人気海外テレビドラマ「Lの世界」の脚本家が、白人から受けた差別を語る!
人気海外テレビドラマ「Lの世界」の脚本家でもあるシェリエン・デイビス監督が新作映画『Amreeka』(原題)について語ってくれた。本作は、パレスチナの国境付近で銀行員として働いていたムナ(ニスリーン・ファワー)が浮気した夫に愛想を尽かし、姉(ヒアム・アッバス)の住むアメリカのイリノイ州に息子を連れて移住するというドラマ。移民の家族を通して、偏見やアメリカ社会をコミカルなタッチで浮き彫りにした秀作だ。
イスラエルを代表する女優ヒアムのキャスティングについて「脚本を書いていた時点で、彼女のことは念頭にあったの。この作品の前に短編映画を製作していて、あらゆる映画祭に出品していたの。その映画の評価がわりと良くて、ベルリン国際映画祭にも出品されることになったのよ。そのときのにベルリン国際映画祭の審査員だったのが、ヒアムだったのよ。彼女のマネジャーに脚本を渡して、たまたま彼女がそれを読んでくれて、映画祭の開催中に話をすることができたの。その3時間後には、出演を決めてくれていたわ」と話してくれた。
シェリエン監督の両親も移民で、湾岸戦争が始まった際には、差別を受けたらしい。「医者だった父は、戦争中にその偏見だけで患者を失ったし、死の宣告も受けたことがあったわ。わたし自身も偏見のプレッシャーから、意識的にアメリカ人が好む洋服を着るように心がけたり。劇中で描かれる差別なんかよりも、もっとひどいことがあったわ。アメリカから家族が隔離された、そんな感覚よ」と白人の多い環境下で、先入観からひどい仕打ちを受けたという。最後に「Lの世界」について聞いてみた。「あの作品もシーズン6までやって終わったから、今は映画をメインに活動していきたいわ」とこれからは映画作家として活躍し、「Lの世界」の今後は未定と教えてくれた。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)