宮崎駿が「アニメーターをやるやつは観ておくべき」と絶賛する70年前のアニメ!『崖の上のポニョ』にも影響?
10日、東京アニメーションカレッジ専門学校で映画『バッタ君町に行く』の特別試写会が開催され、中島清文氏(三鷹の森ジブリ美術館館長)、鈴木伸一氏(杉並アニメーションミュージアム館長)、スタジオジブリのアニメーション監督である百瀬ヨシユキ氏が出席。作品を鑑賞したアニメーターを目指す学生たちとティーチインを行った。
本作はディズニー最大のライバルと称されたフライシャー・スタジオのマックス、デイヴ・フライシャー兄弟が約70年前に制作した長編アニメ。あの宮崎駿監督も「アニメーターをやるやつは観ておくべき」とその革新的な技法や独自の作風を絶賛する傑作アニメが、日本でリバイバル公開されることになった。
中島氏は、たくさんの虫たちが一斉に動き出すモブ(群衆)シーンの多い本作について、「(絵を)動かすのが楽しいという作り手の勢いがスゴイ」とコメント。実は宮崎監督が、映画『崖の上のポニョ』で目指したことも「絵を動かすことの喜びを伝えること」だったと説明し、「とにかく枚数をたくさん描いて、動かす。その沸き立つような迫力を観客に訴えかけたかったようだ」と宮崎監督の意図を語った。
一方、鈴木氏は、絵の動きそのものを追求した本作と、キャラクターを主体にした現在のアニメーション製作を比較し、「今の日本のアニメは、あまりに絵コンテがきっちり決まっているから、自分(アニメーター)の発想を表現するのが難しいかもしれない」と分析。百瀬氏は、「ときには偶発的に生まれるものも大切。面白く見せるためには、強引さも必要」とフライシャー兄弟の魅力を通して、未来のアニメーターたちにエールを送っていた。
『バッタ君町に行く』は人間の侵入によって危険にさらされた都会の虫たちが、安住の地を探し求める姿を描く。長旅から帰ってきたバッタのホピティが、恋人の暮らす草むらの惨状を知り、安全な土地への引っ越しを提案するというストーリー。
映画『バッタ君町に行く』は12月19日よりシネマ・アンジェリカほかにて全国公開