ファッション界の巨匠ヴァレンティノを描いたドキュメンタリー映画が完成!
2008年1月のオートクチュール・コレクションを最後に引退した、ファッション界の巨匠ヴァレンティノ・ガラヴァーニを描いたドキュメンタリー映画『ヴァレンティノ:ザ・ラスト・エンペラー』(原題)が完成した。本作は、ヴァニティ・フェアで記者を担当していたマット・タイルナウアー監督が2005年6月から2007年7月まで撮影し、およそ250時間もの映像をまとめた作品だ。
本作は、2007年にヴァレンティノの引退がささやかれる中、メゾン創立45周年を迎えた彼の回顧展がローマの美術館で開催された模様を中心に描きながら、彼が1950年ごろにパリでデザインの基礎を学び、イタリアに戻ってきたころから回想していく。その中で、彼の公私に渡るパートナーとして当時からの付き合ってきたジャンカルロ・ジャンメッティとのきずなを含め、家族や雇用者がいかにヴァレンティノの成功に不可欠だったかを浮き彫りにしている。
注目すべきは「デザインした服を身につけて、生き生きとしていなければいけない」と言い放つ彼の、目の前でモデルを動かしながらその場でデザインを変えていくシーン。さらに、ファッション誌「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンターからジョルジオ・アルマーニ、女優ではサラ・ジェシカ・パーカー、ユマ・サーマン、アン・ハサウェイ、グウィネス・パルトロー、エリザベス・ハーレイらがこの記念式典に参加し、彼に対する評価をインタビューとして残しているのも魅力の一つである。そして彼が最終的に引退を決意するまでを克明に描いている。本作はファッション界を知る上で究極の一本といえそうだが、ファッションに興味がない観客にも訴える作品になっている。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)