驚きの精子バンクがロスにオープン!スターにそっくりさんの赤ちゃん作りませんか?
ロサンゼルの精子バンクが始めた、精子の提供者がスターのそっくりさんばかりを集めた“そっくりさん提供者”データベースが話題を呼んでいる。
このシステムを立ち上げたカリフォルニア・クライオバンクは1977年に創設されて以来、人工授精が必要なカップルや個人に向けて精子を提供している営利団体である。では、なぜここへ来て、いきなりそっくりさんプログラムを始めたのだろうか? クライオバンクのスポークスマンであるスコット・ブラウン氏によると、「精子を求めて訪れる皆さんのほとんどが、『提供者は誰に似ていますか?』という質問をしてくるんです」と語る。
個人の選択が大切にされるアメリカだが、クライオバンクもその例にもれない。たとえば、ラッセル・クロウに似た子が欲しいクライアントがいたとする。クライオバンクは、そのクライアントに、ラッセルの若いとき版のルックスか、はたまた少々渋みを増した現代のラッセル版のルックスかを選んでもらうことができる。
これに加えて、そっくりさんカテゴリーは上・中・下ならぬAリストからDリストにまで分かれており、クリスチャン・ベイルやウィル・スミスなど現在ホットなセレブ(Aリスト)から、ウィリアム・カットやティモシー・ハットン など、少々昔に有名だったセレブ(Dリスト)と幅広く(!?)取りそろえている。米国の法律上、実際の提供者の身元は顔写真も含めてクライアントに公開はされないが、クライオバンク側は提供者が似ているセレブの写真を提示して、「提供者はこのセレブに似ていますよ」という通達ができる。
実は、このそっくりさん選びのプロセスが面白い。クライオバンクの選抜スタッフ数名がフェイス・マッチング会議なるものを開いて、壁の大型スクリーンに映し出されたそっくりさん提供者の写真を見て、どのセレブに似ているかを口々に話し合って査定するのである。コンピューターを使用したハイテクのフェイス・マッチング・システムを使用するのかと思いきや、実際は結構アナログである。
このそっくりさん提供者プログラムに対して、遺伝学業界では「遺伝学の道徳に反している!」と物議を醸しているが、これに対してクライオバンク側は、「大きなストレスを伴う人工授精を経験する人々にとって、このようなシステムはそのストレスを緩和する材料となっている」とコメントしている。
映画のセレブだけでなく、ミュージシャン、有名スポーツ選手など、約275人のそっくりさん提供者のデータを有するクライオバンク。ちなみにブラッド・ピットのソックリさん提供者はまだいないのだとか。世論は別としてこのプログラムの評判は上々で開始してからクライオバンクのオンライン・ホームページのトラフィックが50パーセントも増えたという。まさに、ミーハーあってこそのビジネスである。 (取材・文 神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu)