『スラムドッグ$ミリオネア』子役のギャラ不払いを否定する公式声明発表
第81回アカデミー賞
今年度の映画賞を総なめにしつつ、アカデミー賞の呼び声もひときわ高い映画『スラムドッグ$ミリオネア』だが、子役の出演料をめぐり黒いうわさが流れ、ダニー・ボイル監督、製作責任者クリスチャン・コルソン氏と配給会社のフォックス・サーチライト社が共同声明を発表した。
関係者を騒然とさせたこの“ウワサ”とは、『スラムドッグ$ミリオネア』の冒頭部分に出演していたヒロインのラティカの子ども時代と、主役ジャマールの兄プレムの子ども時代を演じた子役2人の報酬についてだ。
事の発端は、英国のデイリー・テレグラフ紙が掲載した子役2人ルビナ・アリちゃん(ラティカ子役)とアザルディン・イズマリくん(プレム子役)の親たちとがボヤいたとされるひとことで、「子どもたちは十分な報酬を受け取っていない」という一行。あたかも製作陣側が、この愛らしい子どもたちを利用したかのような書きっぷりだったらしい。
子どもの労働事情には特に敏感なハリウッド。ましてや、この黒いウワサの渦中にいるのが貧しいインドの子どもたち、おまけにアカデミー賞候補になっている映画に出演している子役……ともなれば大変な騒ぎである。
だが調べによれば、ルビナちゃんもアザルディン君も同作品撮影後は、映画スタジオ側の計らいで生まれて初めて学校に入学できたばかりか、出演の報酬として成人するまでの生活費、学費、医療費等はすべてスタジオが持つという取り決めになっており、そればかりか18歳にきちんと学校を卒業できたら、『スラムドッグ・ミリオネア』の興行収入の分け前を配賦する……というオマケまでついていた。
いい迷惑なのはボイル監督を始めとする同作品の関係者たち。だが実のところ、こういった面の汚し合いは、ハリウッドのアカデミー賞レースにはつきものなのである。映画ファンには到底目の届かぬところで、オドロオドロしい人気合戦が展開しているのだ。これに勝ち抜いて2月22日に金の彫像を手にするのは果たして誰か?