オダギリジョー単独インタビュー!結婚をせかされる男の「女性に対するねじれ感」をイメージした
オダギリジョーの最新主演作映画『たみおのしあわせ』がいよいよ公開される。見合いを繰り返した末、やっと結婚にこぎつけるという青年・民男を気負いなく演じ、その演技の幅広さをまた証明したオダギリが、作品や撮影時のエピソードを語ってくれた。
Q:監督の岩松了さん、結婚相手役の麻生久美子さんとくしくも「時効警察」のメンバーがそろいましたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
3人でいても、ドラマの時とは違ってました。“時効”がある種、ディズニーランドに行ってるみたいな独特な状況でしたから、同じだったらむしろ問題ですけどね(笑)。
Q:本作のどこに魅力を感じて出演を?
脚本をそのまま具体化することには、僕はあまり興味が持てないんですが、岩松さんの脚本は要所要所に哲学を感じられ、セリフも文学的なんです。発する言葉のキャッチボールは信じるよりも、そこにいる人の関係性と状況から読み取る作業が面白かったですね。ストーリーもストレートじゃなく、シニカルで、どこか崩れてますし。そういうところに魅力を感じました。
Q:父親に結婚を急かされるほどオクテな民男ですが、どんな解釈で演技を?
最初に台本を読んだときにイメージしたのは「ねじれ」です。民男の女性に対するある種の「ねじれ」ですね。父親との関係も、愛情の表現のベクトルが違っていて、仲がいいのか悪いのかわからない。そのすれ違ってる感じがけっこう好きでしたね。
Q:撮影の合間、共演の小林薫さん、大竹しのぶさんと愛について討論したそうですね。
実は酔っぱらっていて……諸先輩方なんですが、ほとんど話半分で、覚えてないんです(笑)。僕はただ、面白い意見のほうに乗っかっていただけだと思います(笑)。
Q:しあわせになりたい大人たちが多数描かれていますが、共感した登場人物をあげるとすれば?
高齢の方々が、映画のなかで恋愛というか、いろいろとなるんですが、ああいうふうに僕もなるのかなぁ、なれるといいなぁ、と思いました(笑)。年を重ねたほうが、自由になれるのかもしれないですね。
Q:ヨーロッパ映画のような上質なユーモアとペーソスを感じる作品ですが、岩松監督は音楽がフェリーニ的だとも。音楽の「勝手にしやがれ」は、オダギリさんのご推薦とか?
“勝手”さんとはCDを一緒に出してるんですが、リーダーの武藤さんが「映画音楽やりたいんだよね」って前に話してたので、いい機会があったら推したいなと思ってたんです。岩松さんが彼らのライブを観に行って、最終的に決まった感じです。
Q:観客にこの作品で何を感じてほしいですか?
途中、題名がラストシーンに出てくる『そして夏がきた』になりかけたのを、『たみおのしあわせ』のほうが絶対にいいと説得して戻った経緯があるんです。ちょっと間抜けな感じもして(笑)、本当にいい題名ですよね。きっと、観た方もしあわせについて考えてしまう作品なんじゃないかと思います。
映画『たみおのしあわせ』は7月19日よりシネスイッチ銀座ほか全国公開