実写版『ドラゴンボール』アメリカで最悪なスタート!ファンも批評家もかなり辛口評価!?
4月10日、アメリカでついに映画『DRAGONBALL EVOLUTION』が公開された。ここでは、この作品に関するアメリカでの反応を配給会社、観客、批評家の声を通して紹介したい。
映画『DRAGONBALL EVOLUTION』写真ギャラリー
本作は2,181館で公開されたにもかかわらず、興行収入は約4億6,500万円($4,650,000)で、初登場第8位という最悪なスタートとなった。日本でも、最初の週末こそ興行収入で3位にランキングされたが、次週では8位、3週目にしてトップ10から消えるなど、観客動員は少なかった。
日本での散々な結果を受けてか、アメリカの配給会社20世紀フォックスは、辛口評価を恐れ、何と批評家や記者に対して試写会を行わないという強行手段に打って出た。駄作のホラー映画なら、公開ぎりぎりに試写会を行うケースもあるが、約100億円をつぎ込んだ大作なのに、試写会を行わないというのは異例中の異例。これは宣伝をしないと断言しているようなものだ。原作アニメが人気だけに、世界中の配給権だけで予算の半分を取り戻し、残りをアメリカの興行で取り戻そうとした20世紀フォックスは大きな判断ミスをしたようだ。20世紀フォックスの広報を務めるティファニー・チャンは「日本での興行が優れなかったため、かなりのプレッシャーをかけられた」と話してくれた。とはいえ宣伝がまったくないわけだから、当然の結果だったのかもしれない。
ではアメリカの観客はどうだろうか? タイムズスクエアにある映画館Regal E-walkで取材してみた。9歳のグレン・フロデゥル君は「アクション・シーンが詰まっていて楽しかったよ。原作アニメも観ていたけれど、ちゃんと面白い点にも触れていると思った。ただ、ジェット・リーや、ジャッキー・チェンのようなアクションのできる人たちが主役だったら良かったのに……」とコメント。ほかの子どもたちの評価もそこまで悪くはなかった。逆に大人となると「完全に原作を無視しているんじゃないかな? 原作アニメを知らなかった方がむしろ楽しめたかもしれないね。CGにはがっかりさせられたよ!」と辛口コメントもあった。
批評家の記事を掲載しているRottentomatoes.comを見てみると、ほとんど悪い評価が付けられている。ニューヨーク批評家協会(NYFCO)に所属し、日本のアニメにも精通しているディヴァ・ヴェレズは「子ども向けの映画のはずで、アニメも子ども時代からスタートしているのに、なぜストーリーを青年時代から始める必要があるのかわからないわ。子どものころの悟空のかわいらしさや、その小さい体からとんでもない力を出すのが彼の魅力なのに。それを省いてしまったら、ディナーでメインディッシュを抜いて食べているようなものよ! どうして映画『ハリー・ポッター』シリーズのように、段階を経てストーリーで伝えることをしなかったのかしら?」とコメントした。
ちなみに続編製作も始まってはいるようだが、今回の興行収入では、かなり難しくなっている上に、20世紀フォックスは映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(原題)の映像流出問題で、かなりナーバスになっている。果たして続編は本当に製作されるのだろうか? 動向が気になる映画である。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)
映画『DRAGONBALL EVOLUTION』は全国公開中