なぜか日本で上映されない南京虐殺映画に有志が「南京・史実を守る映画祭」開催
1937年に日本軍が当時の中国の首都・南京で起こした南京事件を、さまざまな角度から描いた映画の数々が国際的な評価を得ているにもかかわらず、日本でなかなか上映されないという現状を受け、「南京・史実を守る映画祭」と題する上映とシンポジウムを有志により執り行うことがわかった。
南京事件の70周年を期して、前後に世界各国で、南京事件をテーマとした映画が数多く製作されている。このような映画には配給会社が付きにくく、特に日本ではあまり上映されることがない。そこで、インターネットを通じて集まった20代から30代を中心とする有志を中心に、これまで南京事件被害者の裁判支援などを行ってきたメンバーが中心となり南京・史実を守る映画祭実行委員会を結成し、「待てど暮らせど公開されないのであれば、自分たちで公開するしかない」と考え、今回の映画祭を企画した。
この南京・史実を守る映画祭実行委員会によると「それらの映画のほとんどを、日本のスクリーンでは観ることができず、情報さえも紹介されていないのが現状です。南京事件は、当時の日本政府や日本軍に大きな責任のある事件です。また、中国での世論調査では、『日本といえば思い出すこと』として、常に南京事件が一位となるなど、現在の私たちとも関係のある出来事です」とこの映画祭を企画したことの意義を述べた。
南京・史実を守る映画祭は、キャパシティーが1,000人規模のホールで行われ、シンポジウムには鈴木邦男氏(「一水会」顧問)も登壇する。上映される映画は、アメリカのビル・グッテンタグ監督による南京市に残留した欧米人の視点で描く、手紙・日記を基にした朗読劇を中心に、当時の映像や生存者・体験者のインタビューを織り交ぜて構成される『南京』。カナダのビル・スパヒックとアン・ピック監督による「The Rape of Nanking」の著者アイリス・チャンの死に至る過程をドキュメンタリー仕立てで描写した『アイリス・チャン』。日本の武田倫和監督による南京事件を追いかけてきた松岡環さんの約10年にわたる取材を基に中国人被害者6名、元日本軍兵士7名のインタビュー映像で構成される、交わることなかった被害者と加害者の「引き裂かれた記憶」を重ね合わせることにより、南京大虐殺の実態に迫る『南京・引き裂かれた記憶』。ロジャー・スポティスウッド監督の日本軍から逃れるため、黄石の中国人孤児60人を連れて濾州へ向かうジャーナリストの日中戦争の秘話を映画化した感動作~『チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道』など、1日のみですべて上演し尽くす。
「南京・史実を守る映画祭」は2009年12月13日(日)世田谷区民会館ホールにて開催