オスカー最有力候補!ダニー・ボイル監督に独占インタビュー!
第81回アカデミー賞
ビデオスルー作品でありながら、その完成度の高さで運命に導かれ着々と成功の階段を昇りつめ、いまやオスカー最有力とされている映画『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督が、アカデミー賞授賞式直前に来日し、現在の心境を語ってくれた。
映画『スラムドッグ$ミリオネア』が世界で賞賛を受けている現状について「自分はこれまでのどの作品も同じように情熱をかけてきた。だけど、僕の今までのキャリアの中で、これほどの経験は初めてだから正直言って戸惑いはあるよ。これまでダニー・ボイルと紹介されていたのが、いきなり“オスカー候補”のダニー・ボイルってなるし……。」と複雑な心境を明かした。しかしそうは言っても、「我が家では18歳の娘が、僕のことを“オスカー候補”のパパって呼ぶんだ(笑)」と照れくさそうに語る姿は、娘にからかわれながらもどこか誇らしげなお父さんの姿だった。
本作では、映画出演経験のない子どもたちに対する演出手腕がきらりと光っている。「現場で大事にしているのは、誰にしても敬意を払うこと。映画『ミリオンズ』で子役を起用した経験を生かしていると思う。キャスティングが最も大事で、自分は何も特別なことはしてないよ」といたって謙虚。とはいえ「彼らを怖がらせてはいけないから叫んだりはしないし、緊張をほぐすことに留意したぐらい。主人公のジャマールもそうだけど、子どもというのは吸収することに長けている。だから自信をもたせれば、教えなくても、自然と学ぶんだ」と実生活にも通じる、すばらしい秘けつを明かしてくれた。
劇中の名シーンの一つである、幼年のジャマールが汚物まみれになる撮影の秘話については、「あの汚物はピーナツチョコレート製だからと彼に説明したら、歓声をあげて大喜びで汚物まみれになってくれたんだ(笑)」と撮影時を思い出しつつ、楽しそうに話してくれた。
日本でのプロモーションを終えた足で、オスカーの会場に向かう超ハード・スケジュールのボイル監督。インタビュー開始時は、なんと「立ったままでいい?」と言いだすほど、強烈な睡魔に襲われており、ミントタブレットを口に含みつつ答えていた。だが、映画の話が進みだすと、瞳を輝かしてうれしそうに語る姿は根っからの映画好きといった雰囲気。そんな監督に、アカデミー賞授賞式で幸運の女神がほほ笑んでくれることを期待したい。
映画『スラムドッグ$ミリオネア』は4月よりシャンテシネほかにて全国公開