『ドラゴンボール』は現在進行中!そして今は中国版『E.T.』を完成!チャウ・シンチーにインタビュー!
映画『少林サッカー』『カンフーハッスル』でおなじみのアジアの大スターチャウ・シンチーが、共演者の子役シュー・チャオとニューヨークで新作『ミラクル7号』について語ってくれた。彼が3年ぶりに監督、脚本、製作、出演を務めるこの映画のストーリーは、貧乏暮らしを続ける親子のもとに、宇宙からなぞの生物が現れ、ユーモアと心温まる交流を図る話。まず、何よりも最初に驚かされたのが少年と思っていた子役が実は女の子だったということ。
-この映画には、どれぐらいあなたの人生の伝記的要素が含まれているのでしょうか?
(チャウ・シンチー)親にお金の余裕がなくて、子どもにオモチャを買ってやれず、子どもがイジメられてしまうところは、身に覚えがあります。僕も子どものときに衝動的な怒りから、ほかの子どもに殴られた経験があって、自分の中で強い印象を残したんです。それが大人になるまで、映画と同じ状況だと気がつきませんでした。そのときは、自分の親が一生懸命働いても買うことができなかったと気付かなかったんです。だから、この映画でそれを語ることができたらと思いました。
-あなたが小さいころ影響を受けたものは何ですか?
(チャウ・シンチー)子どものころは、よく日本のコミックを読んでいました。おもちゃは、よくロボットで遊んでいて、少年期には、ブルース・リーの影響を受けました。ファンタジーとしては、映画『E.T.』にハマりました。特に観客が泣いたり笑ったりしている反応を観ながら、家族全員で観られるこの映画に驚きました。あらゆる感情をかきたてるようなあんな映画が作りたいと思ったのです。
-シュー・チャオ、男の子を演じてみてどうでしたか? もし女の子の役だったら、かなり違っていたでしょうか?
(シュー・チャオ)キャスティングのセッションに行ったときは、かなりの子どもが回りにいたので、少し心配だったの。私が選ばれたことに本当にビックリしたわ。ずっと緊張していたし、自分の髪の毛を切らなければならないことも心配だったの。
-彼女を主役に選択した理由は何だったのでしょうか?
(チャウ・シンチー)オーディションの段階では、ウォール街の大物の役など、普段子どもがしないようなことをいろいろと試してみて、それを子どもたちにやらせてみたのです。その際に、彼女が僕の想像していた演技に一番近かったんです。だから彼女を選択しました。
-特撮について、中国とアメリカの特撮を比較してみて、今の中国はどのような位置にいるのでしょうか?
(チャウ・シンチー)約1年間ポスト・プロダクション(撮影後の編集期間を指す)に時間を費やしたのですが、僕の国ではそんなに特撮が多用される映画が少ないため(カンフー映画は、ほとんどワイヤーアクション)、この期間に入る前は、かなり懸念をしてはいましたが、自分たちのできる限りの特撮ができたと思っています。確かにアメリカにとっては、特撮は目新しいものではないのではありません。アジア圏内はまだ到底それにはおよびませんが、これからもっと水準を高くして新境地を切り開いていきたいと思ってます。
-今回の作品は、過去の主役をやっていた2作に比べてあなたの出演時間が短いのですが、これからむしろ、監督を続けていこうとお考えですか?
(チャウ・シンチー)僕は監督やプロデューサーの方にむしろ興味を持っていて、今はそれに集中するつもりです。最終的には、監督業だけをやっていきたいと思っていて、実は今回の作品も、僕はまったく出演する気がなかったのですが、誰もふさわしい俳優が見つからず、プロデューサーに言われてようやく出演を決断しました。
-あなたの友人はこの映画を観てどんな反応をしていますか? それとチャウ・シンチーと仕事をしてみてどこが気に入りましたか、一番良い点を教えて下さい?
(シュー・チャオ)わたしの友人はこの映画を観て、わたしと友達であることを喜んでくれているの。わたし、彼と一緒に食事するのが好きなの。彼はいつも違う食べ物のある店に連れて行ってくれて、彼は食べている時が一番幸せに見えるのよ!(笑)
-これからの新作について、まず『ドラゴンボール』はどのように進行していますか?
(チャウ・シンチー)映画『ドラゴンボール』に関しては、プロデューサーとして参加し、脚本が正しい方向に展開するように確認している状態です。『Journey To The west』に関しては、まだどういう形で、私が参加するかは決まっていませんが、依頼された分野だけに集中してやりたいと思っています。
-映画『カンフーハッスル』の続編の可能性は?
(チャウ・シンチー)現在似たような内容のものを企画していますが、続編ではありません。もっとクリエイティブな形で仕事をしたいので、続編はこれからもやることはないと思います。
チャウ・シンチーが落ち着いた口調で丁寧に翻訳者に語りかける姿と対照的に、ハシャギまくっていたシュー・チャオ。チャウ・シンチーは、これから彼女を連れてこんなに厚いステーキ(指で大きさを示しながら)を食べに行くと言っていた。彼が少年のような笑顔で、シュー・チャオを見つめていた姿は、まるで映画の役そのままだった。(取材・文:細木信宏 シネマトゥデイ)