日活ロマンポルノ伝説!エロスが庶民に大反響そして…アダルトビデオにより衰退まで
数多くの名監督を生み出し、今なお日本の映画史に名を残す日活ロマンポルノは、いかにセンセーショナルな衝撃を与え、当時どのような影響を与えたのか。日活ロマンポルノの誕生と伝説を追った。
1971年から1988年までの17年間、映画会社日活が製作し、男女の性愛を描き続けた成人映画の一大ブランド、ロマンポルノ。その誕生は1960年代、テレビの普及により映画館からの観客離れが激化した時代にさかのぼる。あえてローコスト、ハイリターンを考えた上で作られ、エロチシズムに重点を置いたのが日活ロマンポルノだった。今やセックスだけを売りものにしているアダルトビデオなどとは異なり、日活ロマンポルノは作家性の高い作品も多く、海外からも高い評価を受けている。
当時、エロスが庶民に受け入れられるかまったくの手探りの状態で公開を迎えた日活ロマンポルノ。しかし実際のところ、社会の反響は大きく、連日大盛況を見せた。特に若者たちに与えた影響は絶大だった。当時のポルノスターである美保純が国民的スターとなり、男女間では堂々とセックスを語れるようになり、カウンターカルチャーとして圧倒的な支持を得るようになった。
日活ロマンポルノは、単なるポルノ製作の場ではなく、映画を愛する人たちにとって、夢の創作活動の場だった。セックスシーンなどを自由に体現し、自分たちの映画を撮ることができたからだ。そして監督たちの表現の場でもあり、事実、映画『DEATH NOTE デスノート』シリーズの金子修介監督、映画『雪に願うこと』で、2004年の東京国際映画祭史上初の4冠獲得を成し遂げた根岸吉太郎監督、映画『GONIN』シリーズを手掛けた石井隆監督など、現代の日本映画界をけん引する多くの監督たちが輩出された。
また、キャストも豪華で、石井監督が脚本を手掛け、映画『セーラー服と機関銃』の相米慎二が監督を務めた映画『ラブホテル』には、寺田農、伊武雅刀、そして佐藤浩市など今でも日本映画界で活躍するメンバーが名を連ねている。ほかにも、映画『女教師』では、映画『竜二』で映画賞を総なめにした演技派女優、永島暎子が主演を務めたり、映画『軽井沢夫人』では、映画『高校三年生』の出演でお姫様女優といわれていた高田美和が大胆なベッドシーンに挑戦したりするなど、大物女優も多数登場していた。
しかし、その一方で、ロマンポルノは世間のやり玉にも挙がっていた。1972年には、中年男と若い女の欲望を描き、多くの人々に衝撃を与えた映画『愛のぬくもり』を含む4作品が、警察によりわいせつ図画公然陳列罪として摘発され、日本映画史に残る日活ロマンポルノ裁判が巻き起こり、日本中を騒がせた。そして1980年代を迎えるとビデオが誕生し、アダルトビデオが普及するようになり、次第にロマンポルノは衰退していった。
時代の移り変わりとともに生まれ、そして伝説となったロマンポルノ。その名作たちは、誕生から約40年経った現在でも、多くのファンを魅了し続けている。
映画『ラブホテル』は8月14日深夜1:30よりWOWOWにて放送