エジンバラ国際映画祭オープニング上映で「カンヌには出したくなかった」とメンデス監督
第63回エジンバラ国際映画祭で17日夜(日本時間18日)、映画『アウェイ・ウイ・ゴー』(原題)がオープニング上映され、サム・メンデス監督らが地元ファンの大きな拍手を浴びた。
サム監督は「この映画祭のオープニングを飾ることができて本当にうれしい」と開口一番。「他の巨大レッドカーペットイベントに出すより、ここで上映されたことで、よく観てもらえると思う。この映画はカンヌには出したくなかった。カンヌのスケールはすご過ぎる。そしてスケールが大き過ぎてしまった問題は今、全映画祭が抱えている問題だと思う。それほどたくさんの映画や作業が進行していて、それ故に小さい映画を埋没させてしまうんだ」と最初の言葉がお世辞ではないことを伝えた。その後は主演のジョン・クラジンスキーと、共演のカーメン・ジョーゴと笑顔を振りまき、ファンの声援に応えた。
サム監督の言葉通り、本作は大笑いしながら、ほのぼのとさせられる小品。同じカップルを扱った作品ながら、サム監督の夫人でもあるケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオという大スター二人を主演にすえた前作の映画『レボリューショナリーロード/燃え尽きるまで』とは、だいぶ趣が異なるコメディータッチのロードムービーだ。主演のカップルを演じるクラジンスキーとマヤ・ルドルフはアメリカのテレビ・コメディーで活躍しており、その持ち味が存分に生かされている。笑いを誘う場面が続くうちに家族とは? 夫婦とは? と考えさせる。6月26日からアメリカで公開、日本公開は未定。
撮影中も周りを笑わせてばかりだったというジョンを、監督はコメディー俳優とは思っていないと言う。映画『ジャーヘッド』で兵士の一人として出演させたことから、その演技力を知ったようだ。本作には『ジャーヘッド』で主演したジェイク・ギレンホールの姉、マギー・ギレンホールも出演。映画『ダークナイト』のヒロインと、まったく別の顔を見せている。主演カップルが出会う、すっとんきょうなカップルの一人で、ぶっ飛びセクシーとでも例えられそうな、ジョンの目をテンにさせる登場シーンから、ののしり合うラストまで、たっぷりと笑わせてくれる。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)