・ラ・ランド』の勢いは誰にも止められなさそう。テイスト的にも技術的にも、アカデミー賞好みの感じは『アーティスト』を思い出す。しかも主演女優は会員に愛されているエマ・ストーン。個人的には、エルサレム生まれのナタリー・ポートマンが(現ファーストレディ、メラニアさんが意識していると言われているジャッキーを演じて)スピーチすることになれば、ゴールデン・グローブのメリル・ストリープ同様の関心を集めるのではと期待せずにはいられない。アンドリュー・ガーフィールドは『ハクソー・リッジ(原題)』も素晴らしいけれど、『沈黙−サイレンス−』がもう少し注目されていたなら、もっと評価されたはずなのにと悔しい。今回は元カノ、エマへの反応でも見ておくかな。
プロフィール女性誌を中心に執筆。WEBでは「ELLE MEN」の「注目のイケメンにELLEが会いに行く」を担当。若手俳優の眼力に定評あり。新年早々、初恋のジョン・ハートの訃報にがっくり。『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』に涙。
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中山治美
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- 本命
- 『ムーンライト』
- 対抗
- 『ラ・ラ・ランド』
- 大穴
- 『フェンシズ(原題)』
総評『沈黙-サイレンス-』が撮影賞にしかノミネートされなかった時点で、今年のオスカー熱はすっかり冷めてしまったのですが。ハッキリ言うと、もうどうでもいい。一応予想すると、これまでの賞レースの流れを見ると、ハリウッドの皆様は『ラ・ラ・ランド』がお好きな様子。しかし! 昨年の“白いオスカー”に対する反動と反トランプ気運も高まり、『ムーンライト』や『フェンシズ(原題)』勢が伸びて来そう。とはいえ、『セッション』からわずか2年で、得意の音楽を使って作風をガラッと変えた新作を発表したデイミアン・チャゼルはポイント高し。『セッション』では3部門でしか受賞できなかったので、その時の残念賞込みで有力。主演の2人もこれまでの映画界への貢献度も含めて票を集めそう。個人的な毎年のお楽しみは外国語映画賞。今年はイランの『セールスマン』かな。これも反トランプってことで。そういう意味で今年は、皆さんの熱い受賞スピーチを期待してまっせ(ニヤリ)。
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前田かおり
プロフィール映画&海外ドラマライターとして、DVD&ブルーレイでーた、日経エンタテインメント!、ほか映画情報誌、女性、ティーン誌、海外ドラマのムック、番組ブログなどで執筆。好きなのは社会派サスペンスに激渋オヤジ奮闘系。
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- 本命
- 『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』
- 対抗
- 『ラ・ラ・ランド』
- 大穴
- 『ムーンライト』
総評ゴールデン・グローブ賞の時の圧勝で、オスカーも『ラ・ラ・ランド』祭りと化すと思っていた。が、トランプVSハリウッドの溝は深まる一方で、そもそも昨年の白すぎるオスカーの反動もある。というワケで、作品賞は『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』を本命に。『ムーンライト』は評価は高いが、エッジが利き過ぎなところでダークホースに。監督賞と主演女優賞は『ラ・ラ・ランド』で決まりと思うが、主演男優賞は悩ましい。順当にはライアン・ゴズリングと思うが、地味に芝居するケイシー・アフレックも侮れず、SAGで受賞したデンゼル・ワシントンがひょっとしたらという番狂わせもあるかも。個人的には取れないだろうけど、助演男優賞にマイケル・シャノンの名があるのはうれしい。『ラビング 愛という名前のふたり』でもいい味を出してるんで、合わせ技ならなぁ……。これに『沈黙-サイレンス-』のキャスト陣もノミネートされていればもっと萌えたのに。ともあれ、今年はいろんな意味で荒れるオスカーになる予感。
プロフィール映画&海外ドラマライターとして、DVD&ブルーレイでーた、日経エンタテインメント!、ほか映画情報誌、女性、ティーン誌、海外ドラマのムック、番組ブログなどで執筆。好きなのは社会派サスペンスに激渋オヤジ奮闘系。
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森直人
プロフィール「週刊文春」「TV Bros.」などでクロスレビュー担当。「朝日新聞」「キネマ旬報」「映画秘宝」「MEN'S NON-NO」などでも定期的に執筆中。主に若手・新人推しの姿勢ですが、最近はベテランの凄さに圧倒されることも多し。
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
- 大穴
- 『ムーンライト』
総評まずはやっぱり、みんな大好き『ラ・ラ・ランド』! ノミネート作品群は現時点で未見のものが数多いんですが、これは鑑賞済みでして、想像以上の名作ぶりに完全ノックアウトされました。賞レースの無双ぶりに超納得。言わばハイボルテージの新古典主義。映画の伝統へのリスペクトと愛がハンパないうえ、ミュージカルとしても、恋愛と自己実現の物語としても非常にわかりやすい。人生の光と影をくっきり描きつつ、映画全体としては問答無用の幸福感。これほど映画ファンに好かれやすい作品は近年稀じゃないかなと思います。作品賞、監督賞、そして主演女優賞は絶対とって欲しい。対抗馬としてはシブい『ムーンライト』と『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が上がってきている印象。この2作品も入る並び方にしてみました。助演女優賞のヴィオラ・デイヴィスは、実際は主演級なのにわざわざ助演扱いで賞レースに出馬したという気合いの入れよう、ねらいうち感を素直に受けてのチョイス。
プロフィール「週刊文春」「TV Bros.」などでクロスレビュー担当。「朝日新聞」「キネマ旬報」「映画秘宝」「MEN'S NON-NO」などでも定期的に執筆中。主に若手・新人推しの姿勢ですが、最近はベテランの凄さに圧倒されることも多し。
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山縣みどり
プロフィール「anan(アンアン)」や「GQ」、「25ans」、「ELLE」などで映画レビューやインタビューなどを執筆。賞レースで話題になる前に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と『エル(原題)』を二本立てで観て、泣いて笑ったのでした。三半規管が弱いので揺れる映画はNGです。
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- 本命
- 『ラ・ラ・ランド』
- 対抗
- 『ヒデン・フィギュアーズ(原題)』
- 大穴
- 『ムーンライト』
総評作品賞は今年の賞レースを席巻する『ラ・ラ・ランド』でほぼ決定とは思っている一方で、ブラックムービー3本にも可能性がありそうな気配も。だってトランプ大統領誕生後、分断されたアメリカに一石を投じたいアカデミー会員がカラフルな選択をする可能性もあるでしょ。監督賞は個人的にはバリー・ジェンキンズのストーリーテラーぶりに感動したけど、スクリーンの隅々から「映画が好きだ~」という雄叫びを上げたチャゼル監督が受賞するのが順当だよね。ああ、でも大好きなケネス・ロナーガン監督にもあげたいっ! 主演女優賞はルース・ネッガ推し。愛を貫くために強くなっていくヒロインを繊細かつタフに演じた彼女の表情が胸に響きまくったよ。ナタポーが最有力らしいけど、「どうよ、わたし?」みたいな頑張り過ぎ演技が鼻につくったら。JFKのレガシーを作ったのがジャッキーっていう話の流れもなんだかな~だったし。デヴ・パテルは主演と思ったら助演枠でラッキー? マハーシャラ・アリの対抗馬だけど、人種的にはかなりな票を集めそう。助演はもう今シーズンはヴィオラ・イヤーですから、鉄板ですな。
プロフィール「anan(アンアン)」や「GQ」、「25ans」、「ELLE」などで映画レビューやインタビューなどを執筆。賞レースで話題になる前に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と『エル(原題)』を二本立てで観て、泣いて笑ったのでした。三半規管が弱いので揺れる映画はNGです。
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ライター9名の予想!
受賞結果は日本時間2月27日に発表!
- 全員一致!