渡辺謙に独占インタビュー!『沈まぬ太陽』ロングラン決定に感激!「人間として持久力を試された年だった」
公開から51日間で225万人を動員している映画『沈まぬ太陽』が、当初7週間だった興行予定を延長し、年またぎのロングラン上映が決定したことを受け、主演を務める渡辺謙が喜びの胸中を語ってくれた。上映時間3時間22分の大作が、多くの日本人の心をつかんでいる理由とは?
「こうした骨太なタイプの作品が絶えて久しかったからでしょうね」と渡辺。泣ける映画が幅を利かせる日本映画界にあって、深く静かな余韻を残す本作は、大人の鑑賞に堪えうる貴重な存在だったのだ。「ある意味、落としどころがない作品。でもそれは人生も同じじゃないですか。こうした奥行きのある作品は近年難しかった」とその表情からは、確かな手応えと作品に対する誇りがにじみ出る。渡辺演じる主人公・恩地に負けない、粘り強い興行は、渡辺の言葉を借りれば「公開1週目でドカーンと打ち上がる花火ではなく、まさに太陽」だったわけだ。
上映時間の長さゆえ、本作を観るチャンスを逃していた人も多いはず。渡辺も「いつも混雑していて……というお声をよく聞きました」と恐縮気味だが、ロングラン決定を機に、「特にこれから社会に羽ばたく高校生、大学生に観てほしいですね。こんなご時世で、大変なことも多いけど、この作品を通して、『社会に出る』『会社で働く』ってことがどんなことなのか考えるきっかけになればうれしいです」と若い世代にメッセージを送ってくれた。
渡辺自身にとっても、2009年は『沈まぬ太陽』を中心にフル稼働した一年だった。「俳優としてはもちろん、一人の人間として持久力を試された気がしますね。映画を作るだけじゃなくて、届けるという意味で宣伝に関しても、あきらめない気持ちが強かった」と振り返る。2009年を、漢字一文字で「勇」と表す渡辺は、「勇気をもってこの作品に立ち向かったし、逆に作品からも勇気をもらった。何よりたくさんのお客様のおかげで、いい結果が残せたことも僕にとって大きな勇気になりましたね」と語る。ロングラン決定で、まだまだ太陽は沈まない。
『沈まぬ太陽』は人気作家・山崎豊子による同名ベストセラー小説を、壮大なスケールで映画化した社会派ドラマ。日本が経済大国へと急成長した激動の時代を背景に、巨大企業に翻弄(ほんろう)されながらも自らの信念を貫く男の姿を描く。
映画『沈まぬ太陽』は全国公開中