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時代とともに洗練をアップデートするブルガリ

映画に見る憧れのブランド

 創業135年を超えるイタリアのジュエリーブランドであるブルガリは、卓越した職人技とコンテンポラリーで大胆なデザインでジュエリー界の流行を常にアップデートしてきました。時代とともに進化するブルガリのルーツ、アイコンやミューズを映画とともにご紹介します。

シルバーから始まったブルガリ

ブルガリ
ブルガリ本店。Antonio Masiello / Getty Images

 ブルガリは1884年にギリシャ人のソティリオ・ブルガリによって創業されました。シルバー細工を生業としたギリシャ北部の村の職人の家に生まれた彼は、1881年にナポリを経てローマに移住し、1884年に最初の店を開きます。当時、裕福なアメリカやイギリスの若い男女が学校を卒業した後に、芸術文化、政治や歴史などを学びにイタリアやフランスへ、今でいう修学旅行のようなグランドツアーに行くのが習慣でした。古代ギリシャとローマ様式が融合した細緻にわたるソティリオのシルバージュエリーは、こういった若者の間に大人気になりました。

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プラチナとダイヤモンド

ブルガリ
第89回アカデミー賞授賞式でプレゼンターとして登場したアリシア・ヴィカンダーの胸元にはブルガリが。Frazer Harrison / Getty Images

 その後、ソティリオの店は観光名所各地に広がりました。1920年代に入り、2人の息子ジョルジョとコスタンティーノは、父の代で築いたシルバージュエリーの技術や経験をハイジュエリーに高めます。彼らは、幾何学模様のプラチナにダイヤモンドを密接させて組み合わせた、アールデコのフランス風のジュエリーを多数制作。特に1930年代にブルガリが発表した大ぶりのラウンド型のブリリアントカットダイヤモンドは、類のないユニークさで、ブルガリはほかのジュエラーと一線を画する存在になりました。

 ダイヤモンドとプラチナの個性的なネックレスは『トーマス・クラウン・アフェアー』(1999)にも登場します。スティーヴ・マックィーンの代表作『華麗なる賭け』(1968)をピアース・ブロスナン主演でリメイクした本作。ブロスナン演じる富豪トーマス・クラウンの陰の顔はなんと美術品泥棒。そして、彼を追いかける保険会社の調査員キャサリンをレネ・ルッソが演じています。劇中、トーマスがキャサリンに贈るダイヤモンドとプラチナのネックレスがブルガリ製で、きらめくプラチナに大きなダイヤモンドが息をのむほど眩いジュエリーです。

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セルペンティ、モネーテ、トゥボガス

ブルガリ
セルペンティを身に着けるリヴ・タイラー。John Lamparski / WireImage / Getty Images

 1932年に父ソティリオが亡くなると、ジョルジョとコンスタンティーノはブルガリの新しい時代を切り開きます。店舗をリニューアルし現在のロゴ「BVLGARI」を使用し始め、都会的でスタイリッシュなハイジュエラーとしての地位を確立しました。ところが、第二次世界大戦に入ると、宝石やプラチナが入手困難に。そこでブルガリはイエローゴールドに注力し、ブランドのアイコンの一つであるヘビをモチーフに使った「セルペンティ」が生まれました。

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『カジノ』より。Universal Pictures / Sunset Boulevard / Corbis via Getty Images

 セルペンティはマーティン・スコセッシ監督作『カジノ』(1995)にも姿を現します。マフィアが操る1970年代から80年代のラスベガスのカジノを描いた本作では、ロバート・デ・ニーロ演じるカジノのボス、レフティが、ハスラーのジンジャー(シャロン・スローン)に一目ぼれ。レフティはジンジャーに巨大なブルガリのジュエリーボックスを贈ります。そのボックスを開けると、セルペンティを始め、アンティークコインをあしらった「モネーテ」、丸みのある輪郭のしなやかなバンドが特徴の「トゥボガス」などブルガリだらけ。ブルガリのアイコニックなジュエリーが一挙に顔をそろえる名シーンとなりました。

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『ため息つかせて』より。Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 さらに、同年に公開されたホイットニー・ヒューストン主演作『ため息つかせて』(1995)では、ブルガリのイエローゴールドのチョーカーがメタファーとして使われています。本作は、1990年代に生きる4人のアフリカ系アメリカ人女性の人生それぞれの悩みを綴ったロマコメで、長年連れ添った夫が白人女性のもとに走り離婚を言い渡されるバーナディンを、アンジェラ・バセットが切なくパワフルに演じています。貧乏なときから支えた夫に尽くして生きるバーナディンが愛用するのはイエローゴールドのチョーカー。宝石もついていないのに、キラキラと煌めく黄金のチョーカーは、彼女の成功の象徴でもあり、彼女が乗り越えなければいけない過去のシンボルでもあります。

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トランブラン

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『エビータ』より。Buena Vista Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ブルガリは100年以上前から、花々の美しさをクリエイティブなジュエリーに表現してきました。あざやかな色どりで咲き誇る花をダイヤモンドの輝きで讃えたフラワー・ジュエリーは、マドンナ主演の『エビータ』(1996)にも顔を出しています。本作はアルゼンチンのフアン・ペロン大統領夫人エバ・ペロンの伝記をミュージカルにした物語。マドンナが歌って踊るエビータは、貧しい家からファーストレディにまで上り詰めただけでなく、国政にまで参加するほど女性や労働者から、聖母として愛された女性です。

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ゆらゆら揺れます。Venturelli / Getty Images for Bulgari

 映画では、フェンディの毛皮、クリスチャン・ディオールのドレス、フェラガモの靴などゴージャスでフェミニンな衣装を纏うエビータが胸に飾るのがブルガリの「トレンブラン」ブローチ。実際にエビータが持っていたブルガリのトレンブランブローチは、47カラットのダイヤモンドが花模様のプラチナ台に埋め込まれており、ブルガリは映画撮影のためにレプリカを制作したそう。トレンブランとはフランス語で揺れるという意味で、花弁をバネでマウントすることによって花がゆらゆらと揺れる、ブルガリを代表するアイコンです。

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パール

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第64回ベネチア国際映画祭のレッドカーペットに登場したアンジェリーナ・ジョリー。Chris Jackson / Getty Images

 女性の人生を守るという意味のあるパールは女性が大切な人生の節目で身に着けるジュエリー。ブルガリもまたパールをアイコニックなデザインに多く取り入れています。90年代後半にヒットしたラブコメ『ファースト・ワイフ・クラブ』(1996)にはブルガリのクラシックなパールネックレスが登場。夫に浮気され、離婚を言い渡された1番目の妻(ファースト・ワイフ)3人が結束し、夫に復しゅうするために奮闘するコメディー。彼女たちが大学の卒業式にブルガリのパールネックレスをして式に臨む冒頭から始まる本作は、パールネックレスが情と新しい人生のシンボルになっています。

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『ファースト・ワイフ・クラブ』より。Getty Images

 ダイアン・キートンゴールディ・ホーンベット・ミドラーら名だたるスターたちが個性的な女性を魅力的に演じ、映画のクライマックスで彼女たちがこのパールネックレスを身に着けて1964年に大ヒットしたレスリー・ゴーアの「You Don't Own Me /邦題:恋と涙の17才」を歌い踊る姿は、女性へ贈る心強いメッセージです。

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多くのハリウッドスターに愛される

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レッドカーペットで映えるゴージャスなデザイン!Tony Barson / FilmMagic

 第二次世界大戦後の1950年代から1960年代は宝石がジュエリー界に戻り、プレシャスストーンとカラーストーンの大胆な色使いや、石をつるんとしたドーム型のカボションなどブルガリの象徴的なスタイルが次々と生み出された時期。戦後の経済復興で豊かな生活を送るようになったイタリアの繁栄期で、ちょうどイタリアのコメディー映画やハリウッド大作がローマで撮影されるようになった頃。オードリー・ヘプバーンイングリッド・バーグマングレイス・ケリーアニタ・エクバーグなど全盛期のスターがコンドッティ通りにあるブルガリの店舗に訪れるようになりました。

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ド派手なヘッドアクセサリーもブルガリ!(C) Hulton-Deutsch Collection / CORBIS / Corbis via Getty Images

 なかでもひと際ブルガリを愛したのがエリザベス・テイラー。彼女がクレオパトラを演じ、後に結婚と離婚を繰り返したリチャード・バートンと共演した『クレオパトラ』(1963)の撮影のために、ローマに滞在したことがきっかけだったそう。バートンはテイラーにエメラルドダイヤモンドのリング、ブレスレット、ブローチやペンダントなど、ブルガリの新作を数多く贈ったそうです。

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『去年の夏 突然に』より。George Rinhart / Corbis via Getty Images

 テイラーは時折、自前のブルガリジュエリーで映画に出演していたことも有名な話。モンゴメリー・クリフトと共演した『去年の夏 突然に』(1959)は同性愛やロボトミー手術をテーマにした当時センセーショナルな心理ミステリーで、テイラーは狂気を疑われる若い女性を演じており、このときに纏うブラックドレスに着けた光るダイヤモンドのフラワーブローチがその一つです。

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ブルガリで輝く現代のミューズたち

 1967年創業者の孫たちにビジネスが受け継がれて、1970年代以降は世界主要都市へ店舗を拡大したブルガリ。その後も、日常にも使いやすいジュエリー、時計、香水、スカーフ、ネクタイ、サングラスや革製品を展開し、現在はホテルやレストランの飲食業でも大成功を収めています。

ブルガリ
Isa Foltin / WireImage / Getty Images

 映画界やスターたちとのつながりを大切にするブルガリは、ジュリアン・ムーアケイト・モスカーラ・デルヴィーニュゼンデイヤなど幅広い年齢層の女性に支持される時代を代表するミューズを起用してきました。2020年のキャンペーンミューズに抜てきされたのはナオミ・スコット。ディズニーの実写映画『アラジン』で強く自立した女性ジャスミン役を演じ、映画オリジナルの新曲「スピーチレス~心の声」をパワフルに歌い上げて世界中から注目されたイギリス人女優です。世界各国で貧困に苦しむ家族や子どもたちを支援するチャリティー団体「Compassion UK」のアンバサダーも務めています。自分らしさを追求する多面的な現代女性を体現するスコットは、イタリアの伝統文化を礎に常に革新性を磨き続け、洗練と華やかさを時代とともにアップデートするブルガリの顔にぴったりです。

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此花わかプロフィール

此花わか

映画ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。ジェンダーやファッションから映画を読み解くのが好き。手がけた取材にジャスティン・ビーバーライアン・ゴズリングヒュー・ジャックマンデイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、ガス・ヴァン・サント監督など。(此花さくや から改名しました)

Twitter:@sakuya_kono Instagram:@wakakonohana

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