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ウォン・カーウァイ監督、今後アメリカを活動の拠点にはしない…

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ウォン・カーウァイ監督
ウォン・カーウァイ監督 - 写真:Nobuhiro Hosoki

 独創的な視点と斬新的な手法で、近年のアジア映画を引っ張ってきたウォン・カーウァイ監督が、初めて製作した全編英語作品『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を宣伝するために、ニューヨークを訪れ記者会見で、撮影模様とノラ・ジョーンズとのコラボレーションについて語った。

-ノラ・ジョーンズとは音楽についてどのような話し合いがあったのでしょうか?

(ウォン・カーウァイ)最初に、アメリカ横断を繰り返して、それぞれどこの地に、どのチャプター(物語の一章)を当てはめていこうか考えなければならなかった。わたしはそれを決断する旅の前に「次の2週間は、車で旅を続けなければならないため、音楽が必要だ」と感じ、この分野のエキスパートであるノラに作詞、作曲、それだけでなく曲の推薦をしてもらったんだ。彼女は素晴らしい曲を推薦してくれた。(ちなみに、このときノラは、オーティス・レディング、キャット・パワー、カサンドラ・ウィルソンの曲を推薦している)

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-なぜこのロケーション(ニューヨーク、メンフィス、ラスベガス)を選択したのでしょうか?

(ウォン・カーウァイ)まずニューヨークは、わたしにとってアメリカ国内で一番馴染みのある都市なんだ。オリジナルのアイデアでは、すべてのストーリーがニューヨークのダイナーで起こる展開だったんだ。だが、全編をニューヨークで撮るのは、かなりの予算が掛かるとして、話の展開をエリザベス(ノラ・ジョーンズ)が旅行することに変えたんだ。アイデアとしては、その旅行を(コンサート)ツアーのような形にして、ノラにとってもやりやすくしたかった。

-脚本はあなたが始めに中国語で書かれて、それを訳されたのですか? それから、ローレンス・ブロックとの脚本構成の過程を説明していただけますか?

(ウォン・カーウァイ)この脚本のアイデアは、数年前に私が撮った短編から生まれたものなのだが、あらゆる内容が違ってしまうため、単純に訳すことができなかった。そこで、知人であり仕事ぶりを良く知っているラリー(ローレンス・ブロック)に頼んだんだ。ただ、われわれの仕事の仕方は、普段監督と脚本家がやるような一般的な形の議論ではなかった。まず最初に、私がアイデアをラリーに説明して、それから10日後に、彼とソーホーにあるコーヒー・ショップで待ち合わせをして、その時に彼から封筒(脚本)を渡されるんだ。わたしは、それをホテルに持って帰ってコメントを書いて、2、3日後にまたコーヒー・ショップで再会するという、まるでスパイ・ゲームみたいなやり方だった。コーヒー・ショップでは、決して長い会話をしなかったし、単に封筒を交換していただけだよ(笑)。

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-あなたは、ポップ・スターをよくキャスティングしていますが、彼らのどのような要素があなたをそうさせるのですか?

(ウォン・カーウァイ)決してポップスターをキャスティングしようと思ってやっている訳じゃないんだ。確かにトニー・レオンレスリー・チャンフェイ・ウォン、ノラにしろ、それぞれ立派な歌手ではあるけれど、性格と波長なんだ。ノラに初めて会った時すぐに、彼女からみなぎる自信を感じた上に、彼女は優れた俳優にもなれると直感したんだ。それは、ある人はカメラの前でも自然体でいられるということなんだ。また、これが彼女の処女作ということが、私の初英語作品と重なりあって、興味深いものになるとも思ったんだ。

-あのステキなキスシーンについて説明していただけますか?

(ウォン・カーウァイ)あれは、かなり時間の掛かった複雑な撮影だった。あのシーンは、長い間離れていた二人の距離を縮める重要な箇所なんだが、カメラが頭上に設定されていて、撮影中のジュード・ロウは、体操選手みたいに片手でずっと自分を支えていなければならなかった。

-今度の撮影を行ってみて、これからもっとあなたのアメリカ作品が観られるのでしょうか?

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(ウォン・カーウァイ)わたしは、いまだに香港を拠点にして活動している。確かに今度の撮影は、ノラも語っていたように記憶に残る良い思い出にはなったが、この繰り返しをしたくはない。あくまで、何か語る必要性のある題材に出会うことがなければ、やることはないだろう。

-次回作を教えてください。

(ウォン・カーウァイ)現在いくつかの作品に関わっていて、ひとつは『グランド・マスター』でブルース・リーに関連した話。それと『レイディ・フロム・シャンハイ』。英語で撮影され、ロシアやアメリカでも撮影を予定している。(ただ、現在はアメリカのプロダクションが参加していないため、上記のようなアメリカ作品にはならない)今のところは、このどちらかを撮るかはわからないけどね。

 黒いシャツにいつものサングラス姿だったが、的確に自分が主張したいことを英語で説明していた。字幕を読むことを億劫がるアメリカ人にとって、今度の彼の英語作品がどう受け入れられるか楽しみである。(取材・文:細木信宏)

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