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男子高校生の自慰行為を真正面から描いた日本初?の映画が大好評!

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督
ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督

 「自分は人とは違う」と思いながらも、家庭にも学校にも居場所をみつけられずもんもんとした毎日を送る高校生の姿をみずみずしく描いた青春小説を映画化した『グミ・チョコレート・パイン』。原作者大槻ケンヂたっての希望で監督を務めた、ケラリーノ・サンドロヴィッチがインタビューに答えてくれた。

 本作は男子高校生が自慰行為にふける姿が何度も出てくる。「それが小説のメインモチーフですからね」と監督も語るが、不思議といやらしさは感じられず(女性はちょっと引くかもしれないが)、時にはお腹をかかえて笑ってしまう場面もある。こんなふうに17歳の男の子を真正面から描いたのはおそらく日本映画では初めてだろう。ただ監督はいろいろなことが恥ずかしかったそうだ。「ぼくも彼らと同じような青春を過ごしているから、自分をさらけだすみたいなところが大きかったと思います。男からするとわかりきったことを書いてる気もして(笑)、純愛っていうのも何だか恥ずかしかった」と照れ屋の一面をのぞかせる。

 この映画が小説と異なるのは、2007年の現在、37歳になった賢三を描いているところだろう。そこに脚本も手がけた監督の作品に込めた思いを感じる。「いわゆる“青春映画”っていうのは、何もできなかった主人公が頑張ってクライマックスで何かを成し遂げて1回完結するものでしょう? でも、ぼくらのリアルな青春は、どこにも完結なんかなくて、ただダラダラダラダラ続いて現在に至っている。だとしたら主人公たちが今どうなっているかを、高校時代と並行して描くのが面白いと思った。それはある意味、残酷なことですけれど……」。そう、はっきり言って残酷だ。賢三は会社をリストラされて実家に戻ってくる。かつての仲間たちも、高校時代に夢見た理想とはかけ離れた現実を生きている。

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 「何かを成し遂げられなかった人、やってもうまくいかなかった人、やるまでもいかなかった人。そういう人たちが人生で花を咲かせられなかったからといってダメだったかというとそんなことはない。それから僕自身の周りにいた、本当に“業”の部分で何かを表現している人は生き方が下手な人が多いし。自殺した人もいるし、体制とうまく折り合いがつかなくて(表舞台から)下りた人もたくさんいる。そういう人たちばかりを賛美するわけでもないけれども、彼らをすべて等しく公平に描きたかった」

 歳をとったかつての“同志たち”に再会して思い出す、1986年、17歳だったあのころ。「2007年の賢三たちが過去をいやおうなしに思い出す。そういう局面を描くことによって、自分たちが過ごした青春時代が今の自分にフィードバックしてくる。思い出すことによって、彼らのなかで何かが変わるかもしれないという“気配”、それさえ出せればいいかなと」とかなり控えめに語るが、映画のラスト、賢三の表情を見ればそれは十分観客に伝わるはずだ。

 感動で胸がいっぱいになっていると、すぐそれを打ち砕くようなセリフが待っていたり、笑わせながら、歳をとることの残酷さも見せつける。いいことも悪いことも、楽しいことも、嫌なこともすべてがつながっていて、等しく公平に描かれてる。『グミ・チョコレート・パイン』はそんな映画だ。(取材・文 吹田恵子 シネマトゥデイ)

映画『グミ・チョコレート・パイン』は公開中
オフィシャルサイト:gumichoco.com

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