クリント・イーストウッドの長男カイルが明かす、父の素顔
俳優で監督のクリント・イーストウッドの長男で、公開中のクリントの監督・主演映画『グラン・トリノ』で音楽を担当したカイル・イーストウッドが29日、都内でシネマトゥディほかの合同インタビューに応じ、父と取り組んだ映画づくりに関するさまざまなエピソードを語った。
190センチ以上の長身で端正な顔立ちのカイルは、まるで映画俳優のよう。ジャズ好きの父親の影響で子どものころから音楽に親しみ、現在は映画音楽の仕事を手がけるほか、ジャズバンドのベーシストとしても活躍している。本作の哀愁を帯びた印象的なエンディング曲について「父が温めていたメロディーのアイデアがまずあり、それを元に、ぼくと(本作で音楽を一緒に担当した)マイケル・スティーヴンスが実際の曲に作り上げたんだよ」とメイキングの過程を話してくれた。
映画監督としてのクリントは1~2テイクでスピーディに撮影を進めることで有名だが、音楽に関しても「本能や直感を大切に音楽を決めていくんだ。そのとき、その瞬間、どう感じるかが彼にとって最も重要なポイントなんだよ」という。本作では音楽に関して、親子の考えがピッタリ一致しスムーズに製作が進んだそうだが、過去には何度もダメ出しされた作品もあったとも。「特に『チェンジリング』のときは大変だったね。あの作品は音楽の占める割合が高い映画だったし、父が主題から手掛けた作品だったから、思い入れが強かったんだろうね」と振り返った。
父親と自身は似たような「頑固者同士」と分析するカイル。そのせいか、仕事の上でぶつかり合う場面も多いそうだが、「父は決して、人のアドバイスに耳を傾けない暴君ではない。そういう意味では一緒に仕事をしやすい相手だね」と笑う。加えて、仕事に対して常に誠心誠意に取り組む父親の姿勢は、カイルにとって最も尊敬する部分だと言い「80歳近くになってもベストワークを作っている姿には感動するね」と誇らしげ。今、音楽を通じて映画に携わることに喜びを感じているが、将来的に父親のような映画監督になる夢も心の底にくすぶっている様子をうかがわせてた。いつの日か偉大な父親のDNAを受け継いだサラブレットの作品を目にする日が来るか注目だ。
映画『グラン・トリノ』は全国公開中