『ハリー・ポッターと謎のプリンス』だけで600着をデザイン!着こなしベストはエマ・ワトソン
J・K・ローリング原作による世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズの映画版第6弾『ハリー・ポッターと謎のプリンス』だけで600着ものキャラクターの服をデザインしたという衣装のジャニー・ティマイムさんに話を聞いた。
-『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で難しかった衣装は誰の衣装ですか?
それはスラグホーン先生(ジム・ブロードベンド)の衣装ね。原作では背が低く、太っているということになっているけれど、ジム・ブロードベントは背が高く、細身なので、太っているように見せなくてはならなかったわ。つまり実際の俳優の体型とまったく違った原作で描かれている体型を想定してデザインしなくてはならなかったの。原作に出てくるイメージ通りではないけれど、それでも面白いへんてこりんなおじさんというところは維持しなければならなかった。結構うまくいったと思っているわ。原作の中の描写を尊重しつつ、実際に演じる俳優はそれとは正反対の体型というのは難しかったわね。
-ルーナ・ラブグッドの衣装は何をイメージしましたか?
原作でスラグホーン先生が、彼女のことを銀色のクリスマスツリーだと言うくだりがあるけれど、それを出発地点として、そこからわたしの解釈で銀色のクリスマスツリーをイメージしてデザインしてみたわけよ。そのシーンの冒頭の部分では、彼女は廊下を歩いているのだけれど、動きによって衣装のひらひらがなびいてすごくすてきよ。それから数えきれないほどのスワロフスキーのクリスタルがきらめいて、光を受けてきらきらしているの。これこそがクリスマスのあるべき姿でしょう?
-6作目だけで全部で何着デザインされたのですか?
だいたい600着ね。時間はあるから(笑)。いや、実はいつでも時間には制限があるものなの。ご覧頂いたように、こうしてお話ししている今も、そうでしょう? そうは言っても時間はあることになっているわ(笑)。まあ、いつもこんな感じよ。長い映画だし、キャラクターの数もたくさんだから、デザインしなければならない衣装はたくさんあるの。
だいたい、実際に使う衣装の数よりは多めに作るものだけれど、例えば中心となるキャラクターの衣装に使わなかったら、それをとっておいて次の作品で違うキャラクター用に使ったりすることもあるわ。無駄にすることはないの。例えばルーナのイブニングドレスを2、3着デザインして、その中から一番いいものを選び、残ったものを違うキャラクターにあてるのよ。そうすれば監督に選択肢を与えてその中から一番いいものを選んでもらえるし、残ったものをほかのキャラクター用にリサイクルすることができるの。
-メインキャストの中で、この人は着こなしがすばらしいと思われた方、ファッションセンスがあると思われた方はどなたでしょう?
エマね。それでもこの映画が始まった当初は皆子どもだったわけで、その後ティーンエージャーになっていった。中には洋服にとても興味を持つようになった子もいれば、演技の感性に秀でていて、そのキャラクターが何を着るべきかをしっかり理解している人もいる。ロン、ハーマイオニー、ハリーといったメインキャラクターを演じる役者は皆、その役が何を必要としているかをよくわかっている。でもそれ以外の部分でも、人間としてエマは特にファッションに関心を持っているわ。最近の女の子は皆そうだと思うけれど、特に彼女は自分に何が似合うかよくわかっている。ちょうど彼女と衣装合わせをやったところなんだけれど、そこで彼女はハーマイオニー用とエマ本人用にそれぞれ衣装を選ばなくてはならなかったの。皆そうだけれど、彼らは小さい時からずっとそれぞれの役を演じてきたので、それぞれの役のパーソナリティというのも発展させていったので、そのキャラクターとして何が求められているかというのも、十分に理解しているわ。(取材・文:シネマトゥデイ)
映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は全国公開中