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マイケル・ムーア新作に麻生太郎首相夫妻の姿が!日米の経済関係に鋭く斬りこむ!

第66回ヴェネチア国際映画祭

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マイケル・ムーア監督-第66回ヴェネチア国際映画祭にて
マイケル・ムーア監督-第66回ヴェネチア国際映画祭にて - Photo:Harumi Nakayama

 マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー』(原題)が現地時間6日、第66回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映された。

第66回ヴァネチア映画祭-コンペティション部門作品一挙紹介!

 映画『華氏911』でブッシュ前大統領を批判し、『シッコ』で米国の医療制度を斬るなど、毎回、論議を醸し出してきたムーア監督。最新作でテーマに選んだのは、「100年に一度」と言われる世界同時不況に陥った元凶の金融業界。サブプライムローン問題から始まり、リーマン・ブラザースの倒産と不況の流れを分かりやすく解説するだけでなく、N.Y.のウォール街に押し掛け、金融企業のCEO(最高経営責任者)との直接対決を試みようとする。その劇中、「米国がクシャミをすると日本が風邪を引く」を表現するかのように、米国同様に不況に陥った日本を説明する映像として、麻生太郎首相夫妻のニュース映像が数秒使用されている。首相としての功績も存在意義も薄かったが、世界的なムーア監督の映画に記録として残される結果となった。

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 上映前に記者会見に挑んだムーア監督は、「米国という国は民主主義が不当な扱いを受けていると思う。経済は、人間生活の大きな動因となるものなのに、自分の住む社会経済の運営に対する発言権を得られないような社会を民主主義とは呼べないでしょう。社会の利益でなく、帰属する企業の利益のみを追求したある人たちが下した判断が、良き米国人たちや生活に追われる働き者たちの人生を破壊したことについて、僕は個人的に、非常に心を痛めています。この映画はその人たちの気持ちを代弁し、彼らの話が、米国内で、また世界中で語られる機会となることを願ってます」と、昨今の社会情勢を無視出来ず、映
画に取り組んだ理由を語った。

 そんなムーア監督にイタリアの記者から「イタリアの刑務所は服役者でギッシリ。給料は安いし、国有航空会社は経営危機に瀕してます。我々欧州人にどんな忠告をされますか?」という質問が飛んだ。ムーア監督は「苦しんでいるのは米国人だけではありません。皆さんも一緒です。皆で体制を変えないとね。ここイタリアのリーダーはひどく保守的ですし」と言うと、「実はこの会場に来ています。シニョール・ベルルスコーニです!」と、会見場に呼び込むパフォーマンスでおどける一幕もあった。

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 本作品のほか、前作『シッコ』は国民健康保険制度の是非を問う問題へと発展した。ムーア監督の映画は、確実に米国社会を揺るがしていることから、「映画製作を辞めて、政治家になる考えはありますか?」という質問も出た。ムーア監督は「その予定は全くないよ(苦笑)。18歳で故郷のミシガン州フリントの公職選挙に出馬して4年間、教育委員会で公務に就いた経験があるけど、22歳で僕の政治的キャリアはおしまいにしたよ。僕は昨年11月にオバマ大統領を誕生させたように、そんな力を産み出すような映画や本を書いたりしているだけで幸せ。今後も、僕が出来る最良の方法で、米国の変化のプロセスに貢献したい」と語った。(取材・文:中山治美)

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