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空前のスパイダーマン・ブームが起こる?スパイダーマン映画最新情報!

スパイダーマン映画はどうなる?
これからのスパイダーマン映画はどうなる? 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』より - (C) Marvel Studios 2018

スパイダーマンの魅力とは(連載第3回)

 3回シリーズで、スパイダーマンの魅力に迫る本企画。今回(最終回)は、皆が気になる、これからのスパイダーマン映画についてです。(文:杉山すぴ豊)

1.これから4本のスパイダーマン映画が連続公開!

 2018年後半から2019年にかけて“スパイダーマン映画”が連続してリリース。かつてないスパイダーマン・ブームが起こりそうです。11月2日に『ヴェノム』が日本で公開され、来年早々にアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』、来年5月ごろに仮称『アベンジャーズ4』、来年夏ごろに『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』がそれぞれ全米公開予定となっています。ほぼ3か月ごとに、新しいスパイダーマン映画を楽しむことができるわけです。

 興味深いのは、一口に“スパイダーマン映画”といっても、これらは“すべて異なるスパイダーマン映画”なのです。それは一体、どういうことなのでしょうか? まずそれを理解するために、スパイダーマン映画のビジネスまわりがどうなっているかをご説明しましょう。

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2.スパイダーマン映画のビジネス事情

 スパイダーマンはアベンジャーズと同じマーベルコミックスのキャラですが、映画化権はソニー・ピクチャーズが持っています。アベンジャーズを軸とする一連の“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”は、マーベルの映画部門マーベル・スタジオが製作しており、このマーベル・スタジオはディズニー傘下ですから、

・スパイダーマンは、ソニー映画

・アベンジャーズは、ディズニー映画

とまずは覚えておいてください。従って映画会社が異なるため、ソニーが今まで作っていたアンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマンとかはアベンジャーズに登場しなかったわけです。

 しかしソニーとディズニーが手を結び、トム・ホランド版のスパイダーマンは、ディズニーの(つまりマーベル・スタジオ)のMCUの住人でもある、という画期的な合意がなされました。それで2016年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、2018年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にスパイダーマンが登場し、他のマーベルヒーローたちと共演できるようになったわけです。

 ここで重要なのは、スパイダーマンがアベンジャーズの映画に出たからといって、スパイダーマンの映画化権がディズニー(マーベル・スタジオ)に戻ったわけではない、ということです。スパイダーマンの映画化権はいまだにソニーが持っています。従ってトム・ホランドのスパイダーマンがマーベルヒーローの一人として登場する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』およびその続編である、来年公開の仮称『アベンジャーズ4』はディズニー映画、トム・ホランドのスパイダーマンが主役の『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)とその続編である、来年公開の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はソニー映画なのです。

 しかしこれらの作品は映画会社が異なるのに、演じる役者が共通で、MCUという世界観・物語がつながっているのが極めてユニークです。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも登場するスパイダーマン - Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ
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3.まずは、ユニークなスパイダーマン映画が2本

 しかしソニーは、必ずしもMCUと連動しない独自のスパイダーマン映画を作ることも可能であり、それが『ヴェノム』と『スパイダーマン:スパイダーバース』です。

 『ヴェノム』はスパイダーマンが出ない、スパイダーマン系映画。スパイダーマンの映画化権を持っている、ということはスパイダーマンのコミックに出ているキャラを使って、それを主役にした映画を作ることができるので、スパイダーマンのライバルキャラで人気のあるヴェノムに白羽の矢を立てました。

 ヴェノムとはスパイダーマンをもっとホラーにしたような過激なクリーチャー。トム・ハーディ出演で映画化します。完全にMCUとは別の世界観でスパイダーマンは出てこない。ソニーは少なくともあと2作のヴェノム映画を予定しています。

 また『スパイダーマン:スパイダーバース』はアニメ映画。黒人のスパイダーマンが、さまざまな世界(パラレル・ワールド)のスパイダーマンたちと手を組んで活躍する『スパイダーマン:スパイダーバース』。ニコラス・ケイジがハードボイルドの世界で活躍するスパイダーマンこと“スパイダーマン・ノワール”の声を担当することも話題です。

4.どうなる!?トム・ホランド版スパイダーマン!

 トム・ホランドのスパイダーマンが好きな方にとっては仮称『アベンジャーズ4』と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の連続公開がうれしい。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で“大変なこと”になってしまったスパイダーマンのその後の運命が描かれるであろう仮称『アベンジャーズ4』については、まったく秘密のベールにつつまれています。

 しかし『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はある程度、情報が聞こえてきました。

・舞台はなんとロンドン! スパイダーマンことピーターたちが修学旅行かなんかでロンドンに行く。

サミュエル・L・ジャクソン演じる、元S.H.I.E.L.D.(シールド)のニック・フューリーと彼の部下マリア・ヒルが登場。

・ヴィランはジェイク・ギレンホールが原作コミックで人気のスーパー怪盗ミステリオ役、また前作のヴィランだったマイケル・キートンのバルチャーも再登場の模様。

・さらに液体人間ハイドロマン、全身金属のような肌で高温を発しているモルテンマン、サソリ男スコーピオン、変装の達人カメレオンらが登場との噂も。

 気になるのは“ファー・フロム・ホーム”というタイトル。これは、スパイダーマンがニューヨークというホームタウンを離れ、ロンドンに行くことを示唆しているわけですが、前作のタイトル、“ホームカミング”が、“スパイダーマンがアベンジャーズらと映画でも共演できるようにマーベルの世界=ホーム・ベースに戻って来た”という意味合いもありました。

 ということは、ここからまた飛び出して、新たなスパイダーマンの世界を作っていく、という意思表示? 実際、トム・ホランドくんのスパイダーマンの3作目は、MCUとはリンクしない、との噂もありました。

 さらにスパイダーマンは出ないといわれている『ヴェノム』に、なんらかの形でトム・ホランドが登場する説も根強い。なので映画の中身も楽しみですが、これからのスパイダーマン映画の方向性を決める作品に『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はなりそうです。

トム・ホランド
さまざまな“スパイダーマン映画”で活躍しそうな(?)トム・ホランドくん - Mike Marsland / WireImage / Getty Images

 いかがだったでしょうか? これだけ多くのスパイダーマン映画が作られる、ということは、やはりスパイダーマンというのはさまざまな切り口・解釈で楽しめるヒーローということでもあるのです。どのスパイダーマンから好きになってもOK! みんなで、この愛すべき若きヒーローを応援しましょう!

第1回 スパイダーマンはなぜ日本でも愛されるのか?

第2回 なぜスパイダーマンの役者は15年で3人もいるのか?

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杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)プロフィール

アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画についての情報をさまざまなメディア、劇場パンフレット、東京コミコン等のイベントで発信。現在「スクリーン」「ヤングアニマル嵐」でアメコミ映画の連載あり。サンディエゴ・コミコンも毎年参加している。来日したエマ・ストーンに「あなた(日本の)スパイダーマンね」と言われたことが自慢。

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