塚本晋也監督の新作『鉄男 THE BULLET MAN』、アメリカで好評価!
1989年公開の塚本晋也監督の代表作『鉄男 TETSUO』は、日本だけでなく世界中にカルトファンを抱える傑作となった。その待望の新作が続編やリメイクではなく、21世紀版として全編英語で『鉄男 THE BULLET MAN』として制作され、アメリカのトライベッカ映画際に出品されることになった。4月21日から5月2日まで行われる同映画祭のプレス用の先行試写会が行われ、アメリカの批評家に話題の新作の評価について聞いてみた。
まずは、ニューヨーク・プレス誌のアーモンド・ホワイト氏は「斬新な編集と鼓膜を突き刺すようなサウンドトラックが胸を打ってきたよ! 映像は、打ち消し難い衝撃を覚えたね!」と褒めた。
次にアメリカの人気映画サイト、comingsoon.netのエドワード・ダグラス氏は「これまで、塚本監督の作品『六月の蛇』と『ヴィタール』が印象に残っていて、今回の作品は、鉄男のメイクアップと躍動感が本当に素晴らしかった。塚本監督の作り上げるキャラクターは、すごくリアルだと思う。塚本監督の演技も良かったよ! ただ、この映画を全編英語でやる必要性については、イマイチわからないな」と答えた。
最後に、塚本監督の全作品を観ているというメニスカス・マガジンのクリストファー・ボーン氏は「『鉄男 TETSUO』と『鉄男 II BODY HAMMER』と比べて、映像に一貫性があると思う。塚本監督は、もともとストーリー重視の監督というよりは、スタイルが魅力の映画監督だ。僕は、特に彼が美術などのデザインから、撮影までこなしてしまうバイタリティーを尊敬しているんだよ。ただ、塚本監督も含め、日本人俳優の英語のセリフが気になってしまった。むしろ日本語で撮影して、字幕を入れても良かったと思ったくらいだ。ただ、ファンには観る価値のある作品だと思うよ!」と語ってくれた。
同作は、東京でサラリーマンとして働くアメリカ人のアンソニー(エリック・ポジック)が、ある日3歳の息子トムを、謎の男に車ではねられ失ってしまうというストーリー。怒りにわれを失ったアンソニーの体が「鋼鉄の銃器」に変ぼうし、彼の復讐(ふくしゅう)が始まっていく。
今作は、トライベッカ映画祭の開催中に、ヴィレッジ・イースト・シネマで4回上映され、塚本監督も同映画祭を訪れる予定だ。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)