ベンジャミン・ブラット、兄と制作した映画は前科を持つ父親とゲイの息子の家族愛を描いた作品!
人気TVシリーズ『ロー&オーダー』や映画『トラフィック』に出演していたベンジャミン・ブラットが、兄のピーターと製作した『ラ・ミッション/La Mission』(原題)について語ってくれた。同作は、アル中で過去に刑務所にも入っていた札付きの悪だったリベラ(ベンジャミン・ブラット)とゲイの息子の物語。息子がゲイであると知ったリベラは、息子を受け入れられずにいたが、ある日息子がゲイを毛嫌いするギャングに襲われてしまう……。いろいろな人種が交錯するサンフランシスコのミッション地区を舞台に、家族愛が描かれていく秀作だ。
ベンジャミンとピーターは、この映画の舞台となるサンフランシスコのミッション地区で育った。「実は今でも、僕らはこのミッション地区の一員だと思っているんだよ! 撮影中は、この地域の雰囲気を出したり、信ぴょう性の高い作品にするために、俳優じゃない一般の人たちにも出演してもらったんだ。この地域のスパニッシュ系のしゃべり方を、簡単に俳優がマスターして使いこなせるとも思わなかったから。だから、できるだけこのコミュニティーの助けを借りて撮影することになったんだよ」と話してくれた。このリベラという役も、子どものころに一目置いていた人物をベースにしているらしい。
映画の中で、スパニッシュ系であるリベラの息子ジェシーには、白人のボーイフレンドがいるが、これは意図的に設定したのか聞いてみた。すると、「僕らがこの映画のためにゲイコミュニティーの人たちからいろいろと話を聞いたとき、彼らは家族からも疎遠にされていただけでなく、昔はゲイコミュニティの間でも、人種の異なるカップルは歓迎されなかったと話してくれたんだ。それは、まるで村八分に遭うような感覚だったと思うんだ。映画では、この感覚を父親のリベラと息子のジェシーが、お互いに気付いていることが重要なんだ」と説明してくれた。
また、二人はゲイである実のおいエディの存在も明かしてくれた。エディと彼の父親が実際に交わした会話が、この映画に使われているのだそうだ。「実は、エディと彼の父親が、来週初めてこの映画を観るんだ。エディに、この映画のポスターを見せたら、彼は泣いていたよ! 当時のことを思い出したからだと思うんだけど。彼は参加したパーティーで、ゲイへの偏見で首を刺されたことがあるんだ」とおいっ子のつらい体験も話してくれた。そして、「エディは、長い間反対されていた父親と和解したって経験があるから、きっと、感慨もひとしおだと思う!」と付け加えた。
また兄と仕事がしたいと語っていたベンジャミン。彼は、今回本当に伝えたかった家族愛を、兄と育った環境で製作し、見事な秀作に仕上げた。俳優だけでなく、製作にも携わる今後の彼の活躍に期待したい。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)