ジム・ジャームッシュ監督自らが日本での人気を分析!「変わった連中が多いのかもしれないね!」
現在、映画『リミッツ・オブ・コントロール』が公開中のジム・ジャームッシュ監督がこれまでの映画について語ってくれた。
前作の映画『ブロークン・フラワーズ』に続き、今作でも配給会社はフォーカス・フィーチャーズだ。フォーカス・フィーチャーズのトップであるジェームズ・シェイマスは、ハリウッド映画界には珍しく、ファイナルカット権(最終編集権)を監督に持たせている。「これまでに日本、フランス、ドイツの資金で製作していたときは、ファイナルカットの権限を僕が持っていた。でも同じことをアメリカの資本でするのは難しいんだ。ところがジェームズは心の底から映画を愛している人で、執筆途中のシナリオを見せただけで、何と予算を出してくれたんだ! それにプロデューサーにありがちな高圧的な態度もないしね!」と素晴らしい人物との出会いが本作を生み出したともいえるようで、ジム監督も満足げだ。
これまでに数多くの外国人プロデューサーと仕事をしてきたことについては「プロデューサーの中でも、僕がジョーと呼んでいたプロデューサーの平田国二郎(『ミステリー・トレイン』)を気に入っているよ。でもうわさによると彼は映画業界から去ったらしいんだ。ジョーは本当に素晴らしい人で、彼のおかげで誰にも邪魔をされず、自由に映画を作ることができたんだ。ジョーはロックンロールやギャングのような雰囲気で、僕とはすごくウマが合ったんだよ」と懐かしそうに語る。
『ミステリー・トレイン』に出演していた工藤夕貴との久しぶりの仕事については「彼女は当時持っていた遊び心を今も失っていなかったんだ! 女優は多くのことを経験したり、歳を重ねると、そういった遊び心をなくしてしまうが、工藤の場合は、経験を積んでいながらも失っていなかった。今度また機会があったら、彼女をキャスティングしたいと思うよ」とのことだ。
日本にジム監督の作品が受け入れられることをどう思っているのだろうか? ジム監督は「変わった連中が多いのかもしれないね! 日本人は、別のアングルから物事を見つめ、新しい発見をすることに優れている人種さ。それに日本人は堅いイメージがある反面、オープンな要素をも持ち合わせているのかもしれない」とジョークを織り交ぜながらも分析していた。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)
映画『リミッツ・オブ・コントロール』は渋谷シネマライズほかにて全国公開中