なぜこのあまりにひどい暴力描写の映画をリメイク?マイケル・ピットにインタビュー!
映画『ドリーマーズ』『シルク』などに出演し、インディーズ作品で実力を付けてきた若手注目の俳優マイケル・ピットが、新作映画『ファニーゲーム』(原題)について語った。同作は、カンヌ国際映画祭でもおなじみのミヒャエル・ハネケ監督作で、1997年に製作されたオリジナルをアメリカでリメイクした作品。オリジナル作品は、あまりに過激な暴力描写に、途中で席を立つ人も多く世界中で物議を醸した問題作だ。
-本作でのナオミ・ワッツとティム・ロスとの共演はいかがでしたか?
(マイケル・ピット)ナオミは、プロデューサーとしても参加していて、僕らが気付かないようなことも、いろいろとしてくれた。セットでの問題を解決しながら、難しいシーンを演じている姿は、彼女がこの映画に残した信念だと思う。ティムは、僕が問題にぶつかったときに、よく手助けをしてくれた。監督としての要素があるんだ(ティム・ロスは監督作がある)。
-ミヒャエル・ハネケ監督とのインタビューで、彼は演出の際にあなたのことをこらしめてやったみたいなことを言っていました。
(マイケル・ピット)彼は結構気難しいんだ。だけど彼はとても賢明な人で、僕が彼から受けた指示は決して不公平なものじゃなかった。撮影前にも彼とワーク・セッション(演技指導)をしていたんだ。普段、監督によっては、割と自由に演じさせてくれる人もいれば、かなり特定して指示してくる監督もいる。彼との仕事は、そういった意味では舞台劇をやっているようだった。
-この世界中で物議を醸した作品をリメイクをするミヒャエル監督の意図は、何だったと思いますか?
(マイケル・ピット)僕がオリジナルを観たときの感覚だと、今回彼はアメリカの話題について主張したいのだろうと思っていたんだ。実際後で彼に聞いてみたらそうだったしね。オリジナル作品のタイトルには、英語で書かれていたし、彼にとってこの映画で彼の主張が完結したといえると思う。そして、若者が鑑賞してくれて……多少暴力のシーンは心配だけれど、この映画をきっかけにほかのミヒャエルの作品も観てほしいと僕は思う。
-このキャラクターは、かなりのサイコヤローですが、俳優という職業もある意味では、サイコ的という気がしませんか?
(マイケル・ピット)俳優という職業は、身分や人間性なんかまったく関係ないんだ。それは仕事で、ある意味そのフリをするだけ。重要なのは、決して真剣に考え過ぎないことだと思う。不思議な仕事だと思うよ。
-次回作は何でしょうか?
(マイケル・ピット)今は音楽を中心に活動していて、新しいCDを製作しようと思っているよ。でも映画の方は、いつもなかなか決まらないんだ(それでも、彼は今年このほかに2作の出演作がある)。
オリジナルの製作から10年以上たったが、今度はアメリカ、また世界でどういった解釈がされるのだろうか? アメリカでは今週14日から公開される。(取材・文:細木信宏 シネマトゥデイ)