新たな『時をかける少女』仲里依紗がヒロインに!母親役には安田成美
筒井康隆の小説で、発表から45年の間、さまざまなアレンジをされて、幾度となく映像化されていた「時をかける少女」が仲里依紗を主演に迎え、新たな物語として映画化されたことがわかった。
本作のヒロインは、原作の主人公・芳山和子の一人娘、芳山あかり。2010年に生きる彼女が、入院中の母に代わって、1970年代にタイム・リープし、昏睡状態に陥った母の初恋の人・深町一夫に出会う。そして、次第に若き日の母と、幼いころに別れたきりの父との意外な青春時代も明かされていく中で、深町探しに協力する大学生・涼太との微妙な関係にも変化が起こり始める。
この芳山あかりを演じるのは、『純喫茶磯辺』『パンドラの匣』などで注目を浴び、『サマーウォーズ』で声優を務めた仲里依紗。アニメ『時をかける少女』でも主人公の声を務めた仲が実写でも主人公を演じることになった。また、気になる存在の大学生・涼太には『ROOKIES-卒業-』の中尾明慶が、そして安田成美が母・芳山和子を演じている。監督は本編が長編映画初監督作となる谷口正晃。本編はすでに完成しており、その内容からは最新VFX技術によりタイム・リープや70年代の街並みが再現され、繊細かつ確かな演出力を発揮していることがうかがい知れる。
あかりを等身大で演じることになった仲は「アニメ版『時をかける少女』の主人公の声を演じ、素晴らしい作品に出会うことができたとうれしく思っていました。今度は、声だけでなく、自分自身がスクリーンに映ることができることになり、『時をかける少女』というブランドを背負うことができるのか、すごく不安でした」と当初はその歴史ある看板を背負うことにプレッシャーを感じていたことを明かした。しかし、そのプレッシャーは原動力にもなったらしく、「一生懸命、時をかけました。歴代の『時をかける少女』のファンの方もまた新たに楽しめる作品になったと思います。ぜひたくさんの方に観ていただきたいです」と完成品は満足のいくできになっていることを明かした。
また、長編初挑戦になる谷口監督も同様に重いプレッシャーを感じつつも、「世代を超えたたくさんのファンに愛し続けられている作品なので、恐れ多い仕事に取り組む責任を感じていました。そしてタイム・リープが題材という、リアリズムだけでは押せない物語とどのように向き合っていくか、という不安もありました。でも、作品の核として大切なのは、芳山あかりが18歳の春に体験した、かけがえのない数日間をどれだけみずみずしく描ききるかにあるとわかった瞬間、体当たりでぶつかっていこうと思いました」と製作の途中で開眼したことを明かした。
映画『時をかける少女』は、2010年3月ヒューマントラストシネマ渋谷、シネカノン有楽町1丁目ほか全国公開