iPhone配信で長編映画のプレミア!ジュード・ロウ女装が話題の『レイジ』の監督を直撃!
映画『オルランド』や『タンゴ・レッスン』などのイギリスの女性監督サリー・ポッターが、iPhoneで初の長編映画のプレミアを行った映画『レイジ』(原題)について語ってくれた。
同作は、学校の課題のために映画学生が、ニューヨークで開かれているファッション・ウィークの撮影を試みる。それは、イベントで働くモデル、デザイナー、批評家やボディーガードたちにインタビューしたものだったが、インタビューの最中に、とんでもない事件が勃発する。ブルースクリーンを背景にしたカメラに向かって、出演者が一人ずつ話していく構成で描かれ、出演者の顔の表情や表現力で勝負した映画に仕上がっている。出演者には、ジュディ・デンチ、スティーヴ・ブシェミ、ジョン・レグイザモ、エディー・イザード、ダイアン・ウィースト、ジュード・ロウなどが参加し、特にジュード・ロウの女装が話題になっている作品でもある。
一目見ただけではわかりにくいくらい、ジュード・ロウが変装していることについて「彼の変装は、かなり工夫を凝らしたの。ただ、この変装は、ジュードが俳優として持つ演技能力の証明でもあると思うの。なぜなら、メイクアップをしているけれど、ヘビー・メイクアップではなく、マスクを被っているわけでもないから、演技だけで勝負しているからなの。外見だけでなく、彼の声や演技も含めて、本当の変装と言えると思うわ。彼は、女装するという大きなリスクを背負ってやってくれたわ」と彼の演技には満足そうに答えてくれた。
この映画は、若者たちが名声や人の様相に左右されている状況を意図的に風刺しているように見えるが「そうね、この映画のテーマは、現在の若者達が名声やセレブに妄想的に取り憑いた文化を描いているの。よくテレビで、アメリカン・アイドルなどのリアリティ番組を見ると、それぞれ別の若者たちが口をそろえたように「有名になることが夢なの」と口にしているでしょ。決して、がんの特効薬を作るとか、人のために発明をするとは言わないのよ。それは、ある意味病的だわ! なぜなら、彼らは、もし有名でなかったら、自分たちの存在価値を見出せないでいるからなの!」と語った。
携帯電話で初の長編作品のプレミアについて「今日(21日)が、携帯のプレミアの初日で、毎日1エピソード毎にi-Phoneで流していくの。一週間後には、インターネットでもダウンロードできるようにするわ。それから、今週の木曜日はSkypeを通して、ヴァーチャル・プレミアを行い、それを観た人々がメッセージができるようにするわ」とすべて始めての試みについて語ってくれた。
1つ1つの質問に丁寧に答えてくれる彼女の言葉を聞きながら、彼女の繊細な映画なタッチにも納得できたインタビューだった。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)