マッチョな美人闘牛士が男社会でサバイバル!実在するただ一人の公式女性マタドール
3月4日からロンドンで開催中の第6回バーズ・アイ・ビュー映画祭で、2日目となる3月5日、セレスト・カラスコ/ジェマ・クベロ・デ・バリオ監督による女性闘牛士をテーマにしたドキュメンタリー映画『シー・イズ・ザ・マタドール』(英題)のイギリスプレミアが開催された。
本作は、闘牛士を目指してイタリアの自宅から家出してスペインで暮らす少女エヴァと、スペインで現在ただ1人の公式女性マタドールであるマリの2人を追ったもの。マタドールになるには、25回の闘牛をこなさなければならない。サバイバルしていくことも大変だが、女性を出場させてくれる大会を探すこと自体が困難という男社会であるスペインの闘牛界が、女性闘牛士の歴史とともに描かれる。
エヴァが描く月と牛を題材にした絵の数々も紹介され、エヴァと思われる女性が、月夜のようなうす暗がりの中、全裸で牛に対峙する幻想的なシーンが挟み込まれる。ドキュメンタリー部分とは趣を異にしたシーンだが、大会では男性と変わらない衣装で凛として牛に向かう“男前”な女性闘牛士の内面を映し出すようで印象的だ。闘牛士としてやっていくために筋トレに励む彼女らの体も美しい。
本映画祭は女性映画製作者を応援する映画祭で、本作のような女性監督による映画の上映のほか、映画の中での女性を称え、過去の名作の上映も行われる。「ブロンド・クレイジー」と題された今年の名作上映には、マリリン・モンローの『紳士は金髪がお好き』や、シャロン・ストーンの『氷の微笑』など、センセーションを巻き起こしたブロンド美女たちが登場する映画が集められている。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)