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デッドプールの野望~俺ちゃん、アメコミヒーロー映画No.1になる!?~

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スピンオフなのに本家X-MENを抜いてしまったぜ! 画像は前作『デッドプール』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 アベンジャーズに待ったをかけるべくデッドプールがやってきます! 今度の『デッドプール2』(6月1日公開)は、いろいろな意味で“史上No.1のアメコミヒーロー映画”になった『デッドプール』(2016)の待望の続編。全米では、オープニング3日間で1億2,550万ドル強(約138億500万円)のデビューを果たし、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『ブラックパンサー』に次ぐ今年3位のメガヒット! 批評家やファンの受けも良く再びセンセーショナルな大ヒットに。ここではそのデッドプールのすごさを数字で語ってみます。(文:杉山すぴ豊)

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そもそもデッドプールって?

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“第四の壁を超える”能力を持つヒーロー!? 画像は『デッドプール』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 実はデッドプールはX-MENシリーズのキャラで1991年のコミックス「ニュー・ミュータンツ」でデビュー。ウェイド・ウィルソンという凄腕の傭兵が、ガンに侵され、延命のためにある実験に参加し、驚異的な治癒能力を得ます。その治癒能力とは、あのウルヴァリンの力。しかし副作用で顔が崩れ、またエキセントリックなキャラに。彼はマスクで顔を隠し、マスクこそ自分の本当の顔と言うようになります。シャワーを浴びてタオル一丁の姿になってもマスクかぶってますから。

 物語は、傭兵なのでお金で動くわけですが、いつもとんでもない事件に巻き込まれ大騒ぎみたいな感じです。スパイダーマンをミリタリー調、かつ忍者っぽくしたデザインが素敵で、また傭兵なのであらゆる戦闘術に長けていて刀や銃といった武器を使いこなす描写も多く、かっこいいアクションヒーローであることは間違いない。

 でも彼がユニークなのは、“第四の壁を超える”という能力を持っていること。この“第四の壁”というのは演劇とかで役者が舞台から観客に向かってしゃべりかけるような演出のことを言うそうです。デッドプールの場合、コミックの中から読者に話しかけたりするのです(笑)。当然、映画になったのでスクリーンの向こうから観客に向かって話しかけます。こうしたぶっとんだ設定がウケて人気を得ました。

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X-MEN系映画史上No.1であるデッドプール!

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ニューチーム結成!? 画像は『デッドプール2』より - (C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 実はこのデッドプールは2009年に一度スクリーンデビューしています。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』という作品でウェイド・ウィルソンが登場。ただしこのときは、マスク姿のデッドプールにはならず、また映画自体もシリアスでしたが、おしゃべり傭兵というところは一緒でした。このとき、ウェイドを演じたのはライアン・レイノルズ。出番はあまりありませんでしたが、刀を使ったアクションなど印象に残るシーンも多く、ライアン・レイノルズ出演によるデッドプール映画を望む声が高まりました。

 そして2016年に『デッドプール』が公開。業界をビックリさせる大ヒットとなりました。3億6,307万ドル強(約399億3,770万円)を稼ぎ、これは全米歴代42位。なんとX-MEN系映画として史上最高の数字を記録しました! 

全米歴代X-MEN系映画興行成績TOP5はこちら!

1)『デッドプール』…3億6,307万ドル強(約399億3,770万円)
2)『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)…2億3,436万ドル強(約257億7,960万円)
3)『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)…2億3,392万ドル強(約257億3,120万円)
4)『LOGAN/ローガン』(2017)…2億2,627万ドル強(約248億8,970万円)
5)『X-MEN2』(2003)…2億1,494万ドル強(約236億4,340万円)

 そう、スピンオフ映画なのに本家を抜いてしまったのです! 日本でも同年の6月1日の映画の日に公開され、20億円を超え、これまた日本におけるX-MEN系映画史上最高の大ヒットとなりました。今回の『デッドプール2』も全米公開1週間で『X-MEN』(2000)『X-MEN:アポカリプス』(2016)『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)それぞれの興行収入総額を抜いています。再びX-MEN系映画史上No.1を狙っているのです!

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マーベル映画史上&アメコミ映画史上No.1に向かっている『デッドプール』シリーズ

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運転もエキセントリックだぜ! 画像は『デッドプール2』より - (C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 X-MEN、デッドプールはマーベルコミックスのキャラですが、X-MEN系の映画化権は20世紀フォックスが持っています。従ってディズニー&マーベルが提供するアベンジャーズ、アイアンマン系の映画、いわゆるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)とX-MEN系映画は共に“マーベル原作映画”ではあるけれど、映画会社が異なるため、MCUとX-MEN系映画は“別のシリーズ”ということになります。なのでアベンジャーズ系映画にデッドプールが登場することは今のところありません。MCUやDCのアメコミヒーロー映画をライバルと見なした場合、『デッドプール』の実力はどのあたりか比べてみると以下の通り。

全米歴代MCU&DCアメコミヒーロー映画興行成績TOP10はこちら!

1)『ブラックパンサー』…6億9,807万ドル強(約767億8,770万円)
2)『アベンジャーズ』…6億2,335万ドル強(約685億5,850万円)
3)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』…6億328万ドル強(約663億6,080万円)まだまだ記録更新中
4)『ダークナイト』(2008)…5億3,485万ドル強(約588億3,350万円)
5)『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)…4億5,900万ドル強(約504億9,000万円)
6)『ダークナイト ライジング』(2012)…4億4,813万ドル強(約492億9,430万円)
7)『ワンダーウーマン』(2017)…4億1,256万ドル強(約453億8,160万円)
8)『アイアンマン3』(2013)…4億901万ドル強(約449億9,110万円)
9)『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)…4億808万ドル強(約448億8,880万円)
10)『スパイダーマン』(2002)…4億370万ドル強(約444億700万円)
★『デッドプール』…3億6,307万ドル強(約399億3,770万円)

 『デッドプール2』が前作以上(3億6,307万ドル強/約399億3,770万円)の大ヒットとなれば『アベンジャーズ』シリーズ、『ダークナイト』シリーズに迫る数字となる可能性大です。しかもデッドプールは、MCUやDCが絶対かなわない、すごい数字の記録をすでに持っているのです! それは『デッドプール』および『デッドプール2』がR指定映画ということだからです。

 デッドプールのコミックは結構バイオレンスで血しぶきが飛んだり、残酷な描写も多い。またかなりブラックなジョークを飛ばしたりもします。従って映画版も、お子様厳禁のR指定(日本では15歳未満鑑賞)映画です。

 MCUは基本子どもも観ていいヒーロー映画ですから、R指定作品を作るとは考えられない。またDCもいまのところR指定映画を作っていないので、“R指定のアメコミスーパーヒーロー映画”という条件下では現在『デッドプール』が1位であり『デッドプール2』がこれに並んでいく可能性も大なのです!

 なお『デッドプール2』は、MCUやDC映画をおちょくったギャグやセリフがいっぱいで、すべてのヒーロー映画を挑発しています(笑)。

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愛され映画史上No.1を狙っている?『デッドプール2』

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俺ちゃん、本家『X-MEN』の記録を抜いちゃった! 画像は『デッドプール』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 『デッドプール2』がアメコミヒーロー映画史において、またまたすごい記録更新をする可能性があることはおわかりいただけたと思いますが、ではなぜここまで支持されたのか?

 1つは、やはりこのキャラが持つ破天荒さが受けて、そもそも根強いファンがいる、ということが挙げられますが、『デッドプール』という映画自体、ファンの声が後押しして生まれた映画だからかもしれません。というのも『デッドプール』の映画化は、なかなか実現せずお蔵入り寸前の企画だったらしいのですが、テスト映像がネットで公開され、ファンがその出来栄えに感激し、SNSを通じて大反響が巻き起こりました。

 この声が映画会社を動かし、製作にGOサインが出たそうです。だからファンの愛によって生まれた映画シリーズなのかもしれません。従ってデッドプールは、最もファンに愛されている映画の1つなのです。(数字はBox Office Mojo、配給調べ・1ドル110円計算)

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杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)プロフィール

アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画についての情報をさまざまなメディア、劇場パンフレット、東京コミコン等のイベントで発信。現在「スクリーン」「ヤングアニマル嵐」でアメコミ映画の連載あり。サンディエゴ・コミコンも毎年参加している。来日したエマ・ストーンに「あなた(日本の)スパイダーマンね」と言われたことが自慢。

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