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『オーストラリア』は振るわず…『フォー・クリスマス』が1位に!-12月1日版

全米ボックスオフィス考

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惜しい!『オーストラリア』
惜しい!『オーストラリア』 - (C) 2008 TWENTIETH CENTURY FOX

 イケメンのバンパイアも、クリスマス・パワーにはかなわず……! 感謝祭で4連休だったアメリカで、先週1位だったバンパイア映画『トワイライト~初恋~』をけ落として今週末トップに輝いた映画は、興行収入3,170万ドル(約31億7,000万円)を記録したドタバタコメディー映画『フォー・クリスマス』(原題)に決定! 先週、大人気だった『トワイライト~初恋~』は2,637万ドル(約26億3,700万円)で第3位に収まった。

 『フォー・クリスマス』(原題)はリース・ウェザースプーンとヴィンス・ヴォーンがカップルを演じる。二人の両親は、両組とも離婚していて音信不通。それぞれのママ側とパパ側の、計4家族をクリスマス訪問しなければならないという、とてつもなく面倒な状況に追い込まれることから始まるコメディーだ。

 この映画の面白さは、日本の年始を想像していただけるとわかりやすい。なぜなら、アメリカのクリスマスは、日本の新年によく似ているからである。アメリカのクリスマスは、日本に忘年会や新年会があるように、ドンチャン騒ぎのパーティーもあるのだが、当日はみんなが実家に戻り、家族が一堂に会してお祝いをするというのが主流なのだ。そして、久々に家族が集うことによって諸々の騒動が起きるのもこの時期……。このあたりも万国共通なのである。

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 誰もが一度は経験したことのある、ホリデー・シーズンの悲喜こもごもが全米の映画ファンにまんべんなくウケた結果が、今週公開の『フォー・クリスマス』(原題)の1位につながったようである。

 前後したが今週の2位は2,660万ドル(約26億6,600万円)を売り上げたディズニー映画『ボルト』(原題)。ジョン・トラヴォルタが主人公のワンちゃん、ボルトの声で出演している。現在の2位と3位は大接戦で、3位『トワイライト~初恋~』が2,637万ドル(約26億3,700万円)、そして2位の『ボルト』(原題)が2,660万ドル(約26億6,600万円)、とデッドヒート状態。全米興行収入を発表する業界紙によっては、『トワイライト~初恋~』を2位としてランキングしているところもあるくらいの接戦だ。この2作品、現地時間月曜夕方の最終統計ではランキングが入れ替わることも十分ありえるので、最終発表が楽しみだ。

 そして今週の4位は映画『007/慰めの報酬』で1,950万ドル(約19億5,000万円)。全米ではベスト3から外れてしまったが、世界ランキングでは5週連続で堂々の1位である。5位は、バズ・ラーマン久々の監督作品である映画『オーストラリア』。この映画は今週末デビュー作品で、ホリデー超大作の一つとして注目を集めていたのだが、意外にもランキングが上がらず1,480万ドル(約14億8,000万円)の収入で5位となってしまった。

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 推定製作費1億3,000万ドル(約130億円)を投入して撮影され、主演に、ニコール・キッドマンと、このほど「ピープル」誌の“全米で一番セクシーな人”に選ばれたヒュー・ジャックマンを迎え、第二次世界大戦前のオーストラリアを舞台に壮大なスケールで描かれた大河ロマンスものだ。感謝祭が始まる前の水曜日から公開されたのだが、書き入れ時だった週末連休も含めて、現在やっと2,000万ドル(約20億円)の興行収入となった途中報告がされている。

 予想を多少下回った結果とはいうものの、『オーストラリア』の製作スタジオにあたる20世紀フォックスの担当責任者クリス・アロンソン氏は強気の姿勢を見せており、「現在の売り上げから見て、ホリデー期間を通じて息の長いロードショーが期待できるであろう」と述べており、「大人を対象にした映画にしては、素晴らしい結果だと思う」とロサンゼルス・タイムス紙に語った。スタジオの上層部たるもの、弱味を見せては負けなのである。

 今週公開となった話題作でトップ5を逃したもののトップ10入りしている作品には、ジェイソン・ステイサム主演のアクションシリーズ映画『トランスポーター3』が7位で1,233万ドル(約12億3,300万円)。そして、ショーン・ペン主演で、実話を基に描いた作品である映画『ミルク』(原題)の1,381万ドル(約13億8,100万円)が10位。

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 『ミルク』(原題)はオスカー・シーズンを目前にして、批評家たちの間でますますアカデミー賞受賞有力説が高まっており、評判が評判を呼んで、限定公開であるにもかかわらず一館あたり3万8,000ドル(約380万円)の興行収入と高い成績を上げている。

 まだ差別が多かった1970年代に、自分がゲイであることを恥じず、勇敢にサンフランシスコで政治家として活躍し、暗殺によってその生涯を閉じたハーヴェイ・ミルク氏の半生を描いたこの作品は、2005年にゲイのカウボーイ二人の悲しいロマンスを描いて大ヒットした映画『ブロークバック・マウンテン』とよく比較されている。だが、『ブロークバック・マウンテン』がアカデミー賞を逃した反面、この『ミルク』(原題)はガス・ヴァン・サント監督の手腕とショーン・ペンの熱演で、あらゆる賞を総なめにするのでは……と予想する関係者も少なくない。

 さてお楽しみ次週の予告だが、興味深い作品がまず一つ。渋い映画で有名なワインシュタイン・カンパニー製作の映画『クロッシング・オーバー』(原題)という小粒の作品で、何とハリソン・フォード主演だ。ハリソンは心ある連邦移民局の係官を演じる。アシュレイ・ジャッドレイ・リオッタが共演というおいしいキャストの映画で、アメリカの移民問題を浮き彫りにした超シリアスドラマだ。スーパーヒーローの役が似合うハリソンが、久々に主演する純ドラマ。映画ファンの判定やいかに!?

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 来週はこのほかにコミック・ヒーローものの映画『パニッシャー:ウォー・ゾーン』(原題)、そしてアラン・リックマン主演のドラマ映画『ノーベル・サン』(原題)、アカデミー賞主演男優賞を受賞経験のあるエイドリアン・ブロディ主演の映画『キャデラック・レコード』(原題)などがある。ブロックバスターを展開する作品というよりは、小粒な秀作が多い来週末は、この数週間に比べて多少落ち着いたウィークエンドになりそうである。(取材・文:神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu)

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