名門オックスフォード大を目指す16歳演じる24歳のキュートな女優『アン・エデュケーション』-ロンドン映画祭
第53回ロンドン映画祭で映画『アン・エデュケーション』のイギリス・プレミアが開催された。本作で初の主役を射止めたキャリー・マリガンは、ベルリン映画祭で新人俳優に送られるシューティング・スターズを受賞している。
ジャーナリスト、リン・バーバーの自伝を原作として、ホーンビィが脚本を担当した本作では、60年代のイギリスを舞台に、オックスフォードを目指す女学生ジェニーの、ほろ苦い人生での“エデュケーション”が描かれる。成績優秀、シャンソンを愛し、カフェで友人とタバコをふかしながら語り合ったりもする、おませなジェニーを、オードリー・ヘップバーン風の60年代ファッションでチャーミングに演じているのがマリガンだ。実際には24歳だが、小柄で童顔なことも手伝って、制服姿も可愛らしい16歳となっている。
プレミアに先立ち行われた会見には、ロネ・シェルフィグ監督、脚本のニック・ホーンビィ、主演のマリガン、学友役のマシュー・ベアード、ジェニーが恋する大人の男性の友人役で登場するドミニク・クーパーが出席した。俳優3人の中では31歳と先輩格で『マンマ・ミーア』『ある公爵夫人の生涯』とヒット作出演も続いたクーパーだが、会見中すっかりボケ役になってしまった。
構想から実際の制作に入るまで時間がかかった理由は、制作サイドのことでよくわからないと言うシェルフィグ監督に、「ひょっとして、僕は第一候補じゃなかったの?」とクーパー。すかさずホーンビィが「オーランド(・ブルーム)とどっちにしようかなって」とからかう。複雑な役を演じているクーパーのセリフについての質問に、またもホーンビィが「もともとオーランドのためのセリフだったから」と駄目押し。おちょくられながらもニコニコと楽しそうなクーパーの様子から、制作現場の雰囲気のよさがうかがえる会見となった。
プレミアには原作のバーバーと、その友人でもある英アート界の寵児トレーシー・エミンも姿を見せた。一度は学校の意義を見出せなくなるジェニーがさまざまな経験をして復学する本作を「男なんかにかまってないで、ちゃんと教育を受けなさいってことよ」と威勢よく語った。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)