『スパイダーマン』だったトビー・マグワイア、フィンチャー監督映画でチェスの世界王者ボビー・フィッシャーを演じる
大ヒット映画『スパイダーマン』のシリーズ4作目が、シリーズを再起動させる映画となることが正式に発表され、今後はスパイダーマン役から離れることが決まったトビー・マグワイア。そのトビーが、鬼才デヴィッド・フィンチャー監督の映画で、伝説的チェスプレイヤーを演じることが明らかになった。
ハリウッドニュースサイトDeadline Hollywoodのマイク・フレミングが伝えたところによると、トビーがコロンビア・ピクチャーズの新作映画『ポーン・サクリファイス』(原題)で主演を務めるとのこと。同作は、1972年にチェスの世界チャンピオンとなったボビー・フィッシャーの半生を描く伝記映画で、トビーが2008年1月に64歳で亡くなったフィッシャーを演じる。
フィッシャーの半生は、多くの謎と伝説に満ちており、子どものころからチェスを始めたフィッシャーは神童と呼ばれ、14歳のときにグランドマスターとなり、1972年には世界選手権の王座についたが、3年後に防衛戦の運営をめぐり世界チェス連盟と対立し、タイトルをはく奪され、消息不明になってしまう。その後、チェスの試合での賞金問題で事実上の国外追放処分となり、再び消息不明となるが、2004年に日本の成田空港で入管法違反の疑いにより入国管理局に収容され、翌年、フィッシャーはアメリカ政府ではなく、彼に市民権を与えたアイスランド政府へ引き渡された。
冷戦時代に、ソビエト連邦生まれのチェスプレイヤーのボリス・スパスキーを破り、世界チャンピオンになったことから、フィッシャーは当時アメリカの社会的ヒーローであり、英雄だったが、その後ユーゴスラビア紛争や政治的迫害に巻き込まれ、母国アメリカから反逆者として扱われてしまっている。映画では、宿敵スパスキーとの世界選手権での対戦を中心に描き、天才チェスプレイヤーであったフィッシャーの大胆な戦術が再現される予定だ。脚本は『イースタン・プロミス』のスティーヴン・ナイトが執筆し、トビーはプロデューサーとしても映画に参加する。撮影は、フィンチャー監督の次回作『ソーシャル・ネットワーク』(原題)公開後の予定だ。