踊る×ポケモン×トイ・ストーリー、三つどもえ勝負の結果!勝因は3D、2D、字幕、吹き替えでのスクリーン数の増加
映画週末興行成績
例年になく、強力作が群雄割拠している映画夏の陣もいよいよ本番。今週の見どころは、踊る×ポケモン×ピクサーの三つどもえで直接対決! その決戦を制したのは、今週初登場の映画『トイ・ストーリー3』だった。
初日2日間の動員は64万9,299人、興収9億7,733万2,450円。こちらの興行の特色としては、3Dの吹き替え興行を中心に展開していることが挙げられる。全国525スクリーンのうち、3D吹き替え版は322スクリーン、3D字幕版は都心部を中心に33スクリーンという内訳で、興収シェアは3Dが81%、2Dが19%となった。総じてアニメは、子ども料金が適用される関係で、動員に対しては興収が低くなりがちだが、今回は3D特別料金が適用されるため、興収も高水準を記録。2日間の内訳としては、公開初日の10日が動員30万5,855人、興収4億5,729万1,500円、11日が動員34万3,444人、興収5億2,004万950円という結果となっている。従来の字幕・吹き替えという選択肢に加え、2D・3Dという選択肢も加わり、必然的にスクリーン数も増加。一個所でバージョン違いの同作を2スクリーン、3スクリーンで上映するシネコンも多かった。客層もファミリーだけでなく、10代、カップル、年配層まで幅広く、朝から晩まで全時間帯で多くの観客が来場。観客の満足度も高く、今後の口コミも期待できそうだ。しかも「今回は2Dだったから次は3Dで……」という具合に、リピートしやすい環境にある。今後の推移に注目したい。
続いて2位には、こちらも初登場となる『劇場版ポケットモンスター/ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク』。全国369スクリーンの公開で、初日2日間成績は興収が6億2,947万1,700円、動員が60万602人となった。伝説のポケモンキャラクターがニンテンドーDSソフトでダウンロードできる引換券付き前売り券は今年も大好評。さらに来場者には、ゾロアーク&ゾロアのフィギュア、ここでしかダウンロードできないポケモンキャラクターのセレビィをプレゼント。鑑賞者の7割近くが、このキャラクターダウンロードに惹(ひ)かれて来場したというアンケート結果もあるなど、夏の風物詩としてのポケモン映画は子どもたちの心をしっかりとつかんでいるようだ。
今週は3位となった映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』だが、公開9日間の累計成績は早くも興収25億249万3550円、動員が189万5,108人を突破。このペースなら200万人突破は時間の問題だろう。10日には地上波で映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』が放送され、19%という高視聴率を記録。今週末には映画『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の放送も予定されており、ロングランに向けての布石は万全。今後、強力なライバルにどう立ち向かっていくのか、興味は尽きない。
4位は映画『プレデターズ』が初登場。全国373スクリーンの公開で、興収は2億4,309万5,700円、動員は18万6,659人となった。ほしのあきや、元横綱朝青龍など話題性のある有名人を起用したイベントなども話題を集め、本作のPRに一役買った。そして公開6週目となる映画『告白』は5位。公開37日間の累計で興収30億円を突破している。
6位は豊川悦司主演の映画『必死剣 鳥刺し』。全国256スクリーンの公開で、初日2日間の成績は興収が7,836万8,400円、動員が7万783人となった。中高年向きの作品は、評判が良ければジワジワと伸びる傾向がある。人気の高い藤沢周平作品ということもあって、面白い結果になるかもしれない。そして7位は映画『アデル/ファラオと復活の秘薬』が4ランクダウン。そして8位は『それいけ!アンパンマン ブラックノーズと魔法の歌』が初登場。9位は公開6週目の映画『セックス・アンド・ザ・シティ2』が4ランクダウン。そして10位は、公開5週目の映画『アイアンマン2』で6ランクダウンとなった。また、11位は公開5週目の映画『アウトレイジ』が4ランクダウンで、惜しくもベストテン圏外に落ちた。
今週末は、スタジオジブリ最新映画『借りぐらしのアリエッティ』がいよいよ登場。2週連続でトップの作品が9億円台をたたき出すなど、ハイレベルな戦いを繰り広げている映画夏の陣。夏休み直前で、しかも祝日で3連休という絶好の日程だけあって、こちらの作品にも期待大だろう。俳優・小栗旬の初監督映画『シュアリー・サムデイ』、M・ナイト・シャマラン監督の映画『エアベンダー』のランク入りにも注目だ。その他の公開作品として、映画『私の優しくない先輩』『ザ・ホード -死霊の大群-』『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』『華麗なるアリバイ』などがある。(ランキングなどは興行通信社調べ)(取材・文:壬生智裕)