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イルカ漁映画『ザ・コーヴ』舞台となった太地町で住民の毛髪水銀平均の4倍-欧米メディアほら見たことかと報じる

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問題となっている映画『ザ・コーヴ』より
問題となっている映画『ザ・コーヴ』より - (C) OCEANIC PRESERVATION SOCIETY. ALL RIGHTS RESERVED.

 イルカ漁に問題提起した映画『ザ・コーヴ』が、第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞を受賞し、日本人からの集中バッシングを浴びる中、国立水俣病総合研究センターが映画の舞台となった和歌山県太地町を対象に行っていた毛髪水銀濃度測定によるメチル水銀摂取状況および健康影響の調査結果を発表した。その結果、太地町市民の毛髪から、平均の4倍の水銀が検出され、欧米メディアが「ほら見たことか」と言わんばかりに大々的に報じている。

映画『ザ・コーヴ』

 映画『ザ・コーヴ』は、太地町で行われているイルカ漁の様子を隠し撮りで撮影した問題作。日本では、「隠し撮りなんてもってのほか!」「日本の文化に口を出すな!」と猛反発の声が上がっていた。

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 今回の調査は、一部のマグロ、カジキなどの大型肉食魚や一部のクジラ、イルカなどの海洋哺乳動物で、メチル水銀濃度が高くなることが知られているため、クジラ、イルカを食用とする根強い文化がある太地町の方から、国立水俣病総合研究センターに調査を依頼し、実施されたもの。もちろん6月に公開される本作の公開に合わせたわけではなく、昨年から行われていた調査の結果がたまたま今発表になったということらしいのだが、まさにバッド・タイミングとしか言いようがない。

 太地町では秋から冬にかけてクジラやイルカの摂取が増えるため、冬と夏の2回に分けて調査を実施し、延べ1,137名の協力を得た。その結果、夏季調査で、同センターが2000年から2004年にかけて行った他14地域の住民の毛髪水銀濃度(男性2.47ppm、女性1.67ppm)の約4倍、男性は11.0ppm、女性は6.63ppmという数値が出た。

 また、クジラやイルカを「過去1か月間に食べていない」人の毛髪水銀濃度、男8.30 ppm、女 5.64 ppmと比較して、「過去1か月間に食べた」人では、男 15.2 ppm、女 9.75 ppmと毛髪水銀濃度が有意に高くなったことから、クジラやイルカの摂取状況と毛髪水銀濃度との関連性が認められた。

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 冬季調査でもほぼ同様の結果が得られ、クジラやイルカの摂取と共に、毛髪水銀濃度が増加する傾向を示したという。

 本作を監督したアメリカ人写真家のルイ・シホヨスは、本件に関してのAP通信の電話取材に対して、「イルカ肉を食べるということは、毒を食べるということだ。つまり、たくさんのイルカ肉を食べれば、それだけたくさんの毒を摂取することになるのだ」と答えたそうだ。

 今回の調査で、メチル水銀中毒の可能性を疑わせる者は認められなかったが、国立水俣病総合研究センターは、毛髪水銀濃度の非常に高い者を認めるため、健康影響の調査の継続が必要であるとした。これに関して、WHOの科学者も、水銀中毒はすぐに症状の出てくるものではないため、「将来的に健康障害が出てくるだろう」とコメントしている。

映画『ザ・コーヴ』は6月よりシアターN渋谷ほかにて公開

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