全米第1位の憂うつ!『Disney'sクリスマス・キャロル』が喜べないワケ -11月11日版
いよいよ映画界のホリデー・シーズンが開幕! 今週の全米興行収入トップの栄冠に輝いたのは、ディズニー3Dアニメ映画『Disney'sクリスマス・キャロル』だった。
ジム・キャリーが主演でロバート・ゼメキス監督の同作品は、週末興行成績3,005万ドル(約27億450万円)をたたき出したというのに、関係者はどういうわけか浮かぬ顔である。というのも、全米ボックスオフィスが去年の同時期よりも16パーセント低下というニュースに加えて3,683館で封切られた『Disney'sクリスマス・キャロル』は、6,500スクリーンというものすごい数で大型ロードショーが敢行されているのにもかかわらず、思ったように成績が伸びなかったのだ。(1ドル90円計算)
また、ジムの2000年の作品で、デビュー週末に5,508万ドル(約49億5,720万円)を売り上げた映画『グリンチ』と比べると、製作費が2倍近くかかっている『Disney'sクリスマス・キャロル』のデビュー売り上げ成績は、手放しで喜べない状況にあることがわかる。
だが、ここでガッカリするのはまだ早い! ゼメキス監督の2004年の映画『ポーラー・エクスプレス』のオープニング成績は、2,330万ドル(約20億9,700万円)という地味な数字に終わったもののその後、感謝祭・クリスマスを通してジワジワと成績を伸ばし続け、結局興行収入が1億ドル(約90億円)の大台に乗ったのだ。最終的には、国内だけで推定1億8,080万ドル(約162億7,200万円)という数字を残しており、『Disney'sクリスマス・キャロル』もホリデー・シーズンを迎えて、本格的なバトルはこれからかもしれないのだ。
今週の第2位は、先週の第1位からダウンした映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』で1,316万ドル(約11億8,440万円)の売り上げ。今までの勢いからしても、第2位は順当といった感じか。
第3位は、初登場でユアン・マクレガー、ジョージ・クルーニーの豪華コンビが出演した映画『ザ・メン・フー・ステア・アット・ゴーツ』(原題)の1,271万ドル(約11億4,390万円)。2,443館・2,700スクリーンで公開されたこの作品は、ジョージ主演の映画『バーン・アフター・リーディング』のデビュー成績より多少劣ったものの、同じくジョージ主演映画『かけひきは、恋のはじまり』や、2002年度のジョージ監督映画『コンフェッション』よりは、断然いい成績を残した。
第4位は、映画『THE 4TH KIND フォース・カインド』で1,220万ドル(約10億9,800万円)。またもや事実に基づいた話を売り文句にしたホラー映画で、配給のアンケート調査によれば、観客の55パーセントが男性、61パーセントが25歳以下という客層だった。
第5位は、先週の第2位から49.5パーセントの下降率で、映画『パラノーマル・アクティビティ』の828万ドル(約7億4,520万円)。製作費1万5,000ドル(約135万円!)から判断すれば、金庫がはち切れそうなほどの稼ぎを上げている。ちなみに、すでに続編が企画されているとのこと。
さて、次回のチャート予想だが初登場でトップに躍り出ると思われるのは、世紀末パニック映画『2012』。サイアク映画の異名をとった映画『紀元前1万年』以来話題作がなかったローランド・エメリッヒ監督久々のスペクタクル作品である。
『2012』と比べるとかなり小粒だが、ピリリと辛くて味わいあること請け合いなのが、映画『パイレーツ・ロック』でこちらも注目だ。イギリスで実際にあった話で、1966年にイギリス政府の網の目をかいくぐって北海に浮かべたボートから違法海賊ラジオで、ロックを流しまくっていたアナーキー男たちのコメディー・ドラマだ。フィリップ・シーモア・ホフマン、ビル・ナイ、ケネス・ブラナーと歯応えのあるキャスト陣が、海の幸ならぬ“映画の幸”を味わわせてくれる。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)