全米ナンバーワンは2週連続で『シュレック フォーエバー』に!『セックス・アンド・ザ・シティ2』も健闘 -5月30日版
全米ボックスオフィス考
新作が弱かったのか、シュレックがすごかったのか……。今週は、新しい封切り映画が2本あったというのに、それを尻目に映画『シュレック フォーエバー』が5,706万ドル(約51億3,540万円)の興行収入を記録して2週連続で全米第1位を獲得するという大番狂わせをやってのけた。(1ドル90円計算)
第1位の『シュレック フォーエバー』もさることながら、今週の目玉はデビューの週末にもかかわらず第2位と第3位に甘んじてしまった新作2本のランキング競り合いである。アメリカは月曜日まで休みだったため、最終的な公式ランキングが発表されるのが丸一日遅れ火曜日の午後となったのだが、発表のギリギリまで第2位と第3位がデッドヒートを繰り広げていた。
その熱戦の末第2位に収まったのは、ジェイク・ギレンホールがヒーローを演じる映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』で3,781万ドル(約34億290万円)。3,646館・推定5,600スクリーンで公開され、同じくディズニー作品の『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズにはかなわなかったものの、ヴィゴ・モーテンセンの映画『オーシャン・オブ・ファイヤー』よりは、はるかにパワーのあるデビューぶりを見せている。ディズニーの観客調査では、全体の58パーセントが25歳以上で男性客であったという結果が出ている。
一方、初登場なのに残念ながら第3位だったのは、映画『セックス・アンド・ザ・シティ2』で3,684万ドル(約33億1,560万円)。ひと足お先の木曜日スタートだったので、その日を入れた成績だと『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』の成績を上回るのだが、興行収入争いは金曜日から勘定を始めるのが常なので残念ながら第3位に甘んじることとなった。配給のワーナー・ブラザーズによると『セックス・アンド・ザ・シティ2』を週末に観に来ていた観客の何と83パーセントが女性だったとのこと。
そして今週の第4位は、新作に阻まれて第2位からダウンしてしまった映画『アイアンマン2』で2,108万ドル(約18億9,720万円)。だが降下率は20パーセントと比較的少なく、上映館も373館減少したにしてはなかなかの粘りを見せたといえる。
第5位は、規則的な降下を続ける映画『ロビン・フッド』で1,342万ドル(約12億780万円)の成績。明るいタッチの映画が好みのアメリカ人には、暗めで渋いテイストのロビン・フッドがお気に召さなかったようである。製作予算2億ドル(約180億円)をかけたスタジオ側にとっては痛い状況となっている。
ちなみにメモリアル・デー連休は夏の大作シーズン開幕と言われ、かき入れ時なのだが、今年は過去9年間におけるメモリアル・デーの中で総合興行収入が一番低かったという、何ともありがたくない記録を作ってしまった。
メモリアル・デーに封切られる大作が歴代の初週末興行記録を打ち破るのは珍しいことではない。だが、今年は有力視されていた『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』と『セックス・アンド・ザ・シティ2』がメモリアル・デー週末興行記録において、歴代第15位と第18位という不本意な成績に終わってしまったことが、連休全体の興行収入にも悪影響を与えたようだ。
さて次回のチャート予想だが、大作には欠けるものの注目の作品が数点。その中でも上位に食い込んでくると思われるものは、まず夏休みシーズンに強いファミリー作品で、映画『ママデューク / Marmaduke』(原題)がある。日本ではあまりなじみのない名前だが、これはアメリカの新聞に掲載されている1コマ漫画の実写映画化で、ガーフィールドやスヌーピーなどと並んで、なが~い歴史のある動物キャラクターである。家族そろって観に行けるカワイイ映画で家族連れパワーがさく裂して『シュレック フォーエバー』と一騎打ち……などという可能性も考えられる。
もし『ママデューク / Marmaduke』(原題)の火が付かない場合は、アメリカの映画ファンが大好きなドタバタ・コメディーが脇に控えている。大ヒット映画『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の製作チームが手掛ける究極のお笑い映画『ゲット・ヒム・トゥ・ザ・グリーク / Get Him to the Greek』(原題)がそれだ。近年お笑い男優として人気のジョナ・ヒル、そしてイギリスのクレイジーお笑い芸人(!?)ラッセル・ブランドが出演。アメリカのレコード会社見習い社員(ジョナ)が上司(ショーン・“P.ディディー”・コムズ)から、トラブルメーカーのイギリスのロックスター(ラッセル)をハリウッドのコンサート会場までエスコートするように命令されてとんでもない羽目に……というストーリー。
そして最後にもう1本。ホラーで、映画『スプライス / Splice』(原題)という作品だが、人間のDNA研究が道を逸脱して誕生した恐怖のクリーチャーとは……!? というお話。エイドリアン・ブロディが主演しており、彼がアカデミー賞受賞者だという事実を忘れそうになるほどコワい作品だとちまたで評判だ。(取材・文:神津明美 / Akemi Kohzu)