『おくりびと』のライバルだった、アリ・フォルマン監督「受賞も納得」と絶賛コメント!
19日、日本外国特派員協会にて、2008年に世界の映画賞を総なめにしたイスラエル映画『戦場でワルツを』のアリ・フォルマン監督が来日記者会見を行った。
本作は、1982年にレバノンで起きたパレスチナ難民大虐殺事件を、当時兵士として現地に派遣されていた監督自身の実体験を基に描くアニメーション・ドキュメンタリー。戦争体験がもたらす心の闇や、当時のパレスチナ難民がどのような悲惨な目にあったのか、加害者側の視点からあぶり出された衝撃作だ。内容が内容だけに、質問も政治的なものが相次ぎ、今も紛争が続く母国の現状について監督は「戦争の99パーセントは防げるものだと思っている。正しい判断のできるリーダーが現れて国を引っ張っていかなければならない」などと熱弁を振るった。
真剣な表情だった監督の顔がにこやかになったのは、本作と2008年にアカデミー賞外国語映画賞を争った末に受賞した日本映画『おくりびと』について感想を求められたとき。「『おくりびと』を観たとき、『素晴らしい。これは手ごわいぞ』と思ったね。実際こちらが賞を取ったとき、周りはびっくりしたけど、自分は納得してたんだよ(笑)」と笑いながら当時の心境を明かした。それからは日本の名だたる巨匠監督の名をたくさん挙げ、「日本の古典映画は世界の映画作家に本当に影響を与えているよね。日本映画は水準が非常に高いと思う」と褒めたたえていた。
『戦場でワルツを』は、アリ・フォルマン監督自身の実体験を描く自伝的作品。1982年のレバノンに兵士として駐留していた19歳のときの記憶がまったくない主人公が、記憶を取り戻そうとして当時の兵士仲間を訪ねていくうちに、驚がくの真実にたどり着く。ゴールデン・グローブ賞最優秀外国語映画賞など2008年に世界各国で賞を総なめにした。
映画『戦場でワルツを』は11月28日よりシネスイッチ銀座にて公開