クリント・イーストウッド監督の「黙れ!」に、スパイク・リー監督が応戦
スパイク・リー監督が、クリント・イーストウッド監督の映画『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の2作品に黒人兵士が出てこない、と語ったことに対し、イーストウッド監督が「黙ってろ」と反撃した件で、リー監督がさらに応戦している。
イーストウッド監督は、ガーディアン紙のインタビューで「旗を立てたのは黒人じゃない。歴史に忠実に描いたまでだ。黙っててほしいね」とコメント。さらに新作『ザ・ヒューマン・ファクター』(原題)では「マンデラ大統領役を白人にやってもらうつもりもないよ」と、辛らつなジョークで対応した。大御所のこの反応に、リー監督は「黙って」いられなかったよう。
ABCニュースのウェブサイトによると、リー監督は「彼は偉大な監督だ。彼は彼の映画を作るし、僕は僕の映画を作る。でも、黙れっていうコメントは、ただの怒った老人に見えるね」とコメント。「旗を立てた兵士の一人を黒人にしたてろ、と言ってるわけじゃない。ただ、黒人だって硫黄島で大事な役目を果たしたと言っただけだ。彼は、僕が歴史を書き換えたいと思っているのかもしれないけど、僕が言いたいのは、あの2作品にはひとりも黒人が出てこないってことだけだ」と語っている。アトランタとニューヨークの大学で学位をとったリー監督は、「でっちあげなんかじゃない。僕は歴史の学生だったんだ。第二次世界大戦に従事した100万人の黒人の男女を描かないできたハリウッドの歴史だって知ってる。硫黄島を描いた映画はどれも、黒人は出てこない。これまで、侮辱され否定されているような気持ちがしてきたよ。でもどうしようもないんだ。アメリカでは今もまだ、人種差別的な力が底を流れているんだからね」と語った。