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世界に発信!日本人美術監督が手掛けたアートプロジェクト、オランダで盛況

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オランダ・ロッテルダムでの種田陽平
オランダ・ロッテルダムでの種田陽平 - Photo:Harumi Nakayama

 映画『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』などの美術監督として知られる種田陽平が手掛けたアートプロジェクト「種田's コールスィングル キューブ」が、オランダ・ロッテルダム市内で開催中だ。 

 同プロジェクトは2009年~2011年にかけて、同市のメーンストリート・コールスィングル通りの改修計画の一環として、ロッテルダム市議会の諮問団体「スカルプチャー・インターナショナル・ロッテルダム(SIR)」が推進しているもの。ほかの参加メンバーは建築家や彫刻家で、映画の世界に特化した存在は異質だが、種田氏は2000年にオランダ建築博物館で「タウン・フォー・ザ・フィルムズ・フローム・イントゥ・ヴィレッジ、ジャパニーズ・フィルム・アーキテクチャー・ヨーヘイ・タネダ」と題した展覧会を開いており、同市との繋がりは深い。また今回は、クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』などでの仕事ぶりが評価され、白羽の矢が立ったという。

 第2次大戦で壊滅的な打撃を受けたロッテルダムは硬質な近代的なビルが多く建ち並ぶが、「種田's コールスィングル・キューブ」は対照的に、元店舗の外観をサーモンピンクとブルーの彩った愛らしいデザイン。地下には、種田が美術を手掛けた映画のシーンを観賞できるスペースも設けられおり、映画関係者のみならず街行く人がふらりと立ち寄って観賞していく姿も見られるという。

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 今回のプロジェクトのために約1年前からオランダと日本を行き来していたという種田は「ロッテルダムは柔らかい色が少ないので、温かい色を街にと考えました。またちょうど、僕が手掛けた映画『空気人形』のオランダ公開を控えているのでPRも兼ねて一石二鳥と映画コーナーも設けたのですが(笑)、その『空気人形』は人形が海の中を浮遊しているイメージで美術セットを創ってます。それは、オランダと日本を繋げる水とダブルで重なるものがある。そこで地下スペースは水色をベースに、水面模様を加えました。正確にはピンクは和菓子の、水色は着物の染め物に使用するような和の色を用いており、異国でその色を表現してみたかったんです」と作品に掛けた思いを語る。

 種田氏は現在、台湾映画『海角七号/君想う、国境の南』が大ヒットしたウェイ・ダーション監督の新作映画と中国の大作映画の準備中と引く手あまただが、「ワダ・エミさんが開催した衣装展のように、ファンのみならず一般の人にも映画の裾野が広がってくれたらうれしい」と語り、今後も映画界を盛り上げるためにも、積極的に同様のイベントや展覧会を行っていきたいという。

 地下の展示スペースは第39回ロッテルダム国際映画祭期間中の2月7日まで。外観デザインは今年6月まで観賞可能。(取材・文:中山治美)

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